スペインの大手通信会社のテレフォニカ(TELEFONICA)と自動車メーカーのセアト(SEAT S.A. )は、7月24日、モバイル用通信ネットワークを活用するセルラーV2X(C-V2X)による安全運転支援システムの実証実験をスペインで初めて実施した。
実証実験は、スペインの都市セゴビアが実施、テレフォニカ等の企業が協力する5G技術都市プロジェクトの一環として、同都市内で行われたもの。
セルラーV2Xとは、一般のモバイル用通信ネットワークを活用して車と車間(V2V)や車と道路インフラ間(V2I)等、車とその周囲にある様々なものを通信でつなぐシステムのこと。
次世代通信規格である5Gが将来的に普及することにより、このセルラーV2Xのシステムは、ドライバーへの安全運転支援や自動運転への活用が期待されているのだ。
実験は、セアト製SUVのAteca(アテカ)に、自動車部品サプライヤーのFICOSA(フィコサ)が開発したセルラーV2X通信デバイスを装備して実施。
実験が行われた道路の交差点にある信号機には、車両との情報通信を行う装置やセンサー類を設置し、車両と道路インフラ間の通信プラットフォームであるMEC(マルチ・アクセス・エッジコンピューティング)サーバを実装した通信機器は、Nokia(ノキア)が提供している。
実験では、まず、車両が交差点に差し掛かった時に、障害物で見えない歩行者が道路を横断しようとしていることを、ドライバーへ計器パネルで警告を出す機能を検証。
さらに、車両が道路を走行中に、前方の信号が赤に変わろうとした時に、車両の位置や速度等に応じて、交差点を通過できるかどうかの警告を出す実験も行われ、いずれも成功している。
これら実証実験の結果を踏まえ、セゴビアやテレフォニカ等は今後、5G技術を駆使し、道路等のインフラをより安全性が高いものにしていく検証を進める予定だ。