NEXT MOBILITY

MENU

2018年6月6日【オピニオン】

SUBARU、完成検査時の燃費・排出ガス測定の異常値発見で再調査へ

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

再発する不手際。モノ造りの

現場で、エラーの黙認がまかり

通っているという異常事態を究明しなければならない

 

 今会見についてのより具体的な内容は、同社生産工場内に置かれた測定端末のハードディスク等に保存されていた平成24年12月以降の6,530台(当該期間に於ける月次報告書上の測定台数は6,939台)分の測定データを今回改めて精査した。

その結果、JC08モードで定められた運転方法により燃費・排出ガス測定試験を行う際、道路運送車両の保安基準の細目を定める告知等に規定されている速度から、逸脱時間が許容されている範囲を超えた運転となったにも関わらず、これが有効な測定値となっていた事案が903台存在することを確認したとしている。

なお、同社ではこれらのうち、逸脱時間のデータが書き換えられていた台数については、現在、精査中としている。

 

また上記測定データを改めて精査した結果、燃費・排出ガス測定時には試験室内の湿度が30から75%の範囲でならなければならないとする規定に対して、湿度の環境がエラーであった事案が31台分(そのうち、上記との重複事案が7台分)存在していることが判明した。しかも、このようなエラー発生時の場合、検査の現場でエラーの警報が鳴り響く中で不正が行われていた。

 

 

 午後5時より開かれた会見場に於いて吉永社長は、「昨年の完成検査員問題の発覚以降、問題の背景に当社の企業体質に関わる根深い問題があることを強く認識し、企業体質の改革に取り組んで参りました。

それにもかかわらず、国交省の調査を契機として、改めて過去に行われていた不適切事案が判明したことは誠に遺憾であり、お客様、お取引先様、その他の関係者をはじめ、当社を取り巻くすべてのステークホルダーの皆様に、さらにご心配をおかけすることについて、心よりお詫びいたします。

今事案の発生について、『行為の実態』、その他の『原因や背景』、『動機』等について充分に究明する段階に至っておらず、個人的には、来る6月に経営体制を刷新した後の新たな中期経営計画の発表についても、今後、影響を与えるだろうと考えています。

このような現状は、私としては心から無念な気持ちでありますが、再度、調査の陣容を強化して、抜本的な再発防止策の見直しを行い、これまでの企業体質の変革を目指し、企業風土を刷新することについて、より強く進めて参ります」と語っていた。

1 2 3 4 5 6
CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。