TOYO TIRE(本社:兵庫県伊丹市、社長:清水隆史)は7月22日、トラックやバスなどの運輸車両の走行環境情報を自動的に収集。装着タイヤの状態変化をビッグデータとして蓄積するシステムを開発した。(坂上 賢治)
このシステムで収集したデータに、個々のタイヤの既定情報や天候データなど外部情報を加えてAI解析。タイヤの使用(摩耗)状態を推定するモデルを構築して顧客提供するビジネスモデルに取り組む。
今日、運輸事業に携わる多くの事業主は「より安全にかつ効率的にロジスティクスを支える」ことを経営の主眼に鋭意、合理性の追求を目指している。結果、適切なメンテナンスを適切な時期に実施することが安全や事業そのものの効率の両立につながることから、保有する複数台数の車両それぞれで異なる運行状況を社内や社外のリソースを使って適正に把握し、こまめな点検を繰り返している。
これを踏まえTOYO TIREは、ロジスティクスの安全と効率を充足する方策を探索してきた。特に運輸業界では1~3ヵ月毎に運輸事業者の人員が1本ずつタイヤの溝の深さを測定。摩耗の点検をしていることを鑑み、タイヤメーカーとして摩耗頻度を実測することなくタイヤの状態を管理・メンテナンスできる推定モデルを実現した。
具体的には、車両のホイールに装着したTPMSセンサー(TPMS:Tire Pressure Monitoring Systemの略。送信機を内蔵したセンサーで走行中のタイヤの空気圧や内部温度の監視を行なうシステム)によって、空気圧や内部温度といったタイヤの状態をデータとして自動収集。
これに全地球測位システム(GPS)によって得られる位置情報や車両の加速度情報などと掛け合わせて、逐次クラウドに蓄積する独自の情報集積システムを開発した。この結果、個別の車両運行状況によって異なるタイヤへの負荷や経年変化を適切かつ自動的に収集・蓄積できるシステムとしたもの。同社は、この生きたデータを運輸事業者の車両メンテナンス管理に積極活用していくという構想を今後、より具現化していく構えだ。
ちなみに同システム開発は、三菱商事が株式の34%を出資する「日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(代表取締役社長:垣原弘道)」とSAS Institute Japan株式会社(代表取締役:堀田徹哉)との協業により実現した。
TOYO TIREでは「今後、これを運輸事業向けのビジネスモデルとして構築し、タイヤメーカーならではのメンテナンス・サポートの確立を進めてまいります。今回のメンテナンス・ソリューションは、今後、タイヤの寿命を長持ちさせるような交換ローテーションや最適運行ルートの提示、運転方法のアドバイスなどを行う事で、安全やコスト低減といった課題解決にもつなげていくことができると考えています」と話している。