SUBARU(スバル)は11月6日、東京・九段で2020年3月期第2四半期(2019年4~9月)連結決算説明会を開いた。それによると、連結売上高は前年同期比7.7%増の1兆6057億円、営業利益が同68.1%増の948億円、当期純利益で同58.4%増の683億円と「増収増益」の決算とした。(佃モビリティ総研・間宮潔)
スバルの2020年3月期第2四半期決算は増収増益
連結販売台数が前年同期比4.1%増の50万3800台と好調、日本市場が同1.6%増の6万8000台と堅調に推移したほか、北米市場で同9%増の36万4000台と 好調だった。
新型フォレスターや昨年販売を開始したアセットが売り上げに貢献した。 こうした内外の増販と商品構成差により196億円の増益を計上したほか、販売奨励金抑制など諸経費削減で194億円、研究開発費圧縮で158億円をそれぞれ計上し、為替差損などの減益要素を補った。
なお今期から会計基準を日本基準から国際財務報告基準(IFRS)に切り替えており、会計基準差による増益14億円を計上した。また増減率は前期実績をIFRS換算した上で算出している。
通期業績予想については、前回公表(8月5日)の売上高3兆3100億円(前期比4.9%増)を据え置いたが、営業利益を2600億円から2200億円(同21.1%増)に、当期純利益を2100億円から1630億円(同15.3増)にそれぞれ下方修正した。品質関連の費用増や円高を織り込んだ為替差損、また10月12日関東に上陸した台風19号による操業停止などの影響を織り込んだものだ。
決算説明会に臨んだ中村知美社長CEOは冒頭、「群馬製作所の操業が台風の影響によりトータル4.5日止まってしまったが、関係各位の復旧に向けたご尽力で当初の計画通り、操業を再開することができ、またその影響を最小限にとどめることができた」と感謝の意を述べ、上半期の状況と通期の見通しについて概括した。
とくに通期業績見通しで、営業利益などを下方修正した主因について、中村社長は「今年8月から10月にかけて日本及び海外でのリコール届出が非常に多かったため、その市場措置費用が約650億円程度まで増加した」と説明した。
通期予想は、売上を据え置き、利益を下方修正
昨年7月に発表した新中期経営ビジョン「STEP」で掲げた組織風土改革なかで、とくに「品質改革」を最優先課題に位置付けて取り組む方針だ。 今年4月には品質方針を改定し、最終検査に頼らない上流での品質確保、間接業務部門も包含した品質改善、部品調達先と協働して取り組む品質活動などを盛り込んだ。「一朝一夕に成果がでるものではないが、お客様に安心して長く使っていただける商品、品質を目指したい」と語った。
通期の連結販売台数は105万8300台(前期比5.7%増)で、前回予想のまま据え置いた。「スバルに対するお客様の支持、販売のモメンタム(勢い)はしっかりと維持できている」とし、米国で好評なアセット(8人乗り)、新型フォレスターに加えて、下期に投入した新型レガシィ、アウトバックの販売本格化に期待を込めた。
また9月27日発表のトヨタ自動車との新たな業務資本提携合意について、中村社長は改めて次のように狙いを語った。「CASSE領域への対応を強めるとともに、互いに切磋琢磨しあって、もっといいクルマづくりを加速させるもの。私共は自動車業界では比較的規模の小さい会社だが、当社にとって今回の資本を含めた提携強化によって、CASEやMaaSといった領域で将来技術への対応を補うことができれば、スピードやスケールメリット面でその果実を十分に大きいと考えている。
そして我々自身の強みである走る楽しさ、安心といった領域に集中して一層磨きをかけることで百年に一度といわれる大変革期でもスバル独自のポジションを貫いていきたい」。
なお設備投資などの支出について、岡田稔明取締役専務執行役員CFOは通期の設備投資計画が1400億円(前期比22.8%増)、減価償却費が1000億円(同12.2%増)、研究開発支出が1200億円(同16.8%増)と前回発表通りとしたが、有利子負債が前回の1450億円から2400億円(2.3倍)に膨らむ。リコール対応などで増えるとした。
また米国での販売奨励金について、昨年上期が台当たり2100㌦だったのが、今年は350㌦に縮小、総額で175億円の費用削減に貢献した。下期も台当たり2200㌦から今年450㌦に縮小し、総額280億円の費用削減を見込んでいる。