7月以降、インドや日本で販売回復するものの、第1四半期の落ち込みをカバーできず
スズキが2月5日発表した2021年3月期第3四半期(4~12月)連結決算は、日本やインドで四輪車販売が回復するものの、期初の落ち込みをカバーできず減収減益となった。また、先行きについても新型コロナウイルス変異種の感染拡大や半導体不足などの不透明感が増していることから2021年3月期通期業績見通しは前回公表値を据え置いた。(佃モビリティ総研・松下 次男)
4~12月期の連結業績は売上高が2兆1755億円で前年同期比17・2%減、営業利益が1388億円で同18・6%減、当期純利益が1132億円で同2・8%減となった。売上高営業利益率は6・4%だった。
主力市場のインドや日本で7月以降、四輪車販売が回復し、諸経費についても800億円を超える削減を達成したが、4~6月の第1四半期の大幅なマイナスをカバーできなかったのが減収減益の要因だ。
10~12月の3か月ベースでみると、営業利益は639億円(前年同期518億円)となった。
4~12月の四輪車グローバル販売台数は、175万6千台で前年同期比18・7%減となった。
主要地域別にみると、日本は44万3千台で同8・5%減。内訳は登録車が7万3千台(前年同期8万3千台)、軽自動車が37万1千台(同40万1千台)。4~6月は減少したが、7~9月、10~12月とも前年同期を上回った。
インドは88万4千台と前年同期比18・4%減となった。7~9月は前年同期比19・6%増、10~12月は同11・0%増と前年を上回ったが、4~5月のロックダウンの影響により、第1四半期が6万6千台(前年同期37万台)の販売にとどまったのが響いた。
ちなみにマルチ・スズキ・インディア社の第3四半期の連結業績は円換算で売上高が6237億円(前年同期8505億円)、営業利益が152億円(同477億円)だった。インドでは新たに「ジムニー」の生産を開始し、1月から輸出を始めた。
インドネシア、タイ、フィリピン、ミャンマー、ベトナムのASEAN(東南アジア諸国連合)5か国の四輪車販売台数は9万5千台で同30・1%減となった。タイ、ベトナムは前年を上回ったが、インドネシア、フィリピン、ミャンマーが新型コロナ感染症の影響で大幅に落ち込んだ。
4~12月の四輪車生産台数は38万5千台で前年同期比17・5%減となった。主要地域でみると、インド93万8千台(前年同期116万4千台)、日本68万台(同69万6千台)などとなった。
二輪車は4~12月の販売台数が111万7千台で前年同期比16・9%減、生産台数が104万2千台で同21・3%減となった。
地域別の二輪車販売台数は、アジアが87万7千台で同21・1%減、日本が3万9千台で同4・2%増、北米が3万7千台で同35・1%増、欧州が3万1千台で同4・7%減、その他地域が13万3千台で同2・2%減となった。
事業別の4~12月の営業利益を見ると、四輪車は1266億円で前年同期比19・1%減、二輪車は前年同期のゼロから14億円の赤字、マリーン・その他が136億円と同1・5%減となった。
一方、2021年3月期の通期業績見通しは新型コロン感染症の動向が不透明なことに加え、半導体不足をはじめとした部品供給や原材料価格などの問題もあり、前回公表した売上高3兆円(前期比14・0%減)、営業利益1600億円(同25・6%減)、当期純利益1100億円(同18・0%減)を据え置いた。
販売台数見通しについても、前回公表値の四輪車237万8千台(前期比16・6%減)、二輪車147万8千台(同13・5減)の予想を据え置いた。