高いドライビング着座と両側スライドドアを備えたクルマ
スズキは8月27日、軽乗用車の新型「ワゴンRスマイル」を9月10日から発売すると発表した。広い室内区間と両側スライドドアの利便性を兼ね備えた新ジャンルの軽ワゴンと位置付ける。月間販売目標は5000台。(佃モビリティ総研・松下 次男)
ワゴンRの名を借り、一から開発した新モデルと表明
オンラインで開いた新車発表会で鈴木俊宏社長は「乗降のし易さと大きな荷物を出し入れできる両側スライドドアの採用により、機能性を高めたのが最大の特徴」と強調すると共に、コロナ禍の影響が色濃い環境下で、「こんな時こそ笑顔を大切にしたい。お使い頂くお客様を笑顔にしたい」と車名に込めた思いを披露した。
そんな新型車は、ワゴンRの車名を用いているが派生車の位置づけでなく「一から開発した」(高橋正志チーフエンジニア)と新モデルとの見方を示す。背景にあるのが「ワゴンの大きさで、スライドドアを求める」ユーザーの声が多かったためだ。
今や軽乗用車市場では今やスライドドアの採用車比率が半数を超える。このような中、スズキは5割に満たず、スーパーハイトワゴンのスペーシアなどに続き、今回のワゴンRスマイルを投入することで、販売上乗せを目指す。
高いドライビング着座と両側スライドドアを備えたクルマ
スズキはこの4~7月の新車販売で軽自動車が前年同期比13・4%増、登録車が同8・9%増の合計12・7%増を達成した。
しかし、コロナウイルス感染症の再拡大や半導体不足など影響を受け、7月単月では「前年の7割の水準に留まる」(鈴木敏明取締役専務役員)。コロナ前の2019年4~7月との比較では15・6%減と依然、以前の水準には戻っていない。
このため、ユーザーの望むスライドドア採用車を充実する事で、拡販、シェアアップに繋げたい考え。懸念の半導体不足に伴う車両供給面については「部品調達にめどがついたことから新型車の販売に踏み切る事にした」と述べ、販売目標台数分は確保出来ているとの見通しを示す。これによりユーザーに「迷惑をかけないよう取り組んでいく」と述べた。
新型車はワゴンRの特長である広い室内空間と高い機能性に加え、スライドドアの利便性、個性的なデザインを兼ね備えたモデルに位置付ける。目標とするユーザーターゲット層は「幅広い世代へ提案していきたい」とした。
デザインは、私らしく乗れるスライドドアワゴン「マイスタイル、マイワゴン」をコンセプトに、四角いボディーフォルムと丸目のヘッドランプなどを採用することにより「シンプルで愛着のわくデザイン」に仕上げたのが特徴となっている。
月間販売目標は5000、半導体不足による供給懸念にも対応
パッケージングは、取り回し、使い勝手の良さに加え、ヘッドクリアランスを確保しつつ、前席のシートポジションをワゴンRより高めることで見晴らしの良さとゆとりある室内空間を両立。
後席には乗り降りがしやすいと定評があるスペーシアと同等の600ミリメートルの開口幅と345ミリメートルのリヤステップ地上高のスライドドアを採用した。
安全面では、デュアルカメラブレーキサポートを搭載した「スズキ・セーフティ・サポート」を全車に標準装備。全方位モニター用カメラ装着車には、狭路でのすれ違い時の接触防止をサポートするすれ違い支援機能をスズキ初採用した。
また、運転に必要な情報をカラー表示するヘッドアップディスプレイ、車両情報をカラー表示するマルチインフォメーションディスプレイ、全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(ACC)、標識認識機能などをオプション設定した。
パワートレインはR06D型エンジンおよびマイルドハイブリッドを採用。燃費はマイルドハイブリッドモデル(2WD)で1リットル当たり25・1キロメート(WLTC走行モード)だ。
車両価格(消費税込み)は129万6900円~171万6000円。