NEXT MOBILITY

MENU

2018年9月28日【オピニオン】

トヨタ自動車、国内全チャネル網で全車種販売を検討へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

そこで4年後の1950(昭和25)年に事業再建を果たすべく、販売資金と製造資金を区別する経営体制を目指して同年2月に自動車販売会社の設立構想を宣言。

 

丁度、前年10月にGHQ(連合国軍総司令部)が乗用車の生産制限を解除し、さらに翌11月からは自動車販売の割当配給制も廃止されて自由販売制になったことで、トヨタは販売金融(月賦販売の確立)と、販売力強化を求めて当時のトヨタ自動車工業(以下、トヨタ自工)傘下の販売部門を分離独立させ、同年4月3日にトヨタ自販を設立した。

 

 

 その後トヨタの車両生産台数は、1955年に月産3000台体制に、翌1956年10~12月期に月産台数で5000台超になるなど、大型トラックの販売停滞をよそに乗用車市場が伸張。

 

この乗用車市場の急拡大を背景に1953年3月14日に、「東京トヨペット」をトヨタ自販の直営店として立ち上げる。この際、既存店舗網のトヨタ店は、この新たな直営店が販売上の既得権を脅かすとして反発。そこでトヨタ販社が東京トヨペットへ資本参加(資本金の20%)することで2チャンネル体制の実現に漕ぎ着けた。

 

さらに1957年3月にトヨタは、ディーゼル・エンジン搭載の5トン積みトラックを販売するための「トヨタディーゼル店」を立ち上げる。しかし生憎マーケットが小型トラック需要に大きく傾倒するなか、この新店舗を救う策として大衆車「パブリカ」の併売に乗り出す。

 

 

これがトヨタディーゼル店から改名した「パブリカ店」(後の1969年に「カローラ店」に名称変更)誕生につながった。結果、初代「コロナ」の発売時期にあたる1957年7月時点のトヨタ傘下の販売店舗数は、トヨタ店が49社、トヨペット店が51社、トヨタディーゼル店が9社の計109社となっていた。

 

 その後、仮に一部にマイナス点があったとしても、その他に魅力が溢れていればマーケットを占拠できる中大型車市場とは違い、全てに80点以上の成績を獲得していないと小型車市場では勝ち残れないとするコンセプトで生まれた「カローラ」を発売。

 

次ページへ

1 2 3
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。