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2019年11月6日【トピックス】

スバル、2020年3月期第2四半期決算会見

間宮 潔

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 SUBARU(スバル)は11月6日、東京・九段で2020年3月期第2四半期(2019年4~9月)連結決算説明会を開いた。それによると、連結売上高は前年同期比7.7%増の1兆6057億円、営業利益が同68.1%増の948億円、当期純利益で同58.4%増の683億円と「増収増益」の決算とした。(佃モビリティ総研・間宮潔)

 

11月6日、東京・九段で開催したスバルの2020年3月第2四半期決算発表会

11月6日、東京・九段で開催したスバルの2020年3月第2四半期決算発表会

 

スバルの2020年3月期第2四半期決算は増収増益

 

 連結販売台数が前年同期比4.1%増の50万3800台と好調、日本市場が同1.6%増の6万8000台と堅調に推移したほか、北米市場で同9%増の36万4000台と 好調だった。

 

新型フォレスターや昨年販売を開始したアセットが売り上げに貢献した。 こうした内外の増販と商品構成差により196億円の増益を計上したほか、販売奨励金抑制など諸経費削減で194億円、研究開発費圧縮で158億円をそれぞれ計上し、為替差損などの減益要素を補った。

 

なお今期から会計基準を日本基準から国際財務報告基準(IFRS)に切り替えており、会計基準差による増益14億円を計上した。また増減率は前期実績をIFRS換算した上で算出している。

 

 通期業績予想については、前回公表(8月5日)の売上高3兆3100億円(前期比4.9%増)を据え置いたが、営業利益を2600億円から2200億円(同21.1%増)に、当期純利益を2100億円から1630億円(同15.3増)にそれぞれ下方修正した。品質関連の費用増や円高を織り込んだ為替差損、また10月12日関東に上陸した台風19号による操業停止などの影響を織り込んだものだ。

 

スバルの中村知美社長

スバルの中村知美社長

 

決算説明会に臨んだ中村知美社長CEOは冒頭、「群馬製作所の操業が台風の影響によりトータル4.5日止まってしまったが、関係各位の復旧に向けたご尽力で当初の計画通り、操業を再開することができ、またその影響を最小限にとどめることができた」と感謝の意を述べ、上半期の状況と通期の見通しについて概括した。

 

とくに通期業績見通しで、営業利益などを下方修正した主因について、中村社長は「今年8月から10月にかけて日本及び海外でのリコール届出が非常に多かったため、その市場措置費用が約650億円程度まで増加した」と説明した。

 

通期予想は、売上を据え置き、利益を下方修正

 

 昨年7月に発表した新中期経営ビジョン「STEP」で掲げた組織風土改革なかで、とくに「品質改革」を最優先課題に位置付けて取り組む方針だ。 今年4月には品質方針を改定し、最終検査に頼らない上流での品質確保、間接業務部門も包含した品質改善、部品調達先と協働して取り組む品質活動などを盛り込んだ。「一朝一夕に成果がでるものではないが、お客様に安心して長く使っていただける商品、品質を目指したい」と語った。

 

通期の連結販売台数は105万8300台(前期比5.7%増)で、前回予想のまま据え置いた。「スバルに対するお客様の支持、販売のモメンタム(勢い)はしっかりと維持できている」とし、米国で好評なアセット(8人乗り)、新型フォレスターに加えて、下期に投入した新型レガシィ、アウトバックの販売本格化に期待を込めた。

 

決算説明会に臨むスバルの中村社長(中央)、岡田稔明取締役専務執行役員CFO(左)と、早田文昭氏

決算説明会に臨むスバルの中村社長(中央)、岡田稔明取締役専務執行役員CFO(左)と、早田文昭氏

 

 また9月27日発表のトヨタ自動車との新たな業務資本提携合意について、中村社長は改めて次のように狙いを語った。「CASSE領域への対応を強めるとともに、互いに切磋琢磨しあって、もっといいクルマづくりを加速させるもの。私共は自動車業界では比較的規模の小さい会社だが、当社にとって今回の資本を含めた提携強化によって、CASEやMaaSといった領域で将来技術への対応を補うことができれば、スピードやスケールメリット面でその果実を十分に大きいと考えている。

 

そして我々自身の強みである走る楽しさ、安心といった領域に集中して一層磨きをかけることで百年に一度といわれる大変革期でもスバル独自のポジションを貫いていきたい」。

 

 なお設備投資などの支出について、岡田稔明取締役専務執行役員CFOは通期の設備投資計画が1400億円(前期比22.8%増)、減価償却費が1000億円(同12.2%増)、研究開発支出が1200億円(同16.8%増)と前回発表通りとしたが、有利子負債が前回の1450億円から2400億円(2.3倍)に膨らむ。リコール対応などで増えるとした。

 

また米国での販売奨励金について、昨年上期が台当たり2100㌦だったのが、今年は350㌦に縮小、総額で175億円の費用削減に貢献した。下期も台当たり2200㌦から今年450㌦に縮小し、総額280億円の費用削減を見込んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。