ここまでの話から弊誌読者各位に於かれては、先の4月3日、トヨタが名古屋市内での記者会見を皮切りに発表した自社電動技術提供の話は、この中国への技術提供の布石だったのではないかと察して頂けると思う。
既に当編集部では、昨年2018年の9月編集の「雑誌版・NEXT-MOBILITY」にて、トヨタが中国マーケットでライバルメーカーをキャッチアップするため、これまで企業秘密にしてきた虎の子のハイブリッド(HV)技術を中国メーカーに提供する意志と可能性があると記したが、現実にその通りとなってきた。
そもそも現段階での中国EV市場の成長状況は、当初から判っていたことなのだが、例え政府の環境車規制の波が押し寄せたとしても、少なくとも短中期的な純EV普及で1割程度のシェアに留まる。
それはなぜかと言うと、中国があまりに巨大な消費市場ゆえに、エネルギー供給やパワーユニット製造で、幾多の課題が生まれることが必定だからだ。
今後は一定規模までBEV浸透が進んだ後に、中国の自動車戦略は広義のNEV量産へと動いていく。それが新エネ車規制を目前にして、ようやく表層に浮上してきたということなのだろう。
事実、先の上海自動車ショーで独フォルクスワーゲンも、米ゼネラルモーターズも、フォードも、さらに日本の日産・ホンダ・三菱自動車工業も相次いでコンセプトカーとしての電動車を相次いで発表はした。
しかし今年から2020年に掛けて中国政府の生産目標に沿って、当地の生産台数車の3〜4%を純電動車として販売していくとしたら、その規模が極めて大きいゆえに、その前途は厳しいものがある。