21年3月期通期業績見通しを公表、売上高3兆円、営業利益1600億円目指す
スズキが11月5日発表した2021年3月期第2四半期(4~9月)連結決算は、日本や主力市場のインドで販売回復の兆しが出てきたことにより利益が第1四半期段階から大きく改善した。また未定としていた2021年3月期の通期業績見通しもあわせて公表し、「売上高3兆円を目指す」と表明した。(佃モビリティ総研・松下次男)
主力のインドでの販売台数は7~9月期に急回復。新型コロナウイルス感染症拡大に伴うロックダウンの影響で4~6月期、前期比8割強の大幅減だったところから一転し、7~9月期は同19・6%増と伸びた。通期では「前期比80%水準」を算定する。
日本についても7~9月期は前年を上回る実績を達成した。こうしたインドや日本での第2四半期の収益改善から、収益が持ち直してきた。
2020年度第2四半期累計の連結業績は売上高が1兆2702億円で前年同期比27・6%減、営業利益が749億円で同36・8%減、純利益が543億円と同31・5%減となった。
また、収益回復に加え、原価低減や研究開発費など経費削減に取り組んだが、販売台数減をカバーするまでに至らなかったという。第2四半期段階での売上高営業利益率は5・9%(前年同期6・8%)水準となった。
グローバルの四輪車販売台数は96万6千台で同31・4%減。四輪車生産台数は96万3千台で同34・1%減の実績となった。四輪車販売を地域別にみると、インドは43万2千台で前年同期比36・1%減。ロックダウンの影響で4月の販売数ゼロに落ち込んだが、7月以降は前期を超える水準に回復。9月には15万台の販売台数を達成した。
ちなみにマルチ・スズキ・インディア社の業績も第1四半期は最終利益が赤字だったが、第2四半期は円換算で165億円(前年同期432億円)へと黒字転換した。ただし、営業利益は60億円の赤字(同283億円)を余儀なくされた。売上高は3056億円(同5438億円)だった。
またインドでは新工場であるグジャラートC工場を来年4月に稼働開始することも公表した。
インドネシアとパキスタンはコロナ禍の影響が長引き厳しい状況が続く
日本の四輪車販売は28万2千台で同15・3%減の実績。内訳は、軽自動車が23万4千台で同14・1%減、登録車が4万7千台で同20・8%減だ。ただし、7~9月期では軽自動車14万6千台で同7・1%増、登録車3万台で同0・8%増とそれぞれプラスを達成した。
欧州は9万5千台で同36・3%減となった。インドを除くアジアは9万6千台で同40・3%減。うちインドネシア、タイ、フィリピン、ミャンマー、ベトナムのASEAN(東南アジア諸国連合)5か国での四輪車販売台数は5万4千台で同38・5%減の実績だ。
中でも、インドネシアとパキスタンは新型コロナの影響が長引いており、依然、同5割以上の落ち込みと厳しい状況が続いている。
二輪車は生産台数が60万台で同32・1%減、販売台数が67万5千台で同23・2%減となった。
前回まで未定としていた通期業績見通しもインドや日本で回復に兆しが見えてきたことから公表した。売上高3兆円(前期比14%減)、営業利益1600億円(同25・6減)、当期純利益1100億円(同18・0%減)を見込んでいる。
通期の生産、販売計画も算定。四輪車は生産台数が252万9千台で前期比14・7%減、販売台数が237万8千台で同16・6%減を予想。
四輪車の地域別販売台数見通しは、日本が63万6千台で同5・4%減、欧州が22万1千台で同15・6%減、アジアが138万3千台で同20・6%減、その他が13万8千台で同21・2%減を見込んでいる。
二輪車は生産台数が135万6千台で同21・6%減、販売台数が147万8千台で同13・5減の計画となっている。