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2021年9月6日【テクノロジー】

ソニー、車載ライダー向け積層型SPAD距離センサーを発売

NEXT MOBILITY編集部

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ソニーは9月6日、車載LiDAR(ライダー)向け積層型直接 Time of Flight(dToF)方式のSPAD距離センサー『IMX459』を商品化したことを発表した。

 

この製品は、10μm角の微細なSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素と、測距処理回路を1チップ化し、1/2.9型と小型ながら高精度かつ高速な測距を実現。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転(AD)の普及に伴い求められる、車載LiDARの検知・認識性能の向上および、それによる安心・安全なモビリティの未来に貢献するという。

 

 

撮像例(ポイントクラウド)

 

 

車載カメラやミリ波レーダーなどのセンシングデバイスに加え、道路状況や、車両、歩行者など対象物の位置や形状を、高精度で検知・認識が可能なLiDARの重要性が高まっている。一方で、LiDARが市場において広く普及・拡大するには、測距性能のさらなる向上に加え、使用環境や条件を問わない高い安全性や信頼性、小型・低コスト化に向けたソリッドステート化など、技術的な課題を解決すべくさまざまな取り組みが行われている。

 

SPAD画素は、LiDARの測距方式のうち、光源から対象物に反射して戻ってくるまでの光の飛行時間(時間差)を検出することで距離を測定するdToF方式の受光素子の一つとして用いられている。この製品は、ソニーがCMOSイメージセンサー開発で培ってきた裏面照射型、積層型、Cu-Cu(カッパー・カッパー)接続などの技術を活用することにより、SPAD画素と測距処理回路を1チップ化する独自のデバイス構造を採用。これにより、10μm角の微細な画素サイズを実現し、1/2.9型で有効約10万画素となる小型・高解像度に加え、光子検出の高効率化と応答性能の向上を図ることで、遠距離から近距離までを、15cm間隔で高精度かつ高速に測距が可能となった。また、車載用途に求められる機能安全規格に準拠することによるLiDARの信頼性の向上や、1チップ化することによるLiDAR自体の小型・低コスト化に貢献する。

 

 

SPAD ToF方式距離センサーの積層構造イメージ(上部:SPAD画素、下部:測距処理回路)

 

 

また、ソニーは、この製品を搭載したメカニカルスキャン方式のLiDARをリファレンスデザインとして開発し、顧客やパートナーに向けて提供開始。これにより、顧客・パートナーのLiDAR開発における工数削減や選定デバイスの最適化によるコスト削減に貢献するとしている。

 

 

メカニカルスキャンLiDARのリファレンスデザイン

 

 

■1/2.9型(対角6.25mm)有効約10万画素車載LiDAR向けSPAD ToF方式距離センサー『IMX459』

サンプル出荷時期(予定):2022年3月

サンプル価格(税込み):15,000円

 

■主な特長
– 10μm角のSPAD画素と測距処理回路の積層構造による、高精度かつ高速な測距性能
この製品は、裏面照射型のSPAD画素を用いた画素チップ(上部)と、測距処理回路などを搭載したロジックチップ(下部)を、Cu-Cu接続を用いて積層し、一画素ごとに導通している。画素部の下に回路部を配置することで、10μm角の微細な画素サイズながら開口率を維持できることに加え、光の入射面に凹凸を設けることで入射光を回折させて吸収率を高めている。これにより、車載LiDARのレーザー光源として広く普及している905nmの波長に対して、24%の高い光子検出効率を実現。例えば遠方にある反射率の低い対象物でも、高い解像度と距離分解能で検知することができる。また、画素ごとにCu-Cu接続した回路部に、アクティブ・リチャージ回路を搭載し、一光子あたりの応答速度を通常時約6ナノ秒に高めている。この独自の積層構造により、遠距離から近距離までを、15cm間隔で高精度かつ高速に測距することが可能になり、車載LiDARの検知・認識性能の向上に貢献する。

 

– 車載用途に求められる機能安全規格に準拠し、LiDARの信頼性向上に貢献
自動車向け電子部品の信頼性試験基準「AEC-Q100」の「Grade2」を取得予定。さらに、自動車向け機能安全規格「ISO 26262」に準拠した開発プロセスを導入し、故障検知、通知、制御などの機能安全要求レベル「ASIL-B(D)」に対応している。これにより、LiDARの信頼性向上に貢献する。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。