東急は8月4日、静岡県が実施する自動走行実証事業「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」の2021年度事業受託者に決定したと発表した。
この事業は、静岡県内各地域が直面する、地域交通の運転手不足や過疎地域などの高齢者への移動支援といった課題に対し、自動運転などの最新技術を用いた実証実験を展開し、地域の交通事業者が新たなモビリティサービスを展開、社会実装することを目的としたプロジェクト。
2021年度事業で実施する実証実験では、静岡県内の4都市(賀茂郡松崎町、伊東市、沼津市、掛川市)において、複数都市の車両を遠隔監視し、また複数台の車両を遠隔操縦することで、遠隔コントロールセンターのさらなる高度化を目指す。1カ所の遠隔コントロールセンターから複数都市での遠隔操縦をするのは日本初となる。
実験では、遠隔監視・操縦の技術を活用することで、バス路線の維持が困難な過疎地域、駅から観光地へのラストワンマイルといった地域交通課題の解決に向けた検証に加え、自動運転車両を観光地のコンテンツとして運行することで地域の活性化を目指すなど、自動運転技術により地域ごとに異なる課題解決に向けた取り組みを推進する。
なお、東急は実験の実施のほか、事業全般のマネジメントの役割を担い、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学、株式会社ソリトンシステムズなどと協働し、静岡県が掲げる2024年度の社会実装の実現に向けて、自動運転技術による地域課題の解決をともに進めていく。
東急は、以前より静岡県内で観光列車・観光型MaaSなどの事業を通じた地域活性化、インフラ設備の防災力強化に向け、2019年より静岡県と各種連携協定を締結し、課題解決に取り組んでいる。2020年12月には、伊豆高原駅付近に複数台の自動運転車両を監視・操縦可能な「遠隔コントロールセンター」を設置し、運行する車両の遠隔監視・操縦技術を検証する実証実験を実施した。この実験での取り組み内容が、静岡県より将来の社会実装に向けて最も親和性が高いと評価され、今回の受託にいたったとしている。