SUBARU(スバル)は11月4日、電話会議による2021年3月期第2四半期の連結決算説明会を開いた。中村知美・代表取締役社長CEO、岡田稔明・取締役専務執行役員CFOが出席した。(佃モビリティ総研・間宮潔)
スバルはコロナウイルス感染症による影響によって厳しい経営を強いられているものの、7~9月期の業績で、北米市場が想定以上の回復が見られた。
このため同社は第2四半期(4~9月累計)業績で黒字を確保した。また前回発表の通期見通しを上方修正、売上高で500億円上積む2兆9500億円、営業利益を300億円上積む1100億円とした。
世界販売は、第1四半期に前年同期比49.3%減の13万3100台と新型コロナ感染症の影響をもろに受け、赤字決算を強いられたが、第2四半期では北米市場の回復で助けられ、4~9月累計の連結販売台数は前年同期比27.9%減の36万3300台とした。
この結果、第2四半期(4~9月)連結売上高は前年同期比24.1%減の1兆2184億円、営業利益を同67.7%減の306億円、当期利益を同65.3%減の237億円と、減収減益ながら「黒字」とした。
同四半期(累計)の営業利益増減要因は次の通り。販売管理費や保証修理費など「諸経費等」の圧縮で784億円の増益を図ったが、「売上構成差」による利益減が1149億円にのぼった。販売奨励金の減少で194億円の改善があったものの、国内外での台数減による収益悪化が大きかった。
前年同期に対して新車国内で240億円、新車海外で929億円の利益減があったと分析する。
このほか「研究開発費」が膨らんだことで127億円の下振れがあった。「原価低減等」も原材料確保などによるコスト高で106億円の減益、さらに「為替影響」で67億円の減益があった。
なお通期業績予想は、売上高で前期比11.8%減の2兆9500億円、営業利益で同47.7%減の1100億円、当期利益で同47.6%減の800億円と、8月の前回予想に対していずれも上方修正した。
特に連結販売台数の7割強を占める北米市場では、米国、カナダとも9月、10月に2カ月連続して前年を上回った。
中村社長は、4月を中心に実施した生産停止による影響、在庫不足が解消されつつあり、「年末にかけて適正水準に戻せる」との期待を込めた。
このため通期の販売台数は、前回計画の90万台から1万600台上積む91万600台(前期比11.9%減)に上方修正した。
ただ、スバル最大の米国市場で再びコロナ感染者が急増していることに触れ、「今期の業績を見通す上で、まだまだ不透明でリスクを孕んでいる」とコメントした。