スバルの2020年3月期第3四半期決算は増収増益、通期業績は据え置き
SUBARU(スバル)は2月5日、東京・芝大門のくるまプラザで2020年3月期第3四半期(2019年4~12月累計)連結決算の説明会を開いた。連結売上高は前年同期比3.9%増の2兆4846億円、営業利益で同1.9%減の1527億円、当期純利益で同5.4%減の1117億円と「増収減益」の決算とした。
スバル第3四半期の完成車販売累計は、前年同期比0.4%増の77万1000台となった。(佃モビリティ総研・間宮潔)
スバル決算説明会全景
国内販売は「インプレッサ」の販売減が影響し、同9.1%減の9万4700台と低迷したのに対して、同社最大の市場である米国で同4.9%増の52万台と堅調に伸ばした。「レガシィ」「アウトバック」が新旧モデル切り替えで減少したに対して、「フォレスター」や昨年夏投入の「アセント」が好調な販売を見せ、上振れした。海外販売全体でも前年同期比1.9%増の67万6300台となり、カナダ、豪州、欧州で微減となったが、米国の販売が下支えた。ロシア、中国向けは微増だった。
国内、米国を含めた生産台数は、前年同期比2.5%減の76万400台となった。国内生産は昨年10月の台風19号の影響で一定期間、操業を停止したものの、「フォレスター」の増産で同0.3%増の49万2800台と堅調に推移。
一方、米国生産はアセントの生産が寄与したが、レガシィ、アウトバックのモデル切り替えが影響し、同1.3%減の26万7600台と微減した。
営業利益の増減要因について、今期から会計基準を国際財務報告基準(IFRS)に適用したことによる会計基準差で20億円増、売り上げ構成差などで233億円、研究開発費などで186億円の増益とした。研究開発費は従来基準で8.8%増の849億円としたが、IFRS上の研究開発費が減少した。
決算説明するスバル幹部
また為替レート差で193億円の減益、製造固定費や販売管理費およびクレーム費の増加で125億円の減益となった。パラジウム、ロジウムなど貴金属の高騰などで原価低減が進まず111億円の減益とした。
なお米国販売について、岡田稔明取締役専務執行役員CFOは「全面改良前のレガシィ、アウトバックの販売が好調に進み、費用を大幅に抑制することができた」と指摘した。
前年同期と比べ、台当たり700ドル減の1500ドルとなり、販売奨励金総枠が303億円となった。
設備投資額は前年同期比11.2%増の955億円(リース負債を除く)、減価償却費も同4.7%増の707億円とした。有利子負債は1752億円で、前年同期に比べ3.2倍に拡大した。
通期の業績予想は、前回発表値(昨年11月6日)に対して営業利益、当期利益を据え置いたが、連結売上高は前回発表に比べ500億円上積んだ。前期実績をIFAS基準に置き換えると、売上高は前期比6.5%増の3兆3600億円。営業利益は同21.1%増の2200億円、当期利益は同15.3%増の1630億円とした。
岡田稔明取締役専務執行役員
通期での完成車販売台数は前期比4%増の104万1300台とした。前回発表値105万8300台より1万6900台圧縮した。生産計画も前回発表より下げた。米国生産は同2.6%増の38万1800台で前回発表に対して部品調達面での減少を織り込んだ。国内生産は同8.1%増の66万7000台とした。