トヨタ自動車は10月16日、新型「ヤリス」を世界初公開した。TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の4番目となるコンパクトカー向けプラットフォーム「GA-B」採用第1弾の車両だ。日本では12月中旬に新車発表し、2020年2月中旬に発売する。車名も日本市場向けのヴィッツからグローバル名称「ヤリス」に統一、変更する。(佃モビリティ総研・松下 次男)
投入4番目となったTNGAは、先進国向けのコンパクトカープラットフォームGA-B採用第1弾に
吉田守孝副社長は「主要コンポーネントをすべてゼロベースから作り上げた。軽量、軽快なハンドリングという小型車の特徴を生かしながら、安心・安全、快適・便利は先進機能を装備した新世代コンパクトカーだ」と強調した。
新型ヤリスは東京モーターショー期間中、お台場のヴィーナスフォートで展示するほか、全国各地で10月末から12月にかけて展示する予定。トヨタ自動車の豊田章男社長は「小さいクルマが車両開発の基準」とし、新型ヤリスは「これまでの概念を超え、最新の安全技術、コネクテッドを搭載したひとクラス、ふたクラスアップしたクルマだ」とビデオメッセージを寄せた。ラリーカーであるヤリスWRCの技術も新型車に反映させた。
新型ヤリスはBセグメント向けTNGAプラットフォームのGA—B採用。吉田副社長は自動車市場の成長が先進国から新興国へシフトするなか、新興国向けコンパクトカーはダイハツとの協業で、先進国向けは進化型へとじっくり見直すかたちで展開すると強調。その先進国向けコンパクトカーのプラットフォームとなるのがGA—Bであり、新型ヤリスがそこから誕生する第1弾の車両だ。日本、欧州市場に投入する。吉田副社長はGA-Bをベースにしたコンパクトカー群を今後「積極的に投入する」と述べた。
トヨタ初の高度駐車支援システム、交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者を検知する安全システムを拡充
新世代コンパクトカーとなる新型ヤリスはプラットフォームをはじめ、エンジン、トランスミッション、サスペンションなどの主要コンポーネントを全て新設計した。パワートレインでは直列3気筒の1・5リットルエンジンを新開発。ガソリン車とともに、1・5リットルクラス初のハイブリッドシステムを搭載し、ハイブリッド車で世界最高レベルの低燃費を目指す。主として日本市場向けとなる1リットルエンジンも改良し、燃費を4・7%向上した。
プラットフォームでは、車両重量は従来型から50キログラム軽減、ねじり剛性を30%以上強化した。全長3940ミリメートル、全幅1695ミリメートル、全高1500ミリメートル、ホイールベース2550ミリメートルの大きさだ。トヨタのコンパクトカーとして初の電気式4WD(四輪駆動)システム搭載車を設定する。
新型ヤリスは安全技術やコネクテッドサービスも拡充。トヨタセーフティセンス(Toyota Safety Sense)を標準装備し、トヨタ初となる高度駐車支援システム「Advanced Park(アドバンスト・パーク)」や交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者を検知できる先進機能を備える。低速時の事故予防をサポートする「低速時加速抑制」機能も追加。コネクテッドサービスでは、スマートフォンとの連携ができる「ディスプレイオーディオ(DA)」および車載通信機(DCM)を全車に標準装備した。
日本発売は2020年2月中旬を予定、グローバルブランドの「ヤリス」に車名を統一
このほか、運転席および助手席のシートが回転、チルトし、楽にクルマに乗り降りすることができる「ターンチルトシート」をトヨタとして初めて設定。さらに家庭用と同じコンセントで、外部に給電する機能をハイブリッド車にオプション設定し、災害時などの緊急時に1500ワット分の電力が供給できる。
初代ヤリスの投入は1999年。それからちょうど20周年を迎えるのを機に、機能を一新した新世代コンパクトカーとして新型ヤリスを市場に投入する。加えて、2020年5月から国内の全販売店で全車併売化するのも車名をヤリスに統一するきっかけとなった。