スズキ株式会社(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:鈴木俊宏)は12月24日、都内に於いて記者発表を行い、軽ワゴンとSUV(スポーツ用多目的車)を融合させ2014年に発売した軽乗用車「ハスラー」を全面改良し、2020年1月20日から発売する。(坂上 賢治)
刷新したハスラーは、アウトドアアイテムから発想を得た特徴的なデザインをキープコンセプトとしつつ、昨今のSUV市場の主流化に沿って、より広い顧客層に受け入れられるハスラーを目指して開発したという。
具体的には、荷室側から操作可能なリヤシートスライドや、荷室下に防汚タイプラゲッジアンダーボックスを採用する等、普段使いの買い物などでの使い勝手に着目して改良を施した。
安全面では、夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」に加えて、後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」を標準装備化。
これにより街中や駐車場での利活用での利便性を強く訴求した使用となっている。加えてターボ搭載車には、全車速での追従機能を備えたアダプティブクルーズコントロール(スズキ軽初)や、車線逸脱抑制機能(スズキ軽初)を搭載して一般ユーザーから注目されている安全運転支援機能を拡充させている。
この結果、同車は経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「サポカーS ワイド(衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援機能を備えた車)」や国土交通省による「衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)認定車(走行中または停止中の衝突被害軽減ブレーキ性能が国土交通省に認定された車)」に該当させている。
車体骨格では、新世代プラットフォームとしての同社の設計思想「HEARTECT(ハーテクト)」を背景に、ボディ全周を縦に取り囲む環状骨格構造でたわみの少ない車体剛性とし、ステアリング操舵の確かさとサスペンションダンパーの性能をダイレクトに感じられる乗り心地の確かさを狙う。
動力源は、新開発となったR06D型エンジン(NA車)と新開発のCVTを組み合わせて、実用速度域での燃費性能に拘っている。またマイルドハイブリッドを全車に搭載した。
総体的に限られた時間での会見場での記者の印象では、先代車との変化はあまり大きく目立たず、街中で先代車の存在を認識している層にとっては「変わった感」と新味性はかなり薄い印象を受ける。
逆に既存の先代車ユーザーにとっては、フロントのヘットライト周りとボンネットの造形や、インストルメントパネルの印象など刷新された感覚を強く与えるものとなっている。
仮に実際に試乗した場合は、車体剛性の強化や、安全装備の充実、パワーユニットの改善効果など、強く訴求する点も大きいと見られ、そうした意味では先代車の代替えユーザーの増加により、消費マーケットへの浸透が加速していく印象を受けた。スズキとしても先のようなマーケット戦略を絵に描いているのかも知れない。販売目標台数の月間目標は6,000台としている。
メーカー希望小売価格(消費税10%込み)は以下の通り
メーカーオプションは(価格は消費税10%込み)以下の通り
なおさらに以下は、スズキが謳う新型「ハスラー」の主な特長となる
(1)個性的なデザインとタフで力強いスタイル
エクステリア
– ひと目でハスラーと判るキャラクターと、タフさを印象付けるエクステリア。
– 丸型ヘッドランプと、スクエア基調のグリルは特徴的なアイコンとして踏襲。さらにフードを持ち上げることで厚みのある顔周とした。
– 立てたピラーと、ロングルーフによるスクエア型の大きなキャビン。ピラーをボディー同色とし、ピラーの存在をしっかり見せることで、力強く、頑丈なイメージを持たせた。
– 鉄板による張りや曲げなどの特徴を追求し、強く深みのあるボディー断面を表現。リヤクォーターガラスにより広い視界を確保。
– クロスカントリー車に見られる幌やハードトップから発想を得た、遊び心ある2トーンカラーを採用。
インテリア
– インパネデザインはタフな世界観を演出する3連インパネカラーガーニッシュを採用。上下のバーでガーニッシュを挟み、力強い骨格を表現。
– 4.3インチカラー液晶メーターを採用。視認性、アニメーションにも拘りを見せている。
– インパネとドアトリムには、車体色に対応した3色(バーミリオンオレンジ、デニムブルー、グレーイッシュホワイト)のカラーパネルを採用。
– シートは縞鋼板柄のシート表皮に、車体色に対応した3色(バーミリオンオレンジ、デニムブルー、グレーイッシュホワイト)のカラーアクセントを採用。
車体色
– ガンメタリック2トーン3色、ホワイト2トーン3色、モノトーン5色の全11色の車体色を設定。
– ガンメタリック2トーン仕様車に、新色の「バーミリオンオレンジ」、「デニムブルーメタリック」を設定。
(2)広くて使いやすい室内と進化したパッケージング
快適で広い室内空間
– ハーテクトの採用とホイールベースを35mm延長し後席乗員の足元空間を確保。前席は左右乗員間距離を30mm拡大した。
高い走破性と取り回しの良さを実現
– アプローチアングルを1°、デパーチャーアングルを4°拡大。ホイールベースを延長しなつつ最小回転半径4.6mとしている。
日常から遊びのシーンまで使い勝手が大幅に進化したラゲッジスペース
– 荷室側からも操作可能なスライド用ストラップを後席背面に採用し、シーンにあわせてラゲッジスペースの荷室容量の調整を可能にした。
防汚性に優れた機能的な装備
– 後席の背面やラゲッジフロアは、汚れをふき取りやすい素材を採用。
– 荷室下には防汚タイプラゲッジアンダーボックスを採用。ラゲッジボードを外せば荷室高が拡大し、背の高い荷物を収納することができる。またボックスは取り出して洗うことができ、汚れものの収納に使える。
(3)さらに充実のスズキ セーフティ サポート
夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキを採用
– 夜間の歩行者を検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能と、ヘッドランプのハイビーム /ロービームを自動で切り替えるハイビームアシストを搭載。一時停止標識の認識を追加した標識認識機能も採用した。
– リヤバンパーに内蔵した4つの超音波センサーで後方の障害物を検知する「後退時ブレーキサポート」を採用。さらに後方誤発進抑制機能、リヤパーキングセンサーを搭載。
スズキ軽初「アダプティブクルーズコントロール(ACC)[全車速追従機能付]」をターボ車に設定
– ターボ車には、全車速での追従機能を備えたアダプティブクルーズコントロール、車線逸脱抑制機能をスズキ軽初採用。
安全運転をサポートする全方位モニター用カメラ
– フロント、リヤ、サイド(左右)の計4か所に設置したカメラの映像を合成・処理し、自車周辺を俯瞰的に見ているような映像をモニターに映し出す全方位モニターに、周囲を立体的に360°確認できる「3Dビュー」を採用。
– 自車の前方および後方で左右から人や物が自車に近づいてくることを知らせる「左右確認サポート機能」を搭載。
– シフトレバーをバックからドライブに切り替えた際、カメラ映像がフロントビューに自動で切り替わる「フロントビュー自動表示機能(切り返し時)」を採用しサポート機能を充実。
– メーカーオプションの全方位モニター付メモリーナビゲーションは、カメラ映像のデジタル伝送化に対応し、カメラ映像の鮮明な表示が可能。* 全方位モニター用カメラパッケージ装着車は、対応ナビゲーション装着を前提とした仕様とした。
(4)徹底的に鍛え上げた走行性能と快適性能
– 新開発エンジンをNA車に搭載し、低速から中高速までの実用速度域での燃費性能を実現。
– スズキ軽初のデュアルインジェクションシステムを採用。1気筒あたり2つのインジェクターで燃料を微粒子化することで、燃料と空気の混合気を均質化。燃焼効率を高め、燃費も走りも向上させた。
– スズキ軽初のクールドEGRを採用し、燃焼温度を抑制することでノッキングの発生を抑え最適なタイミングでの燃焼を実現。
– 燃費性能を追求した新開発CVTで燃費性能を高めた。また高速域のハイギヤード化で燃費性能も向上させている。
– 操作性を高め振動を抑えたステアリングを採用。サスペンションチューニングも刷新した。
– バックドア、センターピラー、サイドドアに「環状骨格構造」を形成してボディー全体で剛性を高めた。
– ボディーのスポット溶接部に「構造用接着剤」をスズキ初採用し、部品間の接合を強化した。
– こもり音や雨音を低減する「高減衰マスチックシーラー」を軽自動車で初採用し、防音材や遮音材を組み合わせる事で静粛性の高い室内空間を狙う。
変化する路面状況に応じた走りを可能にする4WDシステム
– 雪道やアイスバーンでのスムーズな発進をサポートする「スノーモード」を新たに採用。ぬかるみや滑りやすい路面で発進をサポートする「グリップコントロール」、急な下り坂で車速を約7km/hで維持する「ヒルディセントコントロール」と併せて4WD車に標準装備。
(5)見やすく、操作しやすい大画面ナビ
– 高画質で大型の9インチHDディスプレイを採用したナビゲーションをスズキ初のメーカーオプション設定とした。
– GPSはみちびき・GLONASS(グロナス)を測位可能とし、ビル街や山間部など測位が難しいエリアで自車位置精度を安定して表示させた。
– 走行距離や平均燃費などの走行に関するリアルタイムな情報や、半ドア状態やシートベルト未装着などの警告情報など情報表示を豊かにした。
– 車内でも安心、安全にスマートフォンアプリの機能を使用できるスマートデバイスリンクに対応し、スマートフォン連携機能が充実させた。
– カメラ映像のデジタル伝送化により、鮮明な映像を大画面に表示する全方位モニターを採用した。