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2022年12月7日【サブスク】

トヨタ、新たなサブスクを新型プリウスより開始

NEXT MOBILITY編集部

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トヨタ自動車とKINTO(キント)は12月7日、新しいクルマのサブスクリプション(以下、サブスク)サービス「KINTO Unlimited(キント・アンリミテッド)」を、同日立ち上げ、今冬発売する新型プリウスの一部グレード( グレード体系の詳細は今冬発売の際に公表される )から提供すると発表した。

 

キント・アンリミテッドでは、KINTOが提供するサブスク( 自動車保険、自動車税、定期メンテナンス、故障修理、登録諸費用・税金、車検費用などの諸経費をパッケージ化した月額定額サービス )をベースに、納車後のクルマに「進化(アップグレード)」と「見守り(コネクティッド)」を提供することで、その価値を維持。その分を、予め月額利用料の引き下げに充てることにより、リーズナブルに利用できるようにしていくと云う。

トヨタ・KINTO・ロゴ

2019年、トヨタとKINTOは、クルマが“所有”から“利活用”へとシフトする時代に「手軽にクルマを利用したい」という消費者ニーズに応えたいとの想いから、クルマのサブスクサービスを開始。その一方で、さらに複雑・多様化する今日の消費者ニーズへの対応を、重要な課題として捉えていると云う。

 

例えば、「クルマに安心して乗り続けたい」というニーズの高まりに対しては、その技術が日々進歩していることから、それをタイムリーに提供するのが難しいといったことがある。また、足下の物価高騰を背景に家計が厳しさを増す中、「カーライフに掛かる出費を極力抑えたい」というニーズも顕在化している。

 

両社は、こうした時代の潮流に対応するためには、クルマを提供して終わりではなく、その後も、絶えず付加価値の提供を続けていく必要があり、そのためには、クルマの「限界」を超えるサービスを新たに生み出さなければならないと考え、トヨタのクルマづくりを変革。新しいクルマのサブスクサービスとして、「キント・アンリミテッド」を立ち上げるに至った。

キント・アンリミテッドでは、これまでのKINTOのサブスクサービス(保険や税金などの諸経費を月額利用料に含める)をベースに、トヨタの技術を駆使した「進化=アップグレード」と「見守り=コネクティッド」、新たに2つの付加価値を加え提供。

 

これにより、サービスの契約から利用終了・返却までの間に通常下がっていくクルマの価値を維持する独自の仕組みを構築。予め維持される価値分を月額利用料の引き下げに充当することで、よりリーズナブルに利用できるようにすると云う( 月額利用料は今冬発売の際に公表される )。

両社は、新サービスの提供を、今冬発売する新型プリウスの一部グレードから開始し、その反響などを踏まえた上で、今後、他の車種にも積極的に拡大していきたいとしている。

 

[キント・アンリミテッド概要]

1.進化=アップグレード

契約したクルマに対し、ソフトウェアとハードウェアのアップグレードを提供することで、納車後の「進化」を実現。

 

(1−1)ソフトウェア

OTA(Over The Air)を通じてソフトウェアを更新。衝突被害軽減ブレーキをはじめとするトヨタ・セーフティ・センス(Toyota Safety Sense)を、その都度最新に「進化」させていく(トヨタ初)。その費用は、月額利用料に含まれるため、追加負担は不要。

 

(1−2)ハードウェア

契約したクルマに予め施す「アップグレードレディ設計」(トヨタ初)を通じて、利用ごとのニーズに合わせたハードウェアの装備や機能の後付けを可能にする。

 

「アップグレードレディ設計」では、配線の調整やセンサーの取り付けなど、クルマのアップグレードに必要な施工作業の大部分を予め織り込み、将来の作業簡素化に備えておく。これにより作業時間の大幅短縮( ブラインドスポットモニターの場合、アップグレードレディ設計がない状態と比較すると施工作業時間は13時間から3時間へ短縮出来る )、全国での施工を可能に。加えて、アイテムの選択肢も増えるため、多くの利用者に「進化」を提供ができるようになる。

 

なお、ハードウェア・アップグレードの提供は、来年年央から開始。先ずは、ブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニター、ステアリングヒーターなどをラインアップしつつ、今後、将来登場する装備や機能もその都度後付けられるよう、アイテムの拡充を進めていく。

 

費用については、アイテムごとに、「一括」もしくは、「サブスクの月額利用料への加算」の2つの方法から選択できるようにする。

 

 

2.見守り=コネクティッド

トヨタのコネクティッド技術を用い、サービス利用者が運転する際のデータを収集・分析することで、利用者とクルマ双方の「見守り」を実現。

 

(2−1)コネクティッドドライブトレーナー

コネクティッドサービス「T-Connect」を通じて、アクセルやブレーキの踏み方などの基本的な挙動に加え、ハンドル操作やウィンカーを出すタイミングなど、細部に亘る利用者の運転データを収集・分析することで、ドライバーごとに異なる安全な運転や燃費の向上につながるポイントを、専用のアプリを通じてアドバイス。加えて、運転データに基づき、一人ひとりに合わせた装備や機能のアップグレードも提案( 別途、費用負担が必要 )していく。

 

なお、当面は実証実験と位置づけるため、追加負担は発生しないが、将来的には月額利用料に含めての提供となる。

 

 

(2−2)コネクティッドカーケア

 

通常、定期的に交換するエンジンオイルの劣化の度合いが、走行距離や運転の仕方、外部環境などにより異なる点に着目し、利用者の運転データを基にオイルの状態を把握する独自の技術を開発。これに基づいて、従来、一定の「期間」や「距離」を踏まえて提供してきたエンジンオイルの交換を、専用のアプリやディスプレイオーディオなどを通じて、クルマごとの「使用状況」に合わせたタイミングで提案していく。

 

先ずは、エンジンオイルの交換の提案から始め、その後、メニューを拡充していく。サブスクの月額利用料に含まれるため、追加負担は不要。

 

 

トヨタは、以上「アップグレード」と「コネクティッド」の提供開始に向け、来年2月を目途に、「キント・アンリミテッド」専用のアプリを公開するとしている。

 

キント・アンリミテッド:https://kinto-jp.com/lp/prius/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。