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2019年11月6日【アフター市場】

東京モーターショー2019、来場者130万人を記録

坂上 賢治

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 2019年の10月24日(木)から11月4日(月・休)までの延べ12日に亘って、一般社団法人 日本自動車工業会(所在地:東京都港区、会長:豊田章男)こと「自工会」が開催した「東京モーターショー2019」が閉幕した。(坂上賢治)

 

 

 昭和以降、脈々と日本の高度成長を支えて続け、今回で46回目を迎えたこの歴史ある自動車の祭典は、来年の2020年に同じ東京港湾エリアで、国内2度目となる夏のオリンピック実施を控えていることから、過去2011年(第42回)から定番の開催地であり続けた東京ビッグサイトの施設全域を充分に利用できなかった。

 

 

このため同施設の西・南展示棟に加えて、TFTビルを筆頭に施設周辺近隣の建屋の一部。東京臨海新交通「ゆりかもめ」の青海駅に設けた新たな(青海)展示棟。

 

 

東京ビッグサイト駅から、その青海駅間に添って伸びる橋梁上や道路を含めたシンボルプロムナード公園全域。

 

さらに青海パレットタウンの一部であるショッピングモール「ヴィーナスフォート」や、普段はトヨタ自動車の傘下企業アムラックストヨタが運営する体験型テーマパーク「メガウェブ」を休業・利活用するなど、これまでになく大規模な自動車ショーとなった。

 

 

 それゆえ、ショー来場者数などの報道通達に関しても、例年、累計入場者数が日々刻々と更新・発表されていた広報スタイルが封印され、ショーを最終的に終えた翌日になって、累計の総来場者数が発表されるという過去の経緯から見ると、ショー広報面でも新たな運営方式が採られた。

 

ただ、そのような経緯ゆえに古株の報道記者達は、装いも新たとなった東京モーターショーで、実際にどの位の入場者数が記録・発表されるのか。

 

 

正直、固唾を呑んで見守っていたのだが、蓋を開けてみるとその総数は、なんと130万900人と、前回比でおよそ53万人増(100万人超えは2007年以来)という我々自動車業界人としては、実に喜ばしい成果が公表されている。

 

 

 これについて主催の自工会によると「今回のショーは体験がキーワード。初コラボとなった職業体験プログラムのキッザニアに約10,000人のお子さまが参加し、メディアでも大きく取り上げられ大盛況となりました。

 

 

また試乗体験型プログラムは、乗用車・二輪車の最新モデルの試乗に加え、超小型モビリティ・パーソナルモビリティ・電動キックボード、先進安全技術や次世代自動車、更には自動運転の体験試乗など、これまで以上に多彩な試乗ラインナップを用意し実施しました。

 

こうした試乗体験型プログラムの体験者数は、過去最高の約29,000人にものぼり、未来のモビリティを多くの方に体験し楽しんで頂き、クルマやバイクのみならず、異業種の最新技術が一堂に集結。100を超えるコンテンツで少し先の未来を体感頂くなど、日本の技術力・日本の未来にも期待をお寄せ頂ける場となりました」と話している。

 

 

 実際のところ、大変な大雨のなかで実質的なショー開幕を迎えたことから、筆者などは当初、一抹の不安も覚えた程だった。

 

しかし10月24日(木)〜27日(日)までの4日間のみながらも、夕刻のシンボルプロムナード上に、2018年の平昌オリンピックを思わせる無数のドローンを飛ばすドローンライトショー「FUTURE DRONE ENTERTAINMENT ”CONTACT”」をなんとか行政・団体の許可を通して敢行。

 

PlayStation4による「FIAグランツーリスモ チャンピオンシップワールドツアー」を実施したり、バーチャルキャラクターの「キズナアイ」を起用したりと、様々な新企画をこれでもかと盛り込み、旧来のステレオタイプの「自動車ショー」のイメージを超えようとするその努力は、涙ぐましいものだったのは確かだ。

 

 

 結果、トヨタ自動車の豊田章男社長が自工会会長として采配を振るう新生・東京モーターショーは成功裡に終えた。ただ、今回130万人という延べ累計入場者を記録しただけに、次回2021年開催時への期待は今後さらに高まるだろう。

 

 

果たして日本のモーターショーは、世界で先進国と呼ばれている各国で相次いで地盤沈下を引き起こしている数多の自動車イベントに対して、「未来の自動車ショー」たる新たな姿と方向性を示すことができるのか。

 

 次回のショー開催は、自工会会長の任期を考えると、豊田章男会長が率いる東京モーターショーの総仕上げとなるだけに、これまで「製造業」として生き続けてきた日本の自動車業界が、詰まるところ、どのようなモビリティ社会を実現したいのか。

 

そのような様々な疑問に対する真の答えが第47回目を迎える次回・東京モーターショーで見られることだろう。なお以下では、その前段として、豊田会長の今ショー終了に伴うコメントを記して筆を置きたい。

 

 

 第46回東京モーターショー2019が無事に終了いたしました。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか。

 

 これまで何度も東京モーターショーにお越しいただいていた方もいらっしゃったと思います。
クルマやバイクを、ずっと好きでいてくださりありがとうございます。
「今回はいつもと少し違うな…」と感じられたかもしれません。
これから大いに変わっていく部分と、これからも大切にし続けていく部分とがクルマやバイクにはあります。
変わっていく部分にもワクワクしていただけたならば…嬉しく思います。

 

初めて東京モーターショーにお越しいただけた方もいらっしゃったと思います。
モーターショーに行ってみよう!と思っていただけたこと、先ずは、ありがとうございます。
楽しいと思えるなにかに出会えたでしょうか?
「来てみてよかった!」「楽しかった!」と言っていただけたなら嬉しいです。
「また来たい!」と言っていただければ、もっと嬉しいです。

 

 2020年、今回の会場のまわりはオリンピック・パラリンピックの選手村になります。
そこでは、今回見ていただいたような未来のモビリティたちが走りはじめます。
更に、その1年後の2021年には、次のモーターショーを予定しています。
今回、見ていただいたモノたちが、これからの2年でどれだけ進化をするのか?皆さま、想像してみてください。

 

 我々は、その想像を遥かに上回るようなモノを2年後のモーターショーで、また提案したいと思っています。
皆さまの驚く笑顔を想像しながら、我々はもっと頑張って、ものづくりを進めてまいります。

 

もし今回、「楽しかった」「来てよかった」と思っていただけたなら、2021年の東京モーターショーにも、ぜひご期待ください。
2年後、またのご来場をお待ちしております。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。