スズキ代表取締役 社長の鈴木俊宏氏
スズキは10月16日、東京都内に報道陣を招き、コンパクトSUVの新型「フロンクス」の発表・発売を明らかにした。目標販売台数(月間) は 1,000台。販売価格は2WDが254万1000円、4WDが273万9000円。先行予約は先の8月1日に開始して主要販社を巡回、既におよそ9000台の受注を獲得したとしている( 坂上 賢治 )
スズキ商品企画本部 四輪B・C商品統括部チーフエンジニアの森田祐司氏 スズキ商品企画本部 四輪デザイン部の加藤正浩氏
同社によると新型「フロンクス」は、扱い易いクーペスタイルのコンパクトSUVを日本市場で訴求するべく、洗練されたスタイリングと力強さを兼ね備えた車体、並びに仕様として仕立て上げられたモデルだという。
発表会見の壇上で鈴木俊宏社長は「新型フロンクスは、世界の70カ国以上での好調な販売実績を持つ世界戦略車です。従ってBセグメントに属する小型SUVの競争が激化する日本市場に於いても、新たなユーザーを獲得して当社のマーケットシェアを拡大してくれるものと確信しています」と述べた。
ここで一旦、そんなフロンクスの源流を遡ると2015年登場のバレーノに行き着く。バレーノ自体もモデルチェンジを繰り返しつつ長きに亘り成長を続けたクルマだ。
新型フロンクスは、そうしたベースモデルのクーペコンセプトを承継しつつも、より洗練度を高めてスポーツフィーリングに磨きを掛けたモデルとなっている。従って新型フロンクスも長きに亘り、バレーノが生産されてきたインドのグジャラート工場から日本国内に向けて出荷される。
スズキ日本営業本部 本部長の玉越義猛氏
同社によると出荷車両は、日本向け仕様車として繊細なチェック工程を受けて送り出され、搭載装備も他国向けの仕様とは大きく異なっている。従ってスズキとしても日本のユーザーが新型フロンクスをインド生産車と捉えることなく、世界のいずれの地域で作っても同一品質を誇るスズキ製品だと捉えて欲しい。当社としても出荷車両については、万全の自信を持って送り出していると話している。
実際、今やメーカーを問わず、多くのプロダクトが国家の枠組みを超えて出荷される時代であり、もはや、どの国で作られても心を込めて生産されたスズキ車であることに、疑う余地はないだろう。
さて各部を見ると、まずエクステリアは、流麗なクーペスタイルを保ちつつ存在感のあるフロントマスクと2段式のヘッドライト、ダブルフェンダーを設けたことによって力強い演出感が加味されている。それだけ都市の交通環境に於いて、コンパクトSUVが溢れ返る中であっても独自の個性を主張できることに拘ったとしている。
外寸の実測は、全長3,995mm×全幅1,765mm×全高1,550mmと、後席の足元空間に配慮して横幅に比較的余裕を持たせたサイズとしつつ、最小回転半径は4.8mに収めて日常での使い勝手に配慮した。
インテリアは、レーザー調のシート素材に華やかなボルドーの配色を施した上で、内装パネルの一部に金属素材を思わせる高輝度シルバー塗装の加飾を施し、ドライバーを含む乗員に車両の精悍さと強靱な骨格イメージを訴求するものとなっている。
室内騒音への配慮では、プロペラシャフトの共振を低減させるダイナミックダンパーを装着。フェンダー内部にエンジンの透過音とロードノイズを低減できるポリウレタン樹脂製の隔壁を搭載。4WD車の後輪駆動系に防振ゴムを追加する。併せて前部ドアガラスに加えて後部ドアガラスの厚さを増やす。フェンダーダッシュインナーサイレンサーや遮音壁などを随所に採用するなどで静粛性を高めて、車室内の会話が通り易い環境に配慮している。
また日常の使い勝手では、手持ちのスマートフォンを手軽に充電するためのワイヤレス充電台を設けたり、スマートフォン自体と連携できるナビゲーション機能を搭載。日本の交通環境下で重宝される電動パーキングブレーキも日本市場向けの専用仕様として標準搭載している。
走行性能面では、1.5L K15C型エンジンとマイルドハイブリッドに6AT(6速オートマチックトランスミッション)を組み合わせた上で、日本国内の専用仕様として4WD車が追加設定されている。
その他での日本国内専用仕様としての装備は数多く、例えば路面状況に合わせて使い分けができる「スノーモード」「グリップコントロール」「ヒルディセントコントロール」の3つのモードも専用搭載されている。
またパドルシフトと「スポーツモード」により、エンジンレスポンスが活発化され、更にスポーティな走行も愉しめる仕様だ。そもそも新型フロンクスは、インドで生産して各国へ出荷する世界戦略車であるゆえ、各地域のマーケットに適応させたベース仕様がある。
一方で日本国内向けの仕様車では、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせにより、検知対象を車両や歩行者、自転車、自動二輪車とし、交差点での検知にも対応した衝突被害軽減ブレーキデュアルセンサーブレーキサポートIIや、高速道路での運転をサポートするアダプティブクルーズコントロール(ACC)[全車速追従機能・停止保持機能付]、車線維持支援機能など、最新の予防安全技術についても日本国内のニーズに沿って充実した装備で固められている。
従って経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「サポカーS ワイド」、国土交通省による「ペダル踏み間違い急発進抑制装置(PMPD)認定車」に適合している。
ボディカラーは、2トーンルーフ仕様車が「スプレンディッドシルバーパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「アースンブラウンパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「オピュレントレッドパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「ルーセントオレンジパールメタリック ブラック2トーンルーフ」「アークティックホワイトパール ブラック2トーンルーフ」の5色展開。
対してモノトーンは、「スプレンディッドシルバーパールメタリック」「アークティックホワイトパール」「セレスティアルブルーパールメタリック」「ブルーイッシュブラックパール4」の4色がある。
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なお先の7月に伊豆サイクルスポーツセンターで短時間だけ試乗できたプロトタイプでは、他のライバル車に比べ、横幅のワイド感と背の低さが際立つ印象を受けた。特にブリスターフェンダーを備えた側面のプロポーションは、精悍さを備えている。
車室空間の居住性は、ヘッドクリアランスに充分な余裕があるが、フロントウインドウやリアウインドウが傾斜しているクーペボディゆえに開放感が高いと言えば嘘になる。しかし見方を変えれば、そのタイト感覚がクーペスタイルの魅力でもある。
着座してステアリングを握ってみると、インテリア空間の造形は、比較的コンサバティブな印象を受ける。その分、ワクワク感に欠ける訳だが、各部の操作系は判り易い配置であり、スポーティーな走りを純粋に愉しむには、ストレスなく扱える美点がある。
走行フィーリングは、伊豆サイクルスポーツセンターの曲がりくねったテストコースを走った限りは好印象だ。勇ましいサウンドと共に力強くダッシュしていく。
車室内空間の静かさはコースレイアウト上、中速域位までしか試すことはできなかったが、比較区的低めのギヤボジションで強引に引っ張って行っても、室内で、ボソボソとした小声で、乗員と走行状態を語り合えるほどの静粛性は確保されている。
また曲がりくねったコースを走って行くと、2WD(FWD)車のしなやかな走りが好印象だった。今回のテストコースは、比較的スムーズな伊豆サイクルスポーツセンターのロードコースであることを割り引かねばならないが、特にリアサスペンションの路面追従性が優れている。狭いコースを走り回っても伸びやかかつ、追従性の高さが続いた。
対して4WDは、リア駆動がプラスされるため車両姿勢が安定するので、ステアリングの切り始めの回頭性が高く、スレレス無く走れる。ただ一旦、旋回状態に入ってしまえば、FWDのバランスも悪い訳ではないので、価格を別にすると2WDと4WDの選択は好みが分かれる。
そもそもフロンクスは、爆発的なパワーを備えている訳ではないため、限られたパワーを使い切って軽快にクルマをコントロールしたい向きには2WD(FWD)の選択肢もあるだろう。
対してストレスなくドライビングを愉しみたいのであれば4WDとなりそうだ。その後、現段階ではプロトタイプしか乗っていない筆者ではあるが、最終製品となった新型フロンクスは、改めて、どのような印象を提示してくれるだろうか。
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▶メーカー希望小売価格(消費税10%込み)
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車種名:フロンクス
エンジン:1.5L DOHC 吸排気VVT(マイルドハイブリッド)
駆動:2WD
変速機:6AT
燃料消費率 WLTCモード走行(km/L):19.0
燃料消費率 JC08モード走行(km/L):21.3
価格(円):¥2,541,000-
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車種名:フロンクス
エンジン:1.5L DOHC 吸排気VVT(マイルドハイブリッド)
駆動:4WD
変速機:6AT
燃料消費率 WLTCモード走行(km/L): 17.8
燃料消費率 JC08モード走行(km/L):20.2
価格(円):¥2,739,000-
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▶メーカーオプション(消費税10%込み)
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メーカーオプション名:アークティックホワイトパール塗装車
価格(円):¥33,000-
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メーカーオプション名:2トーンルーフ仕様車
価格(円):¥55,000-
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メーカーオプション名:アークティックホワイトパールブラック2トーンルーフ仕様車
価格(円):¥88,000-