Z世代を中心に、若者層から訴求、5MT車の発売は1月17日
スズキは12月6日、新型小型乗用車「スイフト」のウェブ発表会を開き、12月13日からCVT(無段変速機)車を発売すると発表した。新型車は4代目で、鈴木俊宏社長は「スイフトの誕生により、スズキが大きく成長できた」と世界戦略車に位置づけるモデルだと強調した。(佃モビリティ総研・松下次男)
新型スイフトは先のジャパンモビリティショーでコンセプトモデルを公開。同車には5MT(マニュアルトランスミッション)も設定しており、MT車は2024年1月17日から発売する。新型スイフトの国内の目標販売台数は年間3万台。
2004年に発売したスイフトはこれまでに169か国・地域に投入しており、累計販売台数は今年10月末時点で約900万台に達する。新型車も日本を皮切りに、順次、世界各国で販売する。
鈴木社長は一新した新型スイフトについて最新のパワートレインに加え、先進の安全予防技術を装備することにより「洗練されたスマートコンパクト」に仕上がったと表現した。
スイフトが位置するカテゴリーのコンパクトハッチは日本市場で約20%のマーケットシェアがある。
主要なターゲット層はZ世代を中心にした若者層で、これまでも同モデルの購入者は「20歳代から30歳代の若年層が半数を占め、他社の同クラスのユーザーより年齢層が約10歳若い」(小堀昌雄チーフエンジニア)と話す。
新型スイフトは「エネルギッシュ×軽やか、日常の移動を遊びに変える洗練されたスマートコンパクト」をコンセプトに開発。車両パッケージングは3代目とほぼ同じで、全長3860ミリ、全幅1695ミリ、全高1500ミリのコンパクトサイズだ。
商品特長では「一目見たら印象に残るデザイン」や「細部にまでこだわって進化させた走行性能・乗り心地」「日常運転に安心をサポートする先進の安全技術」「使い勝手のよい装備」などをアピールする。
パワートレインは、新開発の1・2リットル3気筒のZ12E型エンジンとCVTを採用。1リットル当たりの燃費はマイルドハイブリッドモデルで25・4キロメートル(2WD車、WLTCモード走行)の低燃費を達成。
4代目は5MT車にもマイルドハイブリッドを標準装備する。ちなみにMT車の販売比率は5%程度とし、ユーザーからの要望が高かったことからMT車の設定を残した。
先進安全装備では、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせたデュアルセンサーブレーキサポートIIを採用。先代のスイフトに搭載されていたデュアルセンサーブレーキサポートよりも画角・検知エリアを拡大し、検知対象に自転車や自動二輪車を追加、交差点での検知にも対応する。
ナビゲーション横に取り付けたカメラがドライバーの顔情報を認識し、取得した顔情報から居眠り、眠気、脇見を検知して注意を促し、安全運転をサポートするドライバーモニタリングシステムをスズキで初めて採用した。
さらにフロントバンパーとリヤバンパーに内蔵した超音波センサーにより、前方または後方の壁などを検知し、衝突の可能性があると判断した場合に被害軽減・衝突回避を試みる低速時ブレーキサポート(前進・後退)を搭載(5MT車を除く)。
このほかミリ波レーダーと単眼カメラにより、車両前方の状況を認識し、ハイビームの照射範囲を制御するアダプティブハイビームシステムなどを採用し、運転操作の負担軽減を図っている。
車両価格(消費税込み)はエンジン車(XG)が172万7千円(2WD)と189万2千円(4WD)。マイルドハイブリッドモデル(CVT車)が192万2800円から233万2千円。5MT車は192万2800円。
価格は前モデルに比べて多少アップしたが、国内営業本部長の鈴木敏明取締役専務役員は「原材料費の高騰や安全装備の充実分が含まれる一方で、コスト削減によりお求め安くなるよう上昇を抑えた」と説明した。