トヨタ自動車傘下のTOYOTA GAZOO Racing(トヨタ・ガズー・レーシング/以下、TGR)は6月1日、「GRカローラ RZ」と「GRカローラ モリゾウエディション」(共に日本仕様のプロトタイプ)を世界初公開した。
“RZ”は、4月に公開された新型車「GRカローラ」の日本仕様グレード。一方の“モリゾウエディション”は、マスタードライバーのモリゾウこと豊田社長が自ら試作車のハンドルを握り、こだわりを持って作りこんだ「ドライバーを魅了する野性味」「気持ちが昂り、ずっと走らせていたくなる走りの味」を追求した、2シーターの台数限定グレードで、今回米国でも同時発表された。
“RZ”は今年秋頃から全国のトヨタ車両販売店を通じて販売。また、限定モデルである“モリゾウエディション”については、秋頃から抽選の予約受付を開始(※1)し、冬頃から全国のGRガレージ(GR Garage)で発売される予定だ。
カローラは、1966年の発売以降、トヨタを長年支えてきたモデルでもあり、WRC初優勝を飾った(※2)「TE25カローラ」や、その後1000湖ラリー(※3)を制した「カローラレビン」など、黎明期から同社のモータースポーツ活動でも活躍してきたモデル。時代の変化に合わせ、ワゴン、SUVなど、様々なライフステージで使用されるクルマへと進化してきた。
豊田社長は、「多くのお客様に愛していただけるクルマだからこそ、絶対にコモディティと言われる存在にしたくない。お客様を虜にするカローラを取り戻したい。」との強い思いから、GRカローラの開発を開始。開発にあたっては、レースで勝つために鍛えたクルマを市販化するという「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を実践。開発中のGRカローラに水素エンジンを搭載し、スーパー耐久シリーズに出場(※4)することで、新技術である水素エンジンを鍛えると共に、車両を総合的に鍛え直した。
また、「ドライバーを魅了する野性味」を追求するため、マスタードライバーの豊田氏を中心に、プロドライバー、社内の評価ドライバー、エンジニア、メカニックと一丸となって、様々な道で走り込みを実施。徹底的に不具合を出し尽くし、改善を重ねることで、「ドライバーと対話のできるクルマ」、「ずっと走らせていたくなるスポーツカー」へと仕上げたと云う。
[GRカローラ “モリゾウエディション” 車両概要] (RZとの比較)
・リヤシートを撤去し乗車定員を2名としたことで約30kgの軽量化を実現。
・最大トルクを370Nmから400Nmへ向上。中回転域のトルクを高めることで加速性能を向上。
・構造用接着剤を3.3m追加で塗布し、ボディ補強ブレースを追加することで、ボディ剛性をさらに強化。
・ディファレンシャルギアのローギアード化と、1~3速のクロスギアレシオ化により、動力性能の向上と、気持ちのよいギアのつながりを実現。
・10mm拡幅したハイグリップタイヤを採用することにより、コーナリング時の安定性・ブレーキ性能を向上。
・しっかりと体をホールドする専用セミバケットシートを採用。走行性能向上によってドライバーに多くのGがかかる中でも、正確なドライビングをサポート。
・インテリアでは、ドアトリムオーナメントやインストルメントパネル等に鋳物ブラック塗装を施し、ステアリングやコンソールにはウルトラスエード(※5)表皮を採用。スポーティな室内空間に上質さを加えた。
・外板色には、マットスティールを専用設定。さらに、こだわりの証として、ウィンドシールドガラスにモリゾウ氏のサインを施した。
<RZ(日本仕様車)/モリゾウエディションの主な諸元>(開発目標値)
※1:限定台数および予約抽選方法についてはGRカローラのWEBサイト<https://toyotagazooracing.com/jp/gr/corolla/ >にて後日公開予定。
※2:1973年に米国で開催されたプレス・オン・リガードレス・ラリーにて初優勝。
※3:現ラリーフィンランド。1975年に初優勝。
※4:ROOKIE Racingより、2021年第3戦から水素エンジンカローラでスーパー耐久シリーズに参戦。カーボンニュートラルとサステナブルなモータースポーツ業界の実現に向け、新たな動力源の選択肢である「水素エンジン技術」をモータースポーツの現場で鍛えることを目的とする。
※5:ウルトラスエードは、東レ(株)の登録商標。
※6:トルセンは株式会社ジェイテクトの登録商標。
■(トヨタ)GRカローラ:https://toyotagazooracing.com/jp/gr/corolla/
<RZ写真> ※以下全て。