道路交通法施行規則で定められている、事業所でのアルコールチェック。これまではトラックやタクシーなどに適用されていたが、2023年12月より、白ナンバー車であっても、乗車定員10人以下の自動車を5台以上もしくは定員11人以上の車を1台以上使う事業所は、義務化の対象となった。具体的には「運転の前後にドライバーに対し、目視等により酒気帯びの有無を確認するほか、アルコール検知器を使って確認をおこなうこと」、「確認の記録を1年間保存し、アルコール検知器を常時有効に保持すること」が義務化された。
この義務化により安全性は強化されると思われるが、一方で担当者の負担増、作業の複雑化などが懸念される。ITソリューション等を活用した効率化が求められていきそうだ。そんな中、セイコーソリューションズ株式会社(所在地:千葉県千葉市、代表取締役社長:関根淳、以下セイコーソリューションズ)は、「第16回 オートモーティブ ワールド -クルマの先端技術展-」(2024年1月24日~26日、会場:東京ビッグサイト)に出展し、アルコールインターロックやデジタルキーの機能を取り入れた新しい社用車管理ソリューションを紹介した。当日の会場では、コントローラーを搭載した日産のEV車SAKURAの実車を設置し、操作感やAIカメラの見え方などを体感できる参加型展示で、多くの関心を集めた。
同サービスを提供するセイコーソリューションズのIoTソリューション本部IoTソリューション第1営業統括部統括部長の村井純治氏にお話を聞きながら、今回の新サービスについて詳しく見ていきたい。
さて、今回発表の新しいソリューションサービスとはどのようなものか?
現行サービスである、法人向け安全運転支援クラウドサービス『Drive Cloud+(ドライブクラウドプラス)』にも搭載されていたオンライン車両予約や日報自動作成の基本機能に加え、デジタルキー、アルコールインターロック機能などを組み合わせたパッケージングサービスで、車両管理業務の効率化と安全運転推進を実現している。
主な機能は、以下の通り。
◉オンライン車両予約
◉運転日報自動作成
◉アルコールインターロック
◉高度AIメーター画像解析
◉EV情報連携
村井氏によると、今回のパッケージングソリューションにより、さらに一歩進んだクルマ管理ができるのが大きな特徴とのことだ。デジタルキー利用により、物理的な車両キーの受け渡しなしで、キーの紛失リスクを回避しながら共有車両の利用ができる。利用者の利便性向上はもちろん、オンライン車両予約と組み合わせて活用することで、事業所間での車両利用もしやすくなり、適正な保有台数の見直しにもつながるという。
また、アルコールインターロックという、アルコールチェックの結果が一定の基準値以下でないと、エンジンがかけられない機能がある。アルコール検知器を使ったデータをスマホからサーバに送ると、エンジンブロックが解除されるという流れだ。単なるドアロックではなくエンジンブロックにすることで、飲酒運転の防止を徹底しているのだ。
EVを導入する企業も増えてきているが、E Vにおいては充電情報が重要な指標となる。例えばEVの軽自動車の場合、90%以上の充電をしてあっても、140km程しか走らないのだという。つまり充電残量を事前に把握するということは非常に大切なわけだ。特に共用車両の場合はなおさらだ。充電がされていなければすぐに利用できず、業務に支障が出てしまう。
そこでセイコーソリューションズでは、この充電残量をAIによって読み取る技術を開発。車内に車両メーターAIカメラを設置して充電情報の取得を行っている。
「デジタルキー、アルコールチェック、EV充電情報の取得、これらの新規機能がパッケージになっていてワンストップで管理できるというのが、このサービスの最大の魅力です。コネクテッドカー時代において、通信系、自動車系メーカーなど様々なジャンルの会社が参入して切磋琢磨している状況。弊社もハードとソフト両面に通じる通信機器メーカーとして、もっとお客様に喜ばれる、車両管理の効率化、安全運転推進を両立させるサービスを提供していきたいと考えています」と村井氏は語る。
現在、デジタルキー、メーターAIカメラともに利用可能車種は限定されているが順次対応車種を増やしていくとのこと。
また、利用者ニーズに合わせた機能の選択ができるかなど、今夏以降の展開に向けて詳細を詰めているという。
次世代のモビリティ運用サービスの姿に注目していきたい。
※なお、本製品の正式リリースは2024年秋以降を予定