スカニア( Scania )は5月21日( スウェーデン・セーデルテリエ発 )、自律型の鉱山採掘向けダンプトラックの納入を開始。これを契機に、より安全で、より効率的で、より持続可能な鉱山輸送の時代が切り拓かれたことを宣言した。
今回、同社が顧客から自律運転機能を備えた当該車両の発注を獲得したことにより、鉱山輸送分野での自律運転ダンプトラックの実用化が大きく前進。これに伴い40トン級の自律型ダンプトラックの製品化が動き出した。また以降は、50トン級車両の納入もこれに続く予定としている。
スカニアの事業戦略としては、まずオーストラリアで自律型の鉱山採掘向けダンプトラックを販売する。当地に於ける実運用の開始時期は2026年からの予定となっている。これに続く新たな開拓市場は、自社が鉱山採掘分野でマーケットプレゼンスを持つラテンアメリカ市場になる可能性が高いという。
市場開拓に係る自社の戦略について、スカニアで副社長兼自律ソリューションの責任者を務めるピーター・ハフマー氏は、「慎重に取り組んだ今回の研究開発過程を経て、市販製品のリリースへと移行していくこの時期は、当社にとっても、自律型の重量車両を取り巻く国際市場にとっても、いよいよ大きな節目を迎えたことを意味します。
元々、鉱山採掘に於ける自律型ダンプトラックの開発事業は、車両の利用環境を踏まえると比較的安定した走行条件下であるため、輸送の効率化に集中でき、自律運転トラックにとって、適した市場のひとつだと考えられてきた領域です。
また民間でも広く活用されているプラットフォームを活かした今車両は、生産性の優位性のみならず、CO2排出量でも従来から起用されてきた超重量級トラックに比べて潜在的な利点があります。
それは持ち前の省エネルギー性のみならず、採掘事業全域のフットプリントを大きく削減できることに繫がるからです。 つまり今回、当社が提案したソリューションの大きな優位点は、鉱山事業全体がゼロエミッション操業に向けて、事業自体の運営面に於いても素早く次の一歩を踏み出せるところにあります。
そうした意味で今製品の納入は、我々がこれまで多様な市場に向けて投入してきた製品のなかでも最も先進的な事例にもなっています」と述べている。
そもそもスカニアは過去10年間に亘って、自律運転車両の開発に多額の投資を重ねており、そこには高速道路上でのハブ間輸送だけでなく、鉱山エリアでの自律運転車に係る技術開発も含まれている。
先のピーター・ハフマー氏は、「今回の自律型ダンプトラックの開発過程では、当社の研究開発部門と鉱山業界のお客様との緊密な協力の下、過酷な運用条件を敷いたなかで広範なテストを重ねて開発されました。
それは当社としても極めて戦略的かつ、挑戦的な研究開発プロジェクトであり、製品納入に至ったその道程に於いて、オンサイトテストに於ける数多くの厳格なチェックを積み重ねてきたゆえに、これだけ完成度の高い鉱山向け輸送ソリューションを開発することができたのだと考えています」と結んでいる。