トヨタ自動車は、2020年末に市販する燃料電池自動車(FCV)の次期「ミライ(MIRAI )」のコンセプトモデルを10月24日からの東京モーターショー開催期間中、メガウェブ会場のFUTURE EXPO(フューチャー・エクスポ)で初公開する。(佃モビリティ総研・松下 次男)
次期FCVの「ミライ・コンセプト」を東京モーターショー期間中公開
「ミライ・コンセプト」で、次期モデルはエモーショナルなスタイリングを追求するとともに、FCシステムを一新し、航続距離を現行モデルに比べ約30%延長した。第2世代となる次期ミライの市販モデルは日本、北米、欧州などで順次、発売する予定だ。
次期モデルのミライ・コンセプトは、現行モデルに比べてホイールベースを140ミリメートル、全長を85ミリメートルそれぞれ拡大。車高は65ミリメートル低く、エコカーの枠を超えた走りを予感させるダイナミックなデザインを採り入れた。車体の主な諸元は全長が4975ミリメートル、全幅1885ミリメートル、全高1470ミリメートル、ホイールベースが2920ミリメートル。乗車定員も現行の4人から5人へと増やした。
デザインでは、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームの採用により、低重心で伸びやかなプロポーションを実現。また、20インチの大径タイヤを搭載し、ダイナミックさ、軽快感を持たせる。インストルメントパネルには12・3インチのワイドモニターを取り込んだセンタークラスターにより、「運転する楽しさ」「先進もくつろぎ感」を併せ持つシンプルで、モダンな空間を追求したという。次期モデルは普及期にむけ、より「日常に溶け込めるデザイン性」を打ち出す。
量産性を進化させた新FC搭載で2020年末発売。航続距離30%延長
FCシステムもゼロベースから全面的に見直し、水素搭載量を拡大したほか、量産のしやすさを追求。これにより部品レベルから製造コストを大幅に引き下げ、購入しやすい車両価格へ反映させる方針だ。現行モデルでは、発売当初、購入まで1年以上必要としたユーザーが少なくなかったが、次期モデルではこのような「長期間の納期待ち」を解消する。
次期FCVの開発に当たってトヨタは2013年から独BMW(ビーエムダブリュー)とパワートレインの共同開発を進めており、BMWも今年のフランクフルトショーでFCVの最新コンセプトカーを披露した。トヨタ、BMWの次期FCVコンセプトの双方に共同開発が生かされている。また、前後して発売することでFCV普及への相乗効果が期待される。
FCVの燃料となる水素は、様々な物質から生成でき、液体にして移動することも可能だ。また、航続距離が長く、燃料充填時間も数分で完了するなど取り扱いが簡単。再生可能エネルギーを活用すれば、ウエル・ツー・ホイールでCO2(二酸化炭素)排出量がゼロとなる。普及のカギとなるインフラ面をみても、水素ステーションの設置数が徐々に拡大しつつある。次世代車の本命の一つとして、量産型のFCVを投入することにより、本格的な普及期へ向け弾みをつけることを目指す。