米・テスラ社(本社:米国カリフォルニア州パロアルト、CEO:イーロン・マスク)は米国時間の1月2日、自動車業界で注目を集めていた新型セダン「モデル3」の第4四半期に於ける車両販売・納入実績を発表した。(坂上 賢治)
これは同社が「2018年の第4四半期(10~12月期)」と、「2018通年の世界新車販売(納車)台数」を発表したことにより判明したもの。それによると第4四半期間中の納入実績は1550台であり、テスラは予てより量産計画で遅れを出していた生産上の課題を次第に克服しつつあるようだ。
昨年1年間を通した数値では計24万5240台の車両を納入。個々車両別ではモデル3が14万5846台。モデルSとXが9万9394台となり、特にモデル3は中価格以上の製品で現金/ローン取引、かつ北米の顧客限定と販売対象が極めて狭く限られていたものの、総受注数の4分の3以上は新規顧客からの申込みであったという。
結果2018年第4四半期の世界販売(納車)台数は、9万700台で、これは前年同期比で3倍の伸び率となり、第3四半期から8%の累積増を達成。
この数値には6万3150台を売り上げたモデル3(第3四半期比13%の成長でシリーズ最量販車に)、1万3500台(前年同期比は11.2%減)を売り上げたモデルS、及び1万4050台(前年同期比7.1%増)を売り上げたモデルXが含まれる。
なお現、第4四半期段階で1010台のモデル3と、1897台のモデルS及びXが個々の顧客に向けて輸送中となっており、2019年第1四半期初頭には全ての納入が完了する予定。
テスラはモデル3の生産台数が週間5000台に到達する時期について永らく先延ばしにしてきたが、1日あたり約1000台の車両生産については遂に達成した。
ちなみに米国内販売台数でテスラは、第3四半期の段階でメルセデス・ベンツ超えを実現していたが、当地の調査会社Atherton Researchによると、第4四半期にはBMWを上回る可能性が高まっている。仮にこれが実現した場合、米国産のプレミアム車両が十数年ぶりに米国内首位の座に着くことになる。
このためテスラは、販価の戦略化で拡販のチャンスがあるとし、1月2日以降に米国内でモデルSやモデルX、モデル3の販売価格を2000ドル分引き下げると宣言した。これによりテスラは、これまでのEV購入に関する税優遇措置(連邦EV税額控除)の縮小を補う構えだ。
同税優遇措置とは、米政府のエコカー普及促進の税控除制度でテスラ車が得てきた優遇措置を指す。控除額は2018年6月迄は3750ドル。7月からは1875ドルの控除額となっていた。
なお今後モデル3は、2019年2月に中国内での車販開始を想定している。さらに1月7日には上海東部でテスラ組立工場の起工式を実施。イーロン・マスクCEOは、早ければ年末までにモデル3の現地生産を開始したいとの意向を語っている。その他、右ハンドル車を含む他市場への販路拡大は2019年の後半を予定している。
テスラでは「2018年の業績は、米国自動車史に於いて最大の成長を実現した1年間でした。今年私たちは、年間12万台レベルの数値で歩み始め、年末に年間約35万台以上と約3倍の増加を果たしました。
当社は持続可能なエネルギー利用の世界に対して、目に見える影響を与え始めています。また2018年は米国車のモデル3 が米国内で最も売れている高級車となった1年でした。
私たちは、この目標達成にご貢献頂いたお客様、サプライヤー、投資家。そして特に私たちの従業員に感謝したいと思います」と結んでいる。