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2017年12月11日【特集】

トヨタ自動車、友山茂樹氏に訊くモビリティの未来とコネクティッド戦略(後編)

佃 義夫

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無人運転の商品化にはまだ調整期間が必要。技術が収斂されていく流れに応え、いち早くキャッチアップしていく。

 

 

——ヒアーは、ドイツの3社メーカーが買収し、将来の自動運転を視野に入れていると聞くが。

友山 トヨタは、こうした地図メーカーを買収することはやらない。トヨタは米国に於いてヒアーの地図情報を使っており、一方で中国では別企業と連動している。今後も世界各地域の事情に応じて、懐の深い対応を続け、広く柔軟に対応していく。

 

——グローバル戦略としては。

友山 車両搭載のデータやアクセス環境面では、グローバルでインフラ網や規格が共通化していくだろう。またそうしたなかに於いても地図メーカー間の競争はさらに激しくなるだろうと見ている。

我々は、地図情報が三次元ダイナミックマップとして車両データに取り込まれて、技術が収斂されていく流れに応え、いち早くキャッチアップしていく。またそうした進化の流れは、トヨタが目指す自動運転技術の真の進化につながっていくだろう。

 

——自動運転やコネクティビティ関連の国際標準化の動きをどう見る。

友山 先の地図情報関連に於いて日本国内では、政府系の標準化にトヨタも協力している。例えばコネクティビティの一要素としてのスマートフォンのコンテンツも、現段階ではアップルやアンドロイドという切り口の他、フォードとトヨタが進める車両とのコネクテッド方式など、その手段や手法は多彩だが、そこはいずれは共通化し、国際標準化を目指す流れがこれから見えてくるだろう。

 

一方、自動運転については画像認識なども含めてある時期にレベル4で収束するのか、完全自動運転が果たして想定以上の早期に商品化されるかどうか、イメージセンサーからの入力をどう学ばせるかや社会インフラの整備スピードも含め、完全無人の自動運転化については、もう少し調整期間が必要だろうと見ている。

 

 

——トヨタとして自動運転の取組みにあたってのマイルストーンは。

友山 ユーザーが心から望む期待値、それに応えられる真のメリットが、どれだけあるかどうかということだろう。

もちろん技術は着実に進化している。しかしまだ現段階では未熟であり危うさもはらんでいる。トヨタとしては精力的に運転支援技術に取組んでいるが、先の環境対応に於ける「トヨタ環境宣言」のような具体的な指針や考え方を示す段階にはないと考えている。

 

トヨタの自動運転は限りない完璧さを目指す必要と責任があり、そうした意味を踏まえると2020年の東京オリンピックに向けて、日本の国策対応に沿っていきたいものの、やはりポスト2020というところがひとつの目処になるのだろう。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。