トヨタ自動車は、子会社である日野自動車によるエンジン認証不正問題に於いて、新たな不正が判明したことを受けて、8月22日、日野からのOEM供給車種の「ダイナ(2トン積系)」の販売停止を発表した。また今回の追加不正判明に対する親会社としての意見を、以下の通り述べた。
・(トヨタ)日野は既に、本年3月4日の公表に続いて、先日8月2日に「不正行為の全容」として、特別調査委員会と日野による全面的な調査の結果、広範な追加不正行為を公表しております。今回、さらなる不正行為が国土交通省の立ち入り検査によって判明したことは、弊社としても、極めて重大な事態であると考えております。
・(豊田章男社長)日野自動車が、新たな不正の発覚により、ステークホルダーの皆様の期待や信頼を、再度、大きく損なう事態に至ったことは、同社の親会社としても、株主としても、極めて残念に思います。長期間に亘りエンジン認証における不正を続けてきた日野は、ステークホルダーの皆さまに認めていただけるのか問われている状況にあると思います。この認識のもと、日野がステークホルダーの皆さまの信頼に足る企業として生まれ変われるのか注視し、見守ってまいりたいと思います。
[日野の新たなエンジン認証不正について]
日野が3月4日および8月2日に公表したエンジンの排出ガス認証申請に関わる不正行為に加えて、今回新たな不正行為が国土交通省の立ち入り検査で判明した。
<判明事項>
日野が開発を行ってきた平成28年排出ガス規制(ポスト・ポスト新長期規制)対象の車両用エンジンの全機種で、同社が行った排出ガス性能の劣化耐久試験で、①各測定点において排出ガス測定を2回以上行う必要があるところ、測定回数が不足している測定点があったこと、②劣化補正値の算出の際にそれらの測定データを使った算出が求められるところ、各測定点で1回分の測定データにより算出していたこと、が判明した。
<トヨタ車への影響と対応>
今回判明した不正行為で、これまで不正が確認されていなかった4Lディーゼルエンジン「N04C(HC-SCRシステム搭載)」も対象となる。当該エンジンは、日野からのOEM供給車種である、以下のトヨタ車に搭載されている。
<対象車両>
– 車種:「ダイナ」および「トヨエース(販売終了)」の2トン積系(カーゴ、ダンプ)
– 生産期間:2019年5月の一部改良以降
– 生産台数:約1.9万台
– 生産工場:日野自動車(株)羽村工場
<出荷停止について>
上記の内、販売中のダイナ2トン積系(カーゴ、ダンプ)については、OEM供給元の日野に於いて、8月22日付で出荷を停止した。
<販売済み対象車両への対応について>
現時点で、日野による技術検証では、排出ガス規制値超過の可能性は認められてはいないが、対応の要否を含め、日野側で引き続き確認を進めている。なお、今回判明した事項は、走行機能への影響はなく、安全上の懸念が発生するものではない。