スズキが2月7日発表した2020年3月期第3四半期累計(2019年4~12月)連結決算は、インド四輪市場の遅れや為替が響き減収減益となった。同期間の儲けを示す営業利益は1704億円と前年同期比33・6%減の実績。通期業績予想は昨年10月10日の公表値を据え置いた。(佃モビリティ総研・松下 次男)
インド、10~12月期は祝祭シーズン需要もあり前年越えとなり、回復の兆しも
東京都内で決算発表会見した長尾正彦取締役常務役員は主力の四輪市場であるインドについて「10~12月期は祝祭シーズン需要もあり前年超えを達成し、回復の兆しが見え始めた」としながらも、貸し渋りなど金融面での厳しさから「まだ本格回復には至っていない」と述べた。
こうした中で、インドでは積極的に自助努力で拡販に取り組む方針を示し、法人減税分のユーザー還元や2月からの環境規制強化策BS6対応車の先行販売などを進める。BS6対応ではすでに全16モデルのうち、15モデルが対応済みだ。
新型コロナウイルスで先行きが懸念される中国については、すでに四輪事業から撤退しているため、影響は「軽微」との判断を示す。エンジン用ターボなどの一部部品では現地生産があるが、代替生産の検討も始めたという。
また、二輪車では中国の2社と合弁生産しているが、工場は武漢と離れており、当面「注視する」と様子見の段階だ。2019年度第3四半期累計業績は売上高が2兆6261億円で前年同期比7・5%減、当期純利益が1166億円で同35・5%減となった。販売台数は四輪車が216万台で同12・9%減、二輪車が134万4千台で同2・8増の実績だ。
日本は上期の検査体制再構築による減産の影響や台風被害と消費税率引き上げで減少に
地域別にみると、四輪車はインド、日本、パキスタンなどで減少。インドでは108万3千台の販売台数で同18・3%減となった。ちなみにマルチ・スズキ・インディア社の同期間の業績をみると、営業利益が477億円と前年同期に比べほぼ半減した。
日本は上期の検査体制再構築による減産の影響や台風被害、10月からの消費税率引き上げなどにより、48万5千台と同5・7%減となった。軽自動車と登録車の内訳は40万1千台、8万3千台で同4・7%、10・1%それぞれ減少した。
ASEAN(東南アジア諸国連合)の5か国の販売台数は13万7千台で同1・6%減となった。インドネシアで同9・4減、タイで同18・1%減と落ち込んだが、フィリピン、ミャンマーでは逆に同28・9%増、同16・8%増と好調となった。
生産台数は四輪車が220万台で同13・3%減、二輪車が132万4千台で同1・2%増の実績だ。
通期業績予想は前回公表の売上高3兆5千億円(前期比9・6%減)、営業利益2000億円(同38・3%減)、当期純利益1400億円(同21・7%減)を据え置いた。通期の販売台数も四輪車284万9千台(同14・4%減)、二輪車177万1千台(同1・5%増)予想と変更なし。