2021年11月にステランティス・グループ傘下のPSAリテール( PSAの小売部門 )とモーターヴィレッジ( FCAの小売部門 )が統合して誕生した「ステランティス&ユー( S&Y )」は運営2年を経た今日、欧州に於ける主要自動車販売網として、次第に一定の地位を築きつつある。( 坂上 賢治 )
S&Yでは、上記の2つのネットワークが各々、長年培ってきた11,400人の従業員の知見とノウハウを活かし、自動車製造メーカーのステランティスから提供される専門知識を糧に、アフターサービス面で高水準かつ顧客中心のサービス品質を保証し続けると謳っている。
そんな同サービス拠点網は、組織内のハードウエア並びに人的リソースの再配置を繰り返しながら直近、過去3か月間で欧州圏とモロッコに於いて販売拠点を精力的に拡大している。
具体的には目下、ベルギー、英国、ドイツ、イタリア、フランス、スペイン、モロッコの7か国・13か所で事業を展開。欧州30都市のうち18都市では、自らの存在感を次第に強めつつあるとしている。
当該事業の基本骨格は、11のブランドと5つの事業分野( 新車、中古車の販売、アフターサービス、スペアパーツの販売、車両レンタル )をカバー。2年前に開設した自社サイトからは、欧州とモロッコ圏に於ける200拠点の正規販社網から届けられる新型車の詳細情報だけでなく、中古車のリアルタイム在庫にもアクセスできる。
こうしたデジタルを介したインターフェースをタッチポイントに、車両選択メニューを経てオプションを選び・購入した車両を、例えばフランス所在の顧客宅へ直接配送するなど、100%デジタル・カスタマー・ジャーニー( DCJ )を介した新たな顧客エクスペリエンスを用意していることが自社の最大の強みだと述べている。
またアフターサービスに係る付加価値向上でも部品流通網「Distrigo(ディストリゴ)」を介して、この2年間に亘ってスペアパーツ事業の吟味と刷新を行った。具体的には、今年7月に刷新されたパレルモの配送センターに加え、近々にはトリノに新たな配送センターが追加される。
なお、こうしたアフターパーツ網を介したサービス品質の拡充は2024年になっても続く。そもそも親会社のステランティス・グループでは、欧州下で約30地域の小売業者による流通ハブと密接に提携していることから、S&Yでも傘下ブランドの全スペアパーツに素早くアクセスできる体制が整っている。
こうした強みを背景に、例えばS&Yフランスでは、この5月からオンラインを介した顧客車両のメンテナンス予約の受付体制を拡充。S&Yフランスでメンテナンスを施した車両は、顧客が実店舗に引き取りに向かわずともパリのリヨン駅でスピード返却できるクイックサービスも導入。既に241人の顧客がこの新しいサービスパッケージを利用したという。
このようなサービス品質拡充に係る取り組みについてS&Yセールス部門でシニア・バイス・プレジデントを務めるロベルタ・ゼルビ氏は、「ステランティス・グループ傘下で、新たに立ち上がったサービス・ネットワークを率いる機会を得たことを誇らしく思います。
今日、自動車産業界に胎動しつつある新たな消費トレンドにより、リアル環境下のみのカスタマー・ジャーニー戦略一辺倒だった既存の自動車流通モデルが、次第に過去のものとなりつつあります。
S&Yは、そうした未来の流れを取り入れ、次世代のお客様へ対して最高のユーザー・エクスペリエンスを提供し、持続可能なモビリティ・ソリューションの提供機会を創造し続けてまいります」と話している。