軽自動車の中核市場となったハイトワゴン向け主力モデル
スズキは11月9日、6年ぶりにフルモデルチェンジした軽ハイトワゴンの新型「スペーシア」「スペーシア カスタム」のウェブ発表会を開いた。新モデルは11月22日から発売する。目標販売台数は月間1万2000台。(佃モビリティ総研・松下次男)
同車のコンセプトモデルは先のジャパンモビリティショーで公開されており、鈴木敏宏社長は予防安全装備の充実などが高評価を得たとしたうえで、発売する新型車について「多様なニーズに応えたモデル」と強調した。
ハイトワゴンタイプは広い室内空間が得られることから今や軽自動車の主要市場へと拡大。スペーシアシリーズも2013年の初代の発売以降、累計台数が130万台に達した。
一方で、市場が拡大するに伴い各社から競合のハイトワゴンモデルが多く投入され、競争が激化。また、ユーザー層もファミリー層や子育て層だけでなく、幅広いライフステージで使われるようになり、ニーズも多様化してきた。
全車マイルドハイブリッドを搭載し、クラストップの燃費を実現
こうした中で、同社はスペーシアシリーズを進化させることにより、より多様なニーズへ対応させることにした。具体的にはクラストップの燃費を実現したことや先進技術、とくに安全装備を充実し自由度や広がり感を持たせた。
新モデルは全車にマイルドハイブリッドを標準装備し、スペーシアの2WDで1リットル当たり25・1キロメートル(Gクラス、WLTCモード)の燃費を達成。スペーシア カスタムのターボ車でも21・9キロメートルの燃費だ。
安全機能では、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」をスズキで初めて採用(全車標準装備)したほか、アダプティブクルーズコントロール(ACC、全車速追従機能・停止保持機能付)や車線維持支援機能を搭載する。
燃費、安全性能を向上し、王者のホンダ「N-BOX」を追随
デザインは、頑丈で大容量のコンテナをモチーフに、スペーシアは「心地よさ」や「ワクワク感」を、スペーシア カスタムは「上質感」と「華やかさ」を表現させている。
軽自動車は今や地方に欠かせない社会インフラ。このため、鈴木社長は軽自動車について必要装備だけに絞った「安価でお手頃なクルマ」が求められる一方で、道路事情や使い勝手の良さから登録車や小型車から「ダウンサイズして乗られるニーズ」も高まっていると指摘。
そこで安全装備を充実させたファーストカーの役割を持つ軽自動車の比重が高まっているとした。スペーシアシリーズはまさにこの分野に投入するモデルであり、鈴木社長は同モデルを登録車を含めた「ミニバンのファーストカー」と位置付けた。
半面で、競合も多く、軽ハイトワゴンの販売でトップを走るのがホンダの「N-BOX(エヌボックス)」。鈴木社長も同車を「王者」との認識を示したうたで、機能を進化させることで追随を目指すとアピールした。
車両価格(消費税込み)はスペーシアが153万100円から。スペーシア カスタムが180万1800円から。安全機能を標準装備した分、前モデルから価格がアップした。