それによると、まず将来に向けて年間の日本国内に於ける自動車生産数を300万台として捉えている。トヨタは、この半数に該当する150万台を、来る2025の年間販売台数として死守していきたい意向だ。
今や世界有数の巨大自動車メーカーとなったトヨタ自動車ではあるが、その競争力の源泉は、やはり母国の日本での「モノづくり」があってこそ。
従って、日本国内のモノづくりを将来に亘って維持・発展させていくためには、年間150万台の生産台数と、その生産量を消化・支えてくれる国内マーケットが必要であるという見地に立っている。
この年間150万台の国内販売の確保に向け、リアル環境・インターネット環境などを一切問わず、消費者との様々な接点を開拓し続け、「トヨタのクルマに乗りたい」「トヨタのクルマが欲しい」と思って貰えるサービスを構築したいと、トヨタグループとして考えている訳だ。
そのためには、これまでの「トヨペット店」や「カローラ店」など、個々店舗が車種毎に縦割りで展開している製品軸展開では、自由で新しいサービスの開発は出来ないと考えた。そこで『販売チャネル』を、既存の4分割から『地域軸』主体へと水平展開していく。
これによって、これまでとは異なる全く新たな体制・働き方を創り出す。そしてこの結果、各地域毎の消費行動・地域行政の動き・他の地域企業との新たな連携強化を図るなど、既存のビジネスとは異なる新しいビジネスモデルの構築が可能になると考えているようだ。
但し、このような取り組みにあたっては、地域毎に自動車利用を取り巻く利用環境に大きな違いがあることを冷静に考える必要がある。
例えば、都心は公共交通機関が大きく発達していることから、自動車は「保有」から「利活用」へのシフトが進みつつあり、また輸入車シェアも極めて高いというある意味特殊な環境下にある。
対して郊外などの地域市場では、個々の消費者が、ひとり1台の自動車を保有し、通勤やレジャーのための愛車を利用するライフスタイルが当面に於いて安定的に継続されていくであろうことが推察できる。