Z<オプション装着車>
トヨタ自動車は12月1日、一部仕様変更した燃料電池車(FCEV)「ミライ(MIRAI)」を発表した。販売は12月18日から開始される見込み。メーカー希望小売価格(消費税込み)は7,261,000円~8,610,000円となっている。( 坂上 賢治 )
ちなみに初代ミライは、2014年12月15日に販売を開始。現行の2代目にあたるモデルは、FRスタイルの高級車向けのTNGA GA-Lプラットフォームをベースに、ボディ剛性や静粛性向上を図り、FCスタック(燃料電池)の小型・高出力化や、水素タンクの最適配置化などで、前後50:50の重量配分を実現。環境性能だけでなく、運転自体も充分以上に愉しめるクルマとして2020年12月に発売された。
今回は、この2代目に対して先進安全装備の充実化やスマホ連携機能の強化などの他、以下の仕様改良等を実施し運転支援機能の充実が図られた。
– 先行車やカーブに対しての減速支援とステアリングの支援を行うプロアクティブドライビングアシストを筆頭とする最新の「トヨタセーフティセンス」を搭載して安全装備を充実させた。
– トヨタチームメイト[アドバンストドライブ(渋滞時支援)]、[アドバンストパーク(リモート付)]を設定し、高速道路渋滞時一定条件下(レーダークルーズコントロール+レーントレーシングアシスト作動中に、ドライバーが前を向いているなど)での運転負荷軽減や、安全安心な駐車支援を実現した。
– 12.3インチTFTカラーメーターの採用を拡大し視認性を向上させると共に、全64色の室内イルミネーションを採用した。
– ドライブレコーダー、専用のスマートフォンアプリでスマートフォンを携帯していれば画面操作なしでドアのロック、アンロック、エンジンスタートができるデジタルキーをオプション設定させるなど。
なお現行ミライは、先の通りで水素の充填量を拡大させて巡航距離も拡張。走行性能の向上も伴い、車両完成度は大きく向上し、ドライビングプレジャーも大きく進化している。
またミライから派生した水素スタックの一部構成パーツは、BMWなどの他メーカーへの提供の他、貨物車両、バスや列車など乗用車以外への転用もかなり進んでおり、ミライの開発コストの平準化という面ではトヨタ側も熱心だ。
そうしたなか今後の課題は、一時期、拡大したかに見えた水素ステーションの開設スピードの向上と、通常期の営業時間の拡大に掛かっている。実際、既に競合だったホンダ・クラリティは生産中止となっており、今後、ミライを延命させるため、駆動用蓄電池を併設するなど、現行車両とは異なるコンセプトの車両を考えざる得ない可能性も有り得る。
そもそも日本国内の交通環境下だけに限っても、例えば、貨物用途の商用水素燃料電池車両の場合、現段階では、水素タンクの搭載スタイルひとつとってもメーカーを超えた車体構成の統一が図られておらず、未だ実証段階から抜け出せていない。
結果、水素を燃料とする車両数(市販車)そのものが限られていることも、今の充填インフラ普及を停滞させる要因のひとつとなっている。