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2024年8月15日【新型車】

ステランティス、オペルにも新たな48Vハイブリッド

坂上 賢治

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オペルの新型フロンテーラ ハイブリッド

 

ステランティス N.V.は先の傘下9ブランドで30のハイブリッドモデルを発売するという計画に則って8月14日(独リュッセルスハイム発)、オペルにも新世代48ボルトのハイブリッドユニットを搭載する。

 

搭載車のラインナップは、小型車のベストセラーであるオペル コルサからスタイリッシュなオペル モッカ、コンパクトクラスのオペル アストラとアストラ スポーツ ツアラー、そして最高級のオペル グランドランドSUV まで広域に及ぶ。

 

 

導入機構は傘下一連のハイブリッドであり、ハイブリッド率を高めてユーロ6e排出ガス基準を満たすために開発された74kW(100馬力)1.2リッターターボチャージガソリンエンジンに、21kW(最大出力28馬力/最大トルク55Nm)の永久磁石同期電気モーターと電動6速デュアルクラッチトランスミッションを連動させたもの。

 

先の100hp(205Nm)版のベースユニットが発揮する基本性能は、0~100km/h加速9.3秒、最高速190km/h。同等の従来型動力車と比較して燃料消費量とCO2排出量は、例えばコルサの場合、最大18パーセント(103g/km)と大幅に削減されると謳っている。なお136hp版(230Nm)も用意される。

 

 

それらの大きな特徴は、電動6速のデュアルクラッチトランスミッション( Dual Clutch Transmission、DCT )ケースに電動モーターとDCインバーターが収納されている( e-DCTトランスミッション )であること。これによりドライブトレインのサイズと重量がより軽量化された。これに432Wh (総容量890Wh) の48V リチウムイオン バッテリーが組み合わせた。

 

エンジンは冷間時から始動するが発進自体はモーターのみで行い、デュアルクラッチトランスミッションであるものの、アクセルペダルを操作することなく短距離を前進できる「e-クリープ」機能が採用されているため、渋滞時の便利機能は備えている。なお先の通りバッテリー容量は限られるものの、最大で1kmだけモーター走行ができる。

 

オペル コルサ ハイブリッド

オペル アストラ ハイブリッド

オペル アストラ スポーツ ツアラー ハイブリッド

オペル モッカ ハイブリッド

 

また高速道路などでの低負荷状況や下り坂で、ドライバーがアクセルペダルから足を離した場合、エンジン駆動が停止するなどのエコ効果で、燃費は21.7km/リットルを可能にする。

 

走行モードは、エコ(特に効率的な運転)、ノーマル、スポーツの3つの運転モードから選択でき、スポーツ モードでは、求められるパフォーマンスを常時確保するためガソリン エンジンが常に作動する。ドライバーは、いずれのモードで走っているか、バッテリーへの充電状態などをディスプレイを介して簡単かつ便利に監視できる。

 

最後にフロンテラを筆頭に、一連のモデルを対象にハイブリッドと並んで用意されると見られるエレクトリック(ピュアBEV)仕様は、113hpのモーターと44kWhの蓄電池を組み合わせWlLP暫定値で、おおよそ300kmレベルの航続距離を確保。こうしたBEVへの更なるロングレンジモデルの登場時期は、2025年を迎えてからとなる見込みだ。

 

今回、これらのクラスに新たにハイブリッドモデルを投入したステランティス陣営は今後、ハイブリッドモデルとBEVモデルの価格設定設定が、個別車種の販売比率の行方を左右する可能性が高い。

 

従って同社グループでは、近未来の消費市場の行方を占うべく双方車種に於いて、ハイブリッド並びにピュアBEVに対して、より戦略的な価格戦略を打ち出していく可能性もありそうだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。