東洋インキSCホールディングスは7月8日、トーヨーカラーが提供するリチウムイオン電池正極材用導電カーボンナノチューブ(CNT)分散体LIOACCUM®(リオアキュム)が、韓国のLiBメーカーであるSK Innovation(SKI)の北米並びに欧州拠点での採用が決定し、フォルクスワーゲングループおよびフォード・モーター・カンパニーの電気自動車(EV)へ供給されると発表した。
世界的な脱炭素の潮流によりEVシフトが急加速し、多くの自動車メーカーが2025年から30年半ばを目標に完全EV化を打ち出しているが、EVの普及・推進にはリチウムイオン電池の高容量化が重要なカギを握っている。高容量化には導電材としてCNTを用いることが必須だが、分散が難しく実用化には多くの課題があった。
今回、トーヨーカラーが開発したリチウムイオン電池正極材用導電CNT分散体LIOACCUM®は、独自の分散技術を用いることで安定したCNT分散を可能にし、リチウムイオン電池の高容量化を実現することでEVの航続距離を伸長するほか、電池の安全性、小型化、充電スピード向上、耐久性向上といったリチウムイオン電池が抱える課題を解決するという。
東洋インキグループのライオケム(アメリカ、2021年2Q~)および東洋インキハンガリー(2022年1Q~)が製造し、SKIを経てフォルクスワーゲングループおよびフォード・モーター・カンパニーへ供給される。
今回の韓国のSKIで採用は、同社の技術力と、自動車の四大市場である、北米、欧州、中国、日本に安定供給可能な生産拠点をもつ唯一のCNT分散体メーカーであることが評価されたものとしている。
東洋インキグループは、2026年までの長期構想SIC27期間中に約100億円を投入し、北米、欧州、中国、日本、各拠点の車載用高容量バッテリー向け分散体生産設備の増強と安定供給を図る。売上高200億円を目指し、この事業を東洋インキグループの中核事業へと成長させていく。さらに、負極用CNT分散体を早期に実現することで、リチウムイオン電池のさらなる性能向上を達成し、世界規模でのEV普及を通じて持続可能な社会の実現に貢献したい考えだ。