写真の上段はスープラ(3.0L)一部改良モデル(日本仕様・プロトタイプ)/下段は特別仕様車 スープラ “A90 Final Edition”(日本仕様・プロトタイプ)
TOYOTA GAZOO Racing( TGR )は11月28日、3.0Lモデルのスープラを一部改良した。また併せて特別仕様車の〝A90 Final Edition〟も追加発表した。当該特別仕様車は、グローバルで300台の限定販売としている。
スープラは、1978年の初代誕生以降、直列6気筒エンジンのFR車という特徴を継承し進化し続けてきた。2020年および2022年には一部改良モデルを発売。またモータースポーツ参戦車両としてSUPER GT参戦の他、スープラをベースとしたレース専用車両のGR Supra GT4も世界で活躍している。
スープラ(3.0L) 一部改良モデル(日本仕様、プロトタイプ)
そんなスープラは2019年、マスタードライバーのモリゾウこと豊田会長の強い想いで17年ぶりの復活を果たしたクルマだ。発表に際し豊田会長は、「ニュルブルクリンクでの運転訓練で長い時間を一緒に過ごしたスープラは、自分にとって特別な旧友のような存在です。
当時、ニュルブルクリンクで他のメーカーが発売前のプロトタイプカーを走らせている中、私たちは、既に生産を終了した古いスープラでしか走ることができず、とても悔しい想いをしました。スープラ復活を待ち望んでいたのは世界中の多くのファンだけでなく、私もスープラを復活させたいという想いを密かに持ち続けていました。
新型GRスープラは、ニュルブルクリンクで鍛えられ、生まれたクルマです。走る楽しさ以上の経験を提供できるクルマになったと、自信を持ってお伝えします」と述べた。
今回の一部改良モデルでは、市街地からワインディング、サーキットまで存分に走りを愉しめるよう、更なる一体感のある走りを追求。安心・安全のためブレーキ性能を向上させた上で、ボディ、サスペンション、シャシー剛性の向上およびチューニングの最適化、空力性能の改善を施した。
また、先の通り現行スープラが、世界中のファンから支持を得ていること。世界各国のGTカーレース、ドリフト競技、およびNASCARなど様々なモータースポーツの現場でも多くのチームに採用されていることに対する感謝を込め、現行スープラの集大成として台数限定特別仕様車のスープラ〝A90 Final Edition〟を設定した。
同車はエンジン出力・トルクを向上させ、ブレーキやボディ剛性を強化し、レーシングカーに多く採用されるKW社のサスペンションシステムやハイグリップタイヤを採用するなど、走りに関する様々な要素をアップグレード。進化に合わせた最適なチューニングを行い、究極・最高の性能・仕様を備えた特別なモデルを作り上げた。
同社では、スープラ〝A90 Final Edition〟を集大成として現行スープラの生産終了を予定しているが、今後もモータースポーツ活動を通じて、スープラを鍛え続けていくと述べている。
なお新型スープラの導入予定地域と発売予定時期は以下の通り。
- スープラ(3.0L)一部改良モデル:日本、欧州、豪州などグローバルで順次導入予定 2025年春以降順次発売予定
- 特別仕様車スープラ “A90 Final Edition” :日本並びに欧州( 日本販売は現在検討中。欧州は2025年春を予定 )
スープラ(3.0L) 一部改良モデルの車両概要
1. ドライブトレーン
新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善しました。
2. ブレーキ
フロントに大径化したbrembo製ディスクブレーキを採用し、制動性能を強化した。
3. ボディ・サスペンション
状況に応じて減衰力を調整する電子制御ダンパーの特性を見直し、合わせてフロントスタビライザーも強化することで、走行性能を向上させた。
前後スタビライザーブラケットにアルミ強化品を採用。また、フロントコントロールアームに強化ゴムブッシュを、リヤサブフレームに強化ゴムマウントを採用することで、サスペンションとボディの一体感を高め、ロードインフォメーションをより伝わりやすくし、正確なハンドリングに貢献する。
リヤ床下ブレースの構造を強化することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させた。また今回の進化点に併せEPS制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現。コントロール性能を向上させている。加えて前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性を向上させている。
4. タイヤ・ホイール
ホイールカラーにマットブラックを採用し、精悍なスタイリングに磨きをかけました。
5. 外装
ダックテールタイプのカーボンリヤスポイラーを採用。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、フロントタイヤスパッツの高さを拡大することで前後の空力バランス、ダウンフォースを最適化し接地性とハンドリング性能を向上しました。
6. 内装
ドライバーシートにはGRロゴ刺繡を施したアルカンターラ®+本革シート表皮を使用。シフトノブのリングおよびステッチ( 6速マニュアルのみ )、シートベルトに赤色を採用しスポーティーさを強調させている。
特別仕様車 スープラ “A90 Final Edition”の車両概要
1.パワートレーン
吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせてエンジン制御を最適化することで出力を285kW(387PS)から320kW( 435PS )へ、トルクを500N・m(51.0kgf/m)から570N・m(58.1kgf/m)へ向上させ、加速性能とレスポンスを向上させた。
エンジンオイルパンにバッフルプレートを追加。コーナリング性能向上に伴う高G域でのオイルの偏りを防止した。
エンジン性能向上に伴い、冷却性能を強化。ラジエーター冷却ファンを強化すると共にサブラジエーターを追加し、さらに、ディファレンシャルギアカバーの冷却フィンを大型化した。
新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善させた。加えてアクラポヴィッチ製チタンマフラーを採用し、迫力のあるエンジンサウンドを実現した。
2:ブレーキ
フロントにbrembo製19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用し制動性能を強化。更に前後にフローティング構造のドリルドディスクを採用し、スポーツ走行時に於いても優れた制動力を確保した。
またステンレスメッシュのブレーキホースを採用し、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を押さえ、強化したブレーキシステムの性能を最大限引き出した。
3.ボディ・サスペンション
GR Supra GT4が採用しているKW製サスペンションを採用。伸び側16段、縮み側12段の減衰力調整を備えて様々な使用状況に対応した他、前後スタビライザーを強化することで、限界性能を向上させている。
フロントロアアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用し、リヤサブフレームをGR Supra GT4と同じアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感を向上。ロードインフォメーションがより伝わりやすくなり、正確なハンドリングに貢献する。
フロントカウルブレースを強化した上で、フロント床下ブレースを追加。リヤ床下ブレースの構造を強化し、室内には強化ラゲージクロスバーを採用することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させた。
今回の進化点にあわせ、EPS制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上した。前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性能を高めた。
4.タイヤ・ホイール
10mm拡幅したハイグリップタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」を採用。コーナリング時の安定性および限界性能を向上させている。フロント19インチ、リヤ20インチの軽量ホイールにはTGRのロゴを刻印している。
特別仕様車 スープラ “A90 Final Edition”(日本仕様、プロトタイプ)
5.外装
GR Supra GT4の開発を担当するTOYOTA GAZOO Racing Europe(以下、TGR-E)が空力性能開発を担当。TGR-Eの持つモータースポーツ参戦を通じて得た知見と、風洞実験施設を用いてテストを重ねた。
カーボンフロントスポイラー、カーボンフロントカナード、フロントセンターフラップを採用。更にGR Supra GT4を彷彿させるスワンネック構造のカーボンリヤウイングを装備することで前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグを最適化させることで、接地性とハンドリング性能を改善させた。
カーボンボンネットダクトを追加。脱着式のインナーダクトを採用し、取り外し時には冷却性能向上に寄与するようにした。
6.内装
シートパッドにアルカンターラ®素材を使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」を採用。走行性能向上によりドライバーにかかるGが増加する状況に於いても、しっかりと体をホールドし正確なドライビングをサポートする。また運転席シートを赤色とし、ドライバーオリエンテッドコクピットを強調した。
ステアリングホイール、ドアトリム、 センターコンソールニーパッド 、センターアームレスト、シフトノブ・ブーツ、インストルメントパネル中央部の表皮にアルカンターラ®素材を使用。また、赤色シートベルト、専用カーボンスカッフプレートを採用することにより台数限定モデルの特別感を高めた。
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スープラ(3.0L)一部改良モデル、特別仕様車 スープラ “A90 Final Edition”主要諸元 (プロトタイプ、社内測定値)
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スープラ(3.0L)一部改良モデル
- 全長 mm :4,380
- 全幅 mm :1,865
- 全高 mm :1,295
- ホイールベースmm :2,470
- トレッド( フロント・リヤ ) mm :1,595・1,590
- 乗車定員 :2
- 車両重量 kg:
1,520( 6速マニュアル )
1,530( 8速オートマチック ) - エンジン:直列6気筒
- 型式:B58B30O1
- 内径×行程mm:82.0 x 94.6
- 総排気量 L:2.997
- 最高出力 kW( PS )/rpm:285( 387 )/5,800
- 最大トルク Nm( kgf-m )/rpm:500( 51.0 )/1,800~5,000
- トランスミッション:6速マニュアル/8速スポーツオートマチック
- 駆動方式:FR( 後輪駆動方式 )
- 差動装置:
F: – –
R: アクティブディファレンシャル - サスペンション:
Fロント マクファーソンストラット
Rヤ マルチリンク - ブレーキ:
F; brembo製18インチアルミ4ポット対向キャリパー+374mm径ディスク
R: フローティングキャリパー+345mm径ディスク - ホイール:19インチ鍛造アルミホイール
- タイヤ( F+R ):255/35ZR19・275/35ZR19 MICHELIN PILOT SUPER SPORT
- 燃料タンク容量 L:52
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特別仕様車 スープラ “A90 Final Edition”
- 全長 mm:4,380
- 全幅 mm:1,865
- 全高 mm:1,275
- ホイールベース mm:2,470
- トレッド( フロント・リヤ ) mm:1,595・1,585
- 乗車定員:2
- 車両重量:1,528
- エンジン:直列6気筒
- 型式:B58B30O1
- 内径×行程 mm:82.0 x 94.6
- 総排気量:L 2.997
- 最高出力 kW(PS)/rpm:320( 435 )/6,000
- 最大トルク Nm( kgf-m )/rpm:570( 58.1 )/4,500
- トランスミッション:6速マニュアル
- 駆動方式:FR( 後輪駆動方式 )
- 差動装置:
F: – –
R: アクティブディファレンシャル - サスペンション:
F:マクファーソンストラット
R:マルチリンク - ブレーキ:
F:brembo製19インチアルミ4ポット対向キャリパー+395㎜径フローティングドリルドディスク
R:フローティングキャリパー +345mm径フローティングドリルドディスク - ホイール:
F:19インチ鍛造アルミホイール
R:20インチ鍛造アルミホイール - タイヤ( F+R ):265/35Z1R19・285/30ZR20 MICHELIN PILOT SPORT CUP2
- 燃料タンク容量 L:52