2020年3月期第1四半期決算は増収増益、通期業績は据え置き
SUBARU(スバル)は8月5日、東京・恵比寿の本社で2020年3月期第1四半期(2019年4~6月)連結決算の説明会を開いた。
売上高は前年同期比16%増の8334億2300万円、営業利益で同48.4%増の922億1200万円、当期純利益で同40.1%増の664億5600万円と、増収増益の決算とした。
同社は今期から国際財務報告基準(IFRS)に従って会計処理しており、これまでの登録日ベースの売上計上(日本基準)を改め、納車日ベースとした。
このため、発表済みの前年第1四半期の国内売上台数(2万8900台)もIFRS基準に従って再計算した数値(3万2400台)をベースに、今期の国内販売実績「3万3300台」を売上計上し、増減率を示した。
スバルの今第1四半期の完成車世界販売販売台数は、前年同期比8.8%増の26万2600台となった。
全面改良となったフォレスターや、昨年秋に北米市場に投入したアセントが好調で、海外販売合計台数は同9.7%増の22万9300台となった。
中でも米国販売は同19.7%増の17万9300台と大きく伸びた。「モデル末期のレガシィ、アウトバックも堅調だった」と岡田稔明取締役専務執行役員CFOは指摘した。
また日本国内市場も昨年7月発売のフォレスター、秋投入の「℮-BOXER」を搭載した追加グレードのSUBARU XVで新型車効果があって、前年同期比2.9%増の3万3300台となった。軽自動車は伸び悩んだが、登録車がけん引した。
生産台数は、米国SIAでの生産が前年同期比17.5%増の10万1900台とアセットが寄与した。国内生産は同3.4%増の16万台となった。「昨年秋以降、品質最優先の生産・検査を目的に見直した操業条件を継続しているが、新型フォレスターの増加により前年同期を上回った」と岡田CFOは説明した。
営業利益の増減要因は、会計基準の変更で45億円、売上構成差や販売奨励金の抑制効果などで174億円、研究開発費がIFRS適用による資産化のため113億円圧縮されたことなどが増益要因となった。
加えて完成車検査問題に関連して計上した引当金など諸経費が、「大きなリコールが発生しなかった」ことなどから70億円戻された。ただ原価低減が進まなかったことで26億円、為替レート差で20億円、その他で10億円の減益要因を挙げた。
通期の業績予想は「まだまだ不確定要素が多く、期初計画を据え置いた」(岡田CFO)と説明した。
完成車販売は前期比5.7%増の105万8300台、生産は同6.8%増の105万6200台。期初見通しはIFRS適用を前提に予め開示しており、2020年3月期の通期売上高は3兆3100億円(前期比4.9%増)、営業利益は2600億円(同43.1%増)、当期利益は2100億円(同48.5%増)としている。
営業利益の増減要因では、会計基準差で138億円、為替レート差で148億円など減益要因を挙げるも、売上高構成差や諸経費節減などで大幅な増益を見込む。円高基調については、「対ドルで円高が1円進むと、100億円の利益が減少する」として、注視する。
なお研究開発に触れて、今後の自動運転技術の方向性について、スバルファンが自らの運転を楽しみ、所有するお客様であることから、大手自動車メーカーのような無人運転を目指すのでなく、アイサイトで搭載した運転支援システムを高度化させる方向性を示した。
急激に縮小している米国でのセダン市場について、決算説明会に出席した早田文昭常務執行役員(経営企画担当)は、自ら米国駐在してきた経験から、「確かにセダン市場は縮小傾向にあるが、ゼロになるわけでなく底固い。
特にスバルファンは根強く、ディーラーは緊密な関係を築いている」と冷静に市場動向を見極めている。(佃モビリティ総研・間宮潔)