無人運転の商品化にはまだ調整期間が必要。技術が収斂されていく流れに応え、いち早くキャッチアップしていく。
——ヒアーは、ドイツの3社メーカーが買収し、将来の自動運転を視野に入れていると聞くが。
友山 トヨタは、こうした地図メーカーを買収することはやらない。トヨタは米国に於いてヒアーの地図情報を使っており、一方で中国では別企業と連動している。今後も世界各地域の事情に応じて、懐の深い対応を続け、広く柔軟に対応していく。
——グローバル戦略としては。
友山 車両搭載のデータやアクセス環境面では、グローバルでインフラ網や規格が共通化していくだろう。またそうしたなかに於いても地図メーカー間の競争はさらに激しくなるだろうと見ている。
我々は、地図情報が三次元ダイナミックマップとして車両データに取り込まれて、技術が収斂されていく流れに応え、いち早くキャッチアップしていく。またそうした進化の流れは、トヨタが目指す自動運転技術の真の進化につながっていくだろう。
——自動運転やコネクティビティ関連の国際標準化の動きをどう見る。
友山 先の地図情報関連に於いて日本国内では、政府系の標準化にトヨタも協力している。例えばコネクティビティの一要素としてのスマートフォンのコンテンツも、現段階ではアップルやアンドロイドという切り口の他、フォードとトヨタが進める車両とのコネクテッド方式など、その手段や手法は多彩だが、そこはいずれは共通化し、国際標準化を目指す流れがこれから見えてくるだろう。
一方、自動運転については画像認識なども含めてある時期にレベル4で収束するのか、完全自動運転が果たして想定以上の早期に商品化されるかどうか、イメージセンサーからの入力をどう学ばせるかや社会インフラの整備スピードも含め、完全無人の自動運転化については、もう少し調整期間が必要だろうと見ている。
——トヨタとして自動運転の取組みにあたってのマイルストーンは。
友山 ユーザーが心から望む期待値、それに応えられる真のメリットが、どれだけあるかどうかということだろう。
もちろん技術は着実に進化している。しかしまだ現段階では未熟であり危うさもはらんでいる。トヨタとしては精力的に運転支援技術に取組んでいるが、先の環境対応に於ける「トヨタ環境宣言」のような具体的な指針や考え方を示す段階にはないと考えている。
トヨタの自動運転は限りない完璧さを目指す必要と責任があり、そうした意味を踏まえると2020年の東京オリンピックに向けて、日本の国策対応に沿っていきたいものの、やはりポスト2020というところがひとつの目処になるのだろう。