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2020年8月6日【トピックス】

トヨタ、期初の営業利益を据え置くも当期利益300億円を見込む

間宮 潔

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トヨタ自動車・ロゴ

 トヨタ自動車は8月6日、2021年3月期第1四半期(4~6月)連結業績を発表した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う大幅な販売台数減に見舞われる中、原価改善の推進、諸経費の低減努力によって黒字決算とした。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

また通期見通しでも未公表だった税引前利益を8900億円、当期利益を7300億円に見込み、「モビリティ・カンパニーへの変革」を加速させる経営姿勢を打ち出した。同社は今期から会計基準を米国方式から国際財務報告基準(IFRS)に変更、前期実績をIFRSベースに組み替えて表示した上で対比した。

 

 それによると、第1四半期の営業収益は、前年同期比40.4%減の4兆6007億円、営業利益は同98.1%減の139億円、当期利益は同76.3%減の1588億円と黒字とした。
営業利益での増減要因は次の通りだ。前年の営業利益(換算数値7406億円)に対して、販売面での減益要素が8100億円、為替変動による影響が750億円あった。

 

 これに対して、原価低減で100億円、労務費や研究開発費などの圧縮で750億円、スワップ評価損益などで734億円を計上した結果、黒字ラインに乗せた。
当期利益が膨らんだ理由は、米国における赤字企業への法人税減免など優遇措置による税繰り戻しが反映されたものだ。
同第1四半期の業績に連動する連結販売台数(ダイハツ、日野のブランド車を含む)は前年同期比50%減の115万8000台と半減した。

 

 一方、連結対象となっていない中国事業を含めたトヨタ・レクサスブランドの世界販売台数は前年同期比31%減の170万6000台と、コロナ渦での健闘ぶりを示した。
2021年3月期業績見通しは、期初(5月発表)の通り、営業収益を24兆円(前期比19.6%減)、営業利益を5000億円(同79.2%減)とした。
据え置いた理由は、今後、新型コロナウイルスの感染拡大や収束の状況によって経営環境が大きく変動する可能性があり、「数値で一喜一憂することを避けた」(広報部)。

 

 未公表だった「税引前利益」「当期利益」は期初発表した連結販売台数700万台に20万台を上乗せした「720万台」を前提に、今回数値を発表した。
税引前利益は前年同期比68.1%減の8900億円、当期利益は同64.1%減の7300億円とした。
地域別の連結販売台数では、日本で196万台(前期比12.5%減)、北米で233万台(同14.1%減)、欧州で87万台(同15.5%減)、アジアで113万台(同29.4%減)、中南米などその他地域で91万台(同33.7%減)とした。

 

 なおトヨタ・レクサスブランドの世界販売は同じく期初の予想に30万台上乗せする「830万台」とした。徐々に回復するトレンドだ。
第1四半期でのトヨタ・レクサス販売実績は170万台を超え、対前年同期の「69%」水準だった。第2四半期では「85%」、第3四半期で「95%」、第4四半期で「105%」と段階を踏んで回復することを織り込んだ。
非連結会社を含めたトヨタ・グループ全体の販売ボリュームは今期、「910万台」を予想。前期実績の87%水準まで回復する見通しをたてた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。