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2018年9月14日【オピニオン】

NTTデータ、首都圏の日常を支える自動運転バス実証を行う

坂上 賢治

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 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下NTTデータ、本社:東京都江東区、代表取締役社長:本間洋)は9月14日からの3日間、国立大学法人群馬大学並びに大和自動車交通と連携し、東京都江東区豊洲の公道で複数の自動運転車両を用いたオンデマンド移動サービスの実証実験を行った。( 坂上 賢治 )

 

 

 NTTデータは予てより交通事故の削減、地域公共の活性化、渋滞の解消、交通弱者の移動手段の確保、自動運転技術の開発・不況促といった地域に根ざした交通課題やニーズに応えるべく、自動運転バスや自動運転モビリティの社会実装に取り組んでいる。

今回は近距離をオンデマンド運行する「自動運転モビリティ」の実証のため都市部のファミリー層を対象に利用ニーズや必要とされるサービスレベルの検証を探った。なお車両概要や運行管理の機能、システム環境については以下の図の通りとなっている。

 

 

 実施期間は先の9月14日から9月20日までの3日間。車両は予てよりトヨタ自動車の協力を得て多様な自動運転モビリティに取り組む群馬大学・次世代モビリティ社会実装研究センターからミニバンタイプの車両提供を受け、車室内には移動空間で利用者の快適性を高めるべくコミュニケーションロボットも設置した。

 

移動区間は「豊洲駅」「ららぽーと豊洲」「対象住民が居住するマンション」をつなぐ3つのルートを走行。延べ行程距離は6キロとした。 具体的にはファミリー層が日常生活を送る上記エリアの約50世帯から協力を得て公道実証実験を行った。

 

 

 実証区間にファミリー層の多い都市部を選択した理由は、自動運転技術を活用した移動サービスに対する要望や課題を把握し、都市部においても安全で利便性の高い移動サービス実現を目指すためだという。

 

運行の流れは、スマートフォンのアプリで利用者が配車を依頼すると、乗客の指定場所への自動運転車が配車され、乗客を乗せてからの走行中は遠隔監視の運行管制システムも組み合わせて安全運行する内容となっている。利用区間はマンションと豊洲駅、ららぽーとの3カ所で自由に乗り降りできる。

 

実運行については、ハイヤー・タクシー事業者である大和自動車交通のテストドライバーが走行監視のため同乗。配車指示に沿った迎車および目的地までの移動サービスの提供に万全を期した。

 

走行実験の技術的背景的に今回は、米国SAE(米国自動車技術会/Society of Automotive Engineers)による定義でレベル2に則った部分的な自動運転として運行。今後2020年には、限定条件下で全てシステムが完全操作してドライバーは全く運転操作に関与しないレベル4を目指す。

 

 

車内には先の通りロボット開発ベンチャー、ヴイストン(大阪市)のヒト型のコミュニケーションロボット「ソータ」が設置され走行中の運行状況を案内して利用者の自動運転への不安感を和らげる効果を高めた。

 

 これらの諸条件を踏まえNTTデータは「複数の車両を使用」「複数の候補から乗降場所を指定可能」「利用者の希望するタイミングで乗車可能」といった新たな取り組みに重点を置いて運行した。

 

車両の自動運行を支えるのは、360度カメラ・障害物を感知するレーザーセンサーやRIDER・衛星利用測位システムで、位置情報の誤差は2センチ程度以内で車両自らが走行位置と環境を推定し、制限速度や信号など各種規制が入力された地図情報と照らし合わせながら自動走行した。

 

併せて管制システムが配車依頼の受付から本人認証、配車・走行ルートの指示を行う他、200インチモニター相当の情報を表示できるVRによる管制・遠隔監視も加わっている。

 

 

 なお通信環境は現行の4G通信網運用での可能となっているが、今後は一般的な国内環境での5G通信環境の進展、GPS環境技術の加速化も目前にしているため、さらなる高度かつ微細な環境把握により安全性はさらに高められるだろう。

 

この実証に参画した群馬大学は、限定された地域専用の自動運転研究開発に取り組み、実証実験の実績を蓄積している。対して自動運転車に監視のために同乗人員を提供した大和自動車交通は、2018年5月に全国で初めてハイヤー・タクシー事業者が実施主体となる「自動運転移動サービス公道実証実験」を東京都江東区猿江の公道で実施するなどで乗務員の高齢化や少子化に伴う乗務員不足の課題改善を目指してきた。

 

こうした3者の取り組みを踏まえてNTTデータでは、具体的な事業化に際しては、都市と地方で交通事情や求められるニーズも異なる。今後も2020年まで実証実験を重ねて、そうした利用者ニーズや見極めつつ協業企業や研究機関との連携を重ね、本格的な事業化への歩みを着実に進めていきたいと話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。