SUBARU(スバル)は8月4日、電話会議による2021年3月期第1四半期の連結決算説明会を開いた。出席した中村知美・代表取締役社長CEO、岡田稔明・取締役専務執行役員CFOは、コロナウイルス感染症による影響や概ね通常操業に戻している現状を説明、さらに通期見通しで黒字転換を目指す経営陣の意志を表明した。(佃モビリティ総研・間宮潔)
4~6月期のスバル車世界販売(小売り段階)におけるコロナウイルス感染症による影響は、約9万台とし、これに対して生産・卸段階での影響は約17万台に及んだとした。
同社・群馬製作所および米国の生産拠点SIAでは一時操業停止に追い込まれており、前年同期の約26万2000台に対して今期9万2200台規模、率にして65%の大幅な落ち込みとなった。
これを受け、スバルの今第1四半期売上収益は前年同期比45%減の4570億円を計上。営業利益は157億円、当期利益も77億円の赤字とした。
営業利益の減益要因で、最も大きいのが販売台数減などの「売上構成差等」。海外での新車販売落ち込みが主因で1015億円あった。ただし競争激化で発生する販売奨励金の支出は昨年、台当たり1750ドルから今期1600ドルに縮小、その結果、185億円の利益改善に寄与した。次いで減益要因を上げると、「研究開発費」の負担増から139億円、「原価低減活動」の規模縮小で27億円、その他で10億円の下振れがあった。
これに対して増益要因としては、生産・販売活動が停滞したことによる固定費/販売管理費などの縮小で89億円の経費改善があった。また対ドルを中心に為替レート差で36億円の減益を計上したが、仕入れ為替調整や未実現利益分など約60億円の増益を計上した。
2021年3月期の通期見通しは、連結販売台数を前期比12.9%減の90万台とすることを前提に、売上収益を同13.3%減の2兆9000億円、営業利益を同62%減の800億円、当期利益を同60.7%減の600億円に策定した。
今期は不確定要素が多く、セグメント別の数値公表を避けたが、中村CEOは「単なる予算の積み上げではなく、経営側として、ここまでやりたいという意志を込めて計画した」ことを強調、第2四半期からの赤字脱出、黒字化を目指す。
なお、今期は不測の事態に備えて銀行借り入れを増やし、6月末、4700億円規模のキャッシュフローを確保した。
また手元資金確保から一株当たりの配当金を前期の年間100円(中間配当50円、期末配当50円)から56円(28円、28円)とする予定だ。
今期の設備投資計画、減価償却費、研究開発支出は、ともに1000億円を計画している。
同社業績の7割を占める米国事業におけるコロナウイルス感染症による第2波の懸念について、中村CEOは「世界最大の感染国であり、リスクや不安要素はあるが、ここまで力強く回復しているのもアメリカ・マーケットである」とした。
また「4月のようなロックダウンが今後起こることを前提にせず、緩やかに回復する」と指摘、フリート・ユーザーに頼らないスバル車の強み、シェア拡大を目指す。
同社のフラグシップカーである「レヴォーグ」新モデルが年後半、国内投入される。8月20日からの先行予約に期待を込めた。