トヨタ自動車は8月6日、2021年3月期第1四半期(4~6月)連結業績を発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う大幅な販売台数減に見舞われる中、原価改善の推進、諸経費の低減努力によって黒字決算とした。(佃モビリティ総研・間宮潔)
また通期見通しでも未公表だった税引前利益を8900億円、当期利益を7300億円に見込み、「モビリティ・カンパニーへの変革」を加速させる経営姿勢を打ち出した。同社は今期から会計基準を米国方式から国際財務報告基準(IFRS)に変更、前期実績をIFRSベースに組み替えて表示した上で対比した。
それによると、第1四半期の営業収益は、前年同期比40.4%減の4兆6007億円、営業利益は同98.1%減の139億円、当期利益は同76.3%減の1588億円と黒字とした。
営業利益での増減要因は次の通りだ。前年の営業利益(換算数値7406億円)に対して、販売面での減益要素が8100億円、為替変動による影響が750億円あった。
これに対して、原価低減で100億円、労務費や研究開発費などの圧縮で750億円、スワップ評価損益などで734億円を計上した結果、黒字ラインに乗せた。
当期利益が膨らんだ理由は、米国における赤字企業への法人税減免など優遇措置による税繰り戻しが反映されたものだ。
同第1四半期の業績に連動する連結販売台数(ダイハツ、日野のブランド車を含む)は前年同期比50%減の115万8000台と半減した。
一方、連結対象となっていない中国事業を含めたトヨタ・レクサスブランドの世界販売台数は前年同期比31%減の170万6000台と、コロナ渦での健闘ぶりを示した。
2021年3月期業績見通しは、期初(5月発表)の通り、営業収益を24兆円(前期比19.6%減)、営業利益を5000億円(同79.2%減)とした。
据え置いた理由は、今後、新型コロナウイルスの感染拡大や収束の状況によって経営環境が大きく変動する可能性があり、「数値で一喜一憂することを避けた」(広報部)。
未公表だった「税引前利益」「当期利益」は期初発表した連結販売台数700万台に20万台を上乗せした「720万台」を前提に、今回数値を発表した。
税引前利益は前年同期比68.1%減の8900億円、当期利益は同64.1%減の7300億円とした。
地域別の連結販売台数では、日本で196万台(前期比12.5%減)、北米で233万台(同14.1%減)、欧州で87万台(同15.5%減)、アジアで113万台(同29.4%減)、中南米などその他地域で91万台(同33.7%減)とした。
なおトヨタ・レクサスブランドの世界販売は同じく期初の予想に30万台上乗せする「830万台」とした。徐々に回復するトレンドだ。
第1四半期でのトヨタ・レクサス販売実績は170万台を超え、対前年同期の「69%」水準だった。第2四半期では「85%」、第3四半期で「95%」、第4四半期で「105%」と段階を踏んで回復することを織り込んだ。
非連結会社を含めたトヨタ・グループ全体の販売ボリュームは今期、「910万台」を予想。前期実績の87%水準まで回復する見通しをたてた。