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2019年8月5日【トピックス】

スバル、米国市場の販売台数増と販売奨励金減が増益に貢献

間宮 潔

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2020年3月期第1四半期決算は増収増益、通期業績は据え置き

 

 SUBARU(スバル)は8月5日、東京・恵比寿の本社で2020年3月期第1四半期(2019年4~6月)連結決算の説明会を開いた。
売上高は前年同期比16%増の8334億2300万円、営業利益で同48.4%増の922億1200万円、当期純利益で同40.1%増の664億5600万円と、増収増益の決算とした。

 

同社は今期から国際財務報告基準(IFRS)に従って会計処理しており、これまでの登録日ベースの売上計上(日本基準)を改め、納車日ベースとした。
このため、発表済みの前年第1四半期の国内売上台数(2万8900台)もIFRS基準に従って再計算した数値(3万2400台)をベースに、今期の国内販売実績「3万3300台」を売上計上し、増減率を示した。

 

 

 スバルの今第1四半期の完成車世界販売販売台数は、前年同期比8.8%増の26万2600台となった。
全面改良となったフォレスターや、昨年秋に北米市場に投入したアセントが好調で、海外販売合計台数は同9.7%増の22万9300台となった。

 

中でも米国販売は同19.7%増の17万9300台と大きく伸びた。「モデル末期のレガシィ、アウトバックも堅調だった」と岡田稔明取締役専務執行役員CFOは指摘した。
また日本国内市場も昨年7月発売のフォレスター、秋投入の「℮-BOXER」を搭載した追加グレードのSUBARU XVで新型車効果があって、前年同期比2.9%増の3万3300台となった。軽自動車は伸び悩んだが、登録車がけん引した。

 

 生産台数は、米国SIAでの生産が前年同期比17.5%増の10万1900台とアセットが寄与した。国内生産は同3.4%増の16万台となった。「昨年秋以降、品質最優先の生産・検査を目的に見直した操業条件を継続しているが、新型フォレスターの増加により前年同期を上回った」と岡田CFOは説明した。

 

営業利益の増減要因は、会計基準の変更で45億円、売上構成差や販売奨励金の抑制効果などで174億円、研究開発費がIFRS適用による資産化のため113億円圧縮されたことなどが増益要因となった。
加えて完成車検査問題に関連して計上した引当金など諸経費が、「大きなリコールが発生しなかった」ことなどから70億円戻された。ただ原価低減が進まなかったことで26億円、為替レート差で20億円、その他で10億円の減益要因を挙げた。

 

 通期の業績予想は「まだまだ不確定要素が多く、期初計画を据え置いた」(岡田CFO)と説明した。
完成車販売は前期比5.7%増の105万8300台、生産は同6.8%増の105万6200台。期初見通しはIFRS適用を前提に予め開示しており、2020年3月期の通期売上高は3兆3100億円(前期比4.9%増)、営業利益は2600億円(同43.1%増)、当期利益は2100億円(同48.5%増)としている。

 

営業利益の増減要因では、会計基準差で138億円、為替レート差で148億円など減益要因を挙げるも、売上高構成差や諸経費節減などで大幅な増益を見込む。円高基調については、「対ドルで円高が1円進むと、100億円の利益が減少する」として、注視する。

 

なお研究開発に触れて、今後の自動運転技術の方向性について、スバルファンが自らの運転を楽しみ、所有するお客様であることから、大手自動車メーカーのような無人運転を目指すのでなく、アイサイトで搭載した運転支援システムを高度化させる方向性を示した。

 

急激に縮小している米国でのセダン市場について、決算説明会に出席した早田文昭常務執行役員(経営企画担当)は、自ら米国駐在してきた経験から、「確かにセダン市場は縮小傾向にあるが、ゼロになるわけでなく底固い。
特にスバルファンは根強く、ディーラーは緊密な関係を築いている」と冷静に市場動向を見極めている。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。