日本自動車タイヤ協会(以下「JATMA」)は11月9日、タイヤ産業プロジェクト(Tire Industry Project:TIP)のCEO会議をオンラインで開催したことを発表した。
TIPは2005年に設立された、世界を代表するタイヤメーカーのCEOが主導するプロジェクトで、タイヤがそのライフサイクルを通じて、人間の健康や環境に与える潜在的な影響について研究している。持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for SustainableDevelopment:WBCSD)の傘下にあり、ブリヂストン、グッドイヤー、ミシュランが共同議長を務めている。
世界のタイヤ生産能力のおよそ60%を占める主要タイヤメーカーのCEOが参画するCEO会議は、2年に一度開催され、CEOはTIPが推進する活動の進捗・成果を確認するとともに、その後2年間の活動計画を承認する。また、TIPの活動計画は、Assurance Groupと呼ばれる第三者の外部科学者グループによりレビューされている。
2021年11月4日、タイヤ産業プロジェクト(Tire Industry Project:TIP)のCEO会議がオンラインで開催され、TIPが取り組む持続可能性に関する活動の進捗・成果について確認された。
■参加企業(アルファベット順)
株式会社ブリヂストン//コンチネンタル エージー/グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー/ハンコック タイヤ シーオー エルティディ/クムホ タイヤ カンパニー インク/ミシュラングループ/ピレリ アンド シー エスピーエー/住友ゴム工業株式会社/TOYO TIRE株式会社/横浜ゴム株式会社
■今回のCEO会議で確認された主な活動の進捗・成果
1.タイヤ産業としてサステナビリティに貢献するためのセクターロードマップを発行
バリューチェーン上のステークホルダーと協働し、2021年5月に、タイヤ産業としてサステナビリティに貢献するためのセクターロードマップ 「Sustainability Driven: Accelerating Impact with the Tire Sector SDG Roadmap」を発行した。このロードマップは、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)に照らし合わせ、タイヤ産業としてSDGsのどの目標に最も影響があり、貢献できるかを特定し、その実現に向けた取り組みの方向性を示している。
2.タイヤ生産における主要な環境パフォーマンス報告書を更新
TIP参加企業のタイヤ生産における主要な環境パフォーマンス指標を掲載した最新の報告書を発行した。CEOは、セクターロードマップの内容が持続可能なモビリティ社会の実現に向けて重要であり、SDGs達成にはこの環境パフォーマンス指標の活用継続が必要であると考えている。
3.タイヤと道路の摩擦により発生するタイヤ摩耗粉塵(Tire and Road Wear Particles:TRWP)の科学的な研究の進展と効果的なコミュニケーションの継続
TIPが実施したTRWPに関する全ての調査結果や関連情報が閲覧可能な新しいウェブサイトを開設した。また、化学物質マッピング研究の結果が報告された。
また、今回のCEO会議では、近年のTRWPに対する科学的視点による関心の高まりを鑑み、科学的根拠に基づく理解の向上がTIPの優先事項であることから、2022年から2023年の活動計画として、主に、以下の内容が承認された。
・10年以上に渡るTIPの研究をベースに、TRWPに関する暴露・危険性評価の継続(フィールドサンプリング調査、トレッドゴムの浸出液評価、生物蓄積への潜在的な影響の調査など)
・科学的手法を開発し、規格化を進めることによる学術界への貢献
4.ステークホルダーとのエンゲージメントを通じた、効果的な廃タイヤマネジメント(End-of-LifeTires:ELT)
TIPはELTステークホルダーワークショップを実施し、またELTマネジメントのためのツールキットを発行した。TIPは今後もELTに関する調査を継続し、ステークホルダーとのエンゲージメントを深めながら、グローバルレベルでのELTマネジメント向上を目指す。それに向け、ELT関連データやベストプラクティスなどをステークホルダー間で共有できるデジタルプラットフォームを形成することがCEOにより承認された。