新興国通貨の影響や諸経費の増加で19年3月期決算は4期ぶりに減益へ。リコール実施に伴う特別損失813憶円を計上
スズキが5月10日発表した2019年3月期連結決算は、四輪、二輪とも販売台数を伸ばしたものの、インドルピーをはじめとした新興国通貨安や諸経費増の影響を受け増収減益となった。
また、東京都内で開いた決算会見の冒頭に、鈴木修会長が完成検査における不適切な取扱いに伴ってリコールを実施することになったことについて「お詫び」した。2020 年3月期決算については引き続き主力のインドを中心に四輪車の販売増を見込むが、為替の影響や景気不透明感などから売上高、営業利益とも前期並みを予想。
2019年3月期連結決算は売上高が3兆8715億円で前期比3・0%増となった。営業利益は3244億円で同13・3%減と4期ぶりに減益となった。当期純利益はリコール実施に伴う特別損失813億円を計上したことなどから1788億円と同17・1%減となった。四輪車の販売台数は332万7千台と同3・2%増を達成したが、主力のインド市場で減速感が出るなど1~3月は前年割れとなった。
2020年3月期は売上高3兆9000億円、営業利益3300億円、当期純利益2000億円を予想。新車販売台数は334万台と前期に比べ1万3千台の伸びを計画。引き続きインドを中心にアジアで高い伸びを見込むが、消費税率引き上げが予定されている日本は5千台減の72万台の予測となっている。
会見した鈴木俊宏社長はインド市場について「昨年12月以降、盛り上げりにかけ、現状も同様の状態が続き、やや踊り場的な要素となっている。ただし、2030年に向けては、右肩上がりが続くだろう」と述べた。
また、電気自動車(EV)をはじめとした先進分野への投資を加速させるとともに、「インドを引き続き拡充するが、それに続く、柱となる市場を育てたい」との見解を示した。
完成検査の不正に伴うリコールの実施について鈴木会長は「できるところは10連休となったゴールデンウィーク中もお願いした。完了は1年をめどに達成したい」と述べた。(佃モビリティ総研・松下 次男)