山なり形状の多孔フィルムを採用
このデバイスは、音は「穴を通る」と低減するというメカニズムに着目したもの。
音は、通過する穴の壁面で摩擦が生じ、また、穴を通過した後に渦が発生する、という「2つの減衰メカニズム」により低減することが知られている。
そこで、同社では、可視化によって判明した空気の流れの向き(空気の通り道)に多孔フィルムを配置し、「発生する音が穴を通る構造」を設けることを検討。
周方向、垂直方向の双方の流れに対応するために、多孔フィルムを「山なり形状」のデバイスとして装着することを考案した。
また、この山なり形状を保持するために、円筒状スポンジを周上に16基配置。
円筒状スポンジの中空構造が音の減衰に効果を持っているため、多孔フィルムとの相乗効果によって、さらなるノイズの低減効果を得ることが可能となった。
同社では、「タイヤ空洞共鳴音」の周波数帯域である200Hzから250Hzをターゲットに、この新デバイスがノイズ低減に効果があるかどうかを確認するため、同社製タイヤにデバイスを装備した実車試験も実施。
実際に車内の騒音レベルを計測した結果、デバイス搭載タイヤで走行した乗用車の「タイヤ空洞共鳴音」は、デバイスを搭載していない現行タイヤでの走行時に比べ、200Hzから250Hz帯域において、最大でマイナス12dBという顕著な低減効果を得ることが確認されている。
同社では、この結果をもとに今後、デバイス搭載タイヤの製品化と市場展開を検討していく予定だ。
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