トヨタ自動車は10月17日、「超小型EV(電気自動車)」を2020年冬に発売すると発表した。10月24日から11月4日までの12日間開催される東京モーターショー2019の「FUTURE EXPO(フューチャー・エクスポ)」に出展し、披露する。(佃モビリティ総研・松下 次男)
EV普及で仲間づくり推進、40以上の法人利用で新ビジネスモデルを検討
超小型EVは一回の充電で約100キロメートル走行が可能で、買い物や近況離移動用途の業務用車などを想定して開発した。立ち乗りタイプの歩行領域EVも20年冬に発売する。あわせてEV普及に向け、EV利用や新たなビジネスモデル展開を進める法人、自治体などを募り、仲間づくりを進める考えで、現時点でこうした法人数が40以上にのぼっていることを明らかにした。
メガウェブ(MEGA WEB)会場のフューチャー・エクスポで展示する超小型EVは全長2490ミリメートル、全幅1920ミリメートル、全高1550ミリメートルの大きさ。最高速度は時速60キロメートル。乗車定員は2人。充電時間は約5時間(200ボルト)。
東京モーターショーのFUTURE EXPOに出展。コンセプトモデルやi-ROADなども出展
超小型EVは、免許取り立ての人や高齢者などが買い物をはじめとした日常の近距離移動を想定して開発した。また、小回りが利き、毎日巡回訪問するような近距離移動用途や環境に優しい業務用途にも適した車両との見方を示す。
フューチャー・エクスポでは超小型EVビジネス向けコンセプトモデルや歩行領域EV(立ち乗りタイプ/座り乗りタイプ/車いす連結タイプ)、i‐ROADのEV製品群も展示する。EVビジネス向けコンセプトモデルは超小型EVをほぼ同じサイズで、乗員は一人。
まず日本からEVビジネスを展開、立ち乗りタイプの歩行領域EVは2020年冬に市販、
歩行領域EVはそれぞれ一人の乗車で、立ち乗りタイプは一充電で約14キロメートル走行し、最高速度は時速10キロメートル。座り乗りタイプは一充電で約10キロメートルを走行、車いすタイプは約20キロメートル走行し、最高速度はともに時速6キロメートル。座り乗りタイプと車いすタイプは2021年に市場投入する予定だ。
また、トヨタ自動車はEVの普及に向け、開発製造から販売店を経てユーザーに届けるという従来のビジネスモデルにこだわらず、新しいビジネスモデルづくりにも挑戦するという。このためには、幅広く仲間づくりを進める。
中古車販売や電池のリユース、リサイクルなども展開し、インフラ整備や保険整備にも取り組む
具体的にはそれぞれの段階で協業の可能性を示しており、開発製造段階ではリーズナブルな車両価格や高性能電池の実現。流通段階でもEVの販売加えリースを充実、残価設定による顧客負担の軽減、電池回収率の向上に取り組む。また、中古車販売や電池のリユース、リサイクルなども様々企業と共同で展開し、並行して充電サービスなどのインフラ整備や保険などの付加価値向上にも連携して取り組んでいくとした。
こうしたなか、協業によるEV開発会社やグローバルでの電池調達に加え、実際のEV利用や新たなビジネスモデルの検討でも幅広く法人、自治体と連携し、仲間づくりを推進する。トヨタはこうしたEV普及の活動をまず日本からスタートする。その第一歩となる車両が来年末に市場投入する超小型EVだ。ただ、EVのグローバル展開に向けては、地域により今回の超小型EVはカテゴリー外となる可能性があり、さらにサイズをアップした新たなEV投入などが求められることになるだろう。