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2017年11月28日【人事】

トヨタ自動車、役員体制を刷新。常務役員に生え抜きの女性社員を登用

坂上 賢治

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トヨタ自動車・ロゴ

トヨタ自動車株式会社は11月28日、来る2018年1月1日付の新役員体制を発表した。新任副社長にデンソー代表取締役副会長の小林 耕士氏、現専務役員の友山 茂樹氏、吉田 守孝氏が昇格する。なお副社長体制は現4人から6人体制となる。また常務役員に生え抜きの女性を登用した。(坂上 賢治)

 

今回の体制刷新の要諦としては「グループ会社の力を結集、また社内外を含め、高度な専門性を有する多様な人材を適所に配置」「副社長の役割刷新、フェローポストの新設、執行役員体制の変更時期前倒し等、役員自ら役割・意識を変革し、執行のスピードアップを図る」「よりお客様・現場の近くでの意思決定が可能な体制への変更」を掲げている。

 

副社長の新任内容はは先の通りで、主に「Mid-size Vehicle Company(President)」として中型車を担当していた吉田守孝専務役員(60)は、同業務責任の継続と併せてTNGA推進部の責務も担う。

 

 

友山茂樹専務役員(59)は副社長として、新たにTPS本部(本部長)・事業開発本部(本部長)となり、新規事業開発の責務を担う。またデンソーの小林耕士副会長(69)も新たに副社長就任となった。

 

永田理副社長(60)は取締役は継続しつつ副社長職は退任となる。さらに役員ポストに高度な専門性を持つ「フェロー職」を新設。米国の人工知能(AI)子会社のギル・プラット最高経営責任者(56)が同職に就任する。

 

 

その他、三井住友銀行から福留朗裕常務執行役員(54)を新任常務役員に招聘。販売金融並びにトヨタファイナンシャルサービス社長を兼務する他、13名の常務役員を新任した。なお同ポストに生え抜きの女性社員として初めて、高級車のレクサス部門の加古慈氏(かこ・ちか)Lexus International Co.(チーフエンジニア・50)を充てた。加えて大西 弘致専務執行役員は、同じく1月1日付けでダイハツ工業の専務執行役員ブランドユニット担当に就任する。

 

 

トヨタでは、2011年に「地域主体経営」、2013年に「ビジネスユニット制」を導入、2016年4月にはカンパニーを設置するなどで従来の「機能」軸から「製品」軸で仕事を進める体制に大きく舵を切った。

2017年も、9月に電気自動車の基本構想に関して他社も参加できるオープンな体制で技術開発を進めるための新会社(EV C.A. Spirit)を設立する等、「仕事の進め方変革」に積極的に取り組んできた。

 

また、役員人事についても、2015年に初めて日本人以外の副社長を登用、2017年には初めて技能系出身の副社長を登用するなど、従来の考えにとらわれず、多様な人材を適所に配置する取り組みを進めてきた。

今日、自動車業界は「電動化」「自動化」「コネクティッド」などの技術が進化し、異業種も巻き込んだ新たな「競争と協調」のフェーズに入っている。そうしたなか同社は、グループの連携を強化し、これまで取り組んできた「仕事の進め方改革」を一層進めるためとして、来年1月の役員体制変更及び組織改正を実施する。

 

同社では「現在のトヨタを取り巻く環境変化はこれまでに経験したことがないほどのスピードと大きさで進行しており、一刻の猶予も許されない、まさに待ったなしの状況である」と述べている。

これを踏まえ、こうした認識のもと役員体制は、本年4月に実施した後も、6月、8月、11月と随時、変更してきており、来年についても従来の4月から1月に前倒しで実施することとなったと云う。

 

 

今体制変更について豊田章男社長は「自動車業界は100年に一度の大変革の時代に入った。次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもない。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている。

他社ならびに他業界とのアライアンスも進めていくが、その前に、トヨタグループが持てる力を結集することが不可欠である。今回の体制変更には、大変革の時代にトヨタグループとして立ち向かっていくという意志を込めた。

 

また、『適材適所』の観点から、ベテラン、若手を問わず、高い専門性をもった人材を登用した。何が正解かわからない時代。

『お客様第一』を念頭に、『現地現物』で、現場に精通をしたリーダーたちが、良いと思うありとあらゆることを、即断・即決・即実行していくことが求められている。次の100年も『愛』をつけて呼んでもらえるモビリティをつくり、すべての人に移動の自由と楽しさを提供するために、トヨタに関わる全員が、心をあわせて、チャレンジを続けていく」と述べ、同社流・予てより同社固有の危機意識を原動力とした事業刷新に邁進する構えだ。

 

主な変更・改正のポイントは以下の通り

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。