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2020年6月10日【オピニオン】

VWブランドのCEOにラルフ・ブランドシュテッター氏

坂上 賢治

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ラルフ・ブランドシュテッター氏をフォルクスワーゲンブランドの新CEOに任命

 

 フォルクスワーゲン(VW)グループは6月8日、来る2020年7月1日付けで同グループの中核的存在である乗用車ブランドの最高経営責任者(CEO)に、現・最高執行責任者(COO)のラルフブランドシュテッターの就任を決めた。(坂上 賢治)

 

 

この決定により、これまでVWグループCEO並びに同乗用車ブランドCEOを兼任してきたヘルベルト・ディース氏は、VWグループCEOとしての職務に専念。グループの取締役会においてディース氏は、VW乗用ブランドを含むブランド全域を取り纏める〝ボリュームブランドグループの責任者〟としての役割を果たす。

 

 同社グループが同人事を実施した狙いは、昨今の自動車業界が直面している大変革時期に於いて、各ブランドの重要課題や、グループ全体のマネジメント体制を強化することにある。監査役会は、この発表同日に開催された会議内でこの人事案件を了承した。

 

そんなVWグループは、過去数年間に亘りe-モビリティ戦略を推し進めるための戦略的基盤を着々と構築。自動車産業のデジタル化を加速化させるべく自らの構造改革に腐心してきた。今回は、その仕上げとしてトップマネジメントの体制を補強させていく意向のようだ。

 

 

 同人事ついてVW AGのヘルベルト・ディースCEOは「ラルフ・ブランドシュテッター氏は、当社に於いて最も経験豊富な取締役のひとりです。彼は過去 2 年間に亘りVWブランドのCOOとして優れた統率力を発揮して、ブランド変革の実行で重要な役割を果たしてくれました」と述べ、さらに「ここ数年間、我々経営陣が策定してきた次なる戦略的決定を踏まえ、彼がが新たなCEOとしてVWブランドのさらなる発展を推進してくれることを心から確信しています」と語りかけた。

 

VWグループのの経営体制の見直しとメインブランドの経営体制の強化を進める

 

 対してVWブランドの新CEOとなるブランドシュテッター氏は「私は33年間、この会社で働いてきたことが私にとっては大変な誇りです。ゆえに来る7月1日からVWブランドのCEOとして、さらなる発展に貢献するという大きな責任を与えられたことを心から嬉しく思います。今日のVWブランドは、昨2019年に記録的な業績を達成したというだけではなく、未来に向かうための好機なタイミングにあります。

 

当社は〝Transform 2025+戦略〟の初期段階を無事に完了。現在は次を望む段階を目前にしています。今後は広範囲な電動化攻勢がより具体的なものとなり、今の段階で新たな電動化モデルが街を走り始めていることから見ても明らかです。

 

 

我々は、全世界に向けてゼロエミッション・モビリティの道を切り開いており、来る2025年までに少なくとも年間150万台の電気自動車を販売する計画を精力的に進めています。

 

 また電動化のみならず、我々は未来への青写真を確定させており、今後数年間の間に於いて事業全域のデジタル化も積極に推し進めていきます。VWブランドは、先にも述べた〝Transform 2025+戦略〟に基づき、CO2ニュートラルなモビリティ社会を実現するリーディングプロバイダーとしての進化を遂げつつあり、近い未来に向けてデジタルテクノロジー企業へと成長していきます。

 

その目標に向けて、およそ27万人にも上るチーム全員の献身的な取り組みに心から感謝しており、私たちは今後も一丸となって、世の中をより良い世界へと変えていくことができるでしょう」と語り、経営体制見直しの総決算に意欲を見せていた。

 

 ちなみにブランドシュテッター氏は、1968年9月8日のブラウンシュヴァイク生まれの52歳。若かりし頃の同氏は、ブラウンシュヴァイクにあるフォルクスワーゲン工場で機械工としての職業訓練を受けた後、大学で経営工学を学び1993年にフォルクスワーゲングループに入社した。その後、調達部門で国際プロジェクト管理を担当してからフォルクスワーゲンAG秘書室の取締役会付アシスタントを務めた。

 

1998年にシャシー及びパワートレイン・コンポーネント用金属の調達責任者となり、2003年に新車種プロジェクトのプロジェクトマネージャーに。2005年にはセアトの調達責任者としてスペインに異動した後、2008年にセアトの調達担当取締役に任命された。

 

2010年からはVWグループの調達部門にてエクステリア分野の、さらに2012年からは新製品立ち上げの責任者を務め、2015年10月にフォルクスワーゲンAG総代表となった。2015年12月にはVW乗用車ブランドの調達担当取締役に。2018年8月1日からはVW乗用車ブランドの最高執行責任者(COO)を務めていた。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。