ラルフ・ブランドシュテッター氏をフォルクスワーゲンブランドの新CEOに任命
フォルクスワーゲン(VW)グループは6月8日、来る2020年7月1日付けで同グループの中核的存在である乗用車ブランドの最高経営責任者(CEO)に、現・最高執行責任者(COO)のラルフブランドシュテッターの就任を決めた。(坂上 賢治)
この決定により、これまでVWグループCEO並びに同乗用車ブランドCEOを兼任してきたヘルベルト・ディース氏は、VWグループCEOとしての職務に専念。グループの取締役会においてディース氏は、VW乗用ブランドを含むブランド全域を取り纏める〝ボリュームブランドグループの責任者〟としての役割を果たす。
同社グループが同人事を実施した狙いは、昨今の自動車業界が直面している大変革時期に於いて、各ブランドの重要課題や、グループ全体のマネジメント体制を強化することにある。監査役会は、この発表同日に開催された会議内でこの人事案件を了承した。
そんなVWグループは、過去数年間に亘りe-モビリティ戦略を推し進めるための戦略的基盤を着々と構築。自動車産業のデジタル化を加速化させるべく自らの構造改革に腐心してきた。今回は、その仕上げとしてトップマネジメントの体制を補強させていく意向のようだ。
同人事ついてVW AGのヘルベルト・ディースCEOは「ラルフ・ブランドシュテッター氏は、当社に於いて最も経験豊富な取締役のひとりです。彼は過去 2 年間に亘りVWブランドのCOOとして優れた統率力を発揮して、ブランド変革の実行で重要な役割を果たしてくれました」と述べ、さらに「ここ数年間、我々経営陣が策定してきた次なる戦略的決定を踏まえ、彼がが新たなCEOとしてVWブランドのさらなる発展を推進してくれることを心から確信しています」と語りかけた。
VWグループのの経営体制の見直しとメインブランドの経営体制の強化を進める
対してVWブランドの新CEOとなるブランドシュテッター氏は「私は33年間、この会社で働いてきたことが私にとっては大変な誇りです。ゆえに来る7月1日からVWブランドのCEOとして、さらなる発展に貢献するという大きな責任を与えられたことを心から嬉しく思います。今日のVWブランドは、昨2019年に記録的な業績を達成したというだけではなく、未来に向かうための好機なタイミングにあります。
当社は〝Transform 2025+戦略〟の初期段階を無事に完了。現在は次を望む段階を目前にしています。今後は広範囲な電動化攻勢がより具体的なものとなり、今の段階で新たな電動化モデルが街を走り始めていることから見ても明らかです。
我々は、全世界に向けてゼロエミッション・モビリティの道を切り開いており、来る2025年までに少なくとも年間150万台の電気自動車を販売する計画を精力的に進めています。
また電動化のみならず、我々は未来への青写真を確定させており、今後数年間の間に於いて事業全域のデジタル化も積極に推し進めていきます。VWブランドは、先にも述べた〝Transform 2025+戦略〟に基づき、CO2ニュートラルなモビリティ社会を実現するリーディングプロバイダーとしての進化を遂げつつあり、近い未来に向けてデジタルテクノロジー企業へと成長していきます。
その目標に向けて、およそ27万人にも上るチーム全員の献身的な取り組みに心から感謝しており、私たちは今後も一丸となって、世の中をより良い世界へと変えていくことができるでしょう」と語り、経営体制見直しの総決算に意欲を見せていた。
ちなみにブランドシュテッター氏は、1968年9月8日のブラウンシュヴァイク生まれの52歳。若かりし頃の同氏は、ブラウンシュヴァイクにあるフォルクスワーゲン工場で機械工としての職業訓練を受けた後、大学で経営工学を学び1993年にフォルクスワーゲングループに入社した。その後、調達部門で国際プロジェクト管理を担当してからフォルクスワーゲンAG秘書室の取締役会付アシスタントを務めた。
1998年にシャシー及びパワートレイン・コンポーネント用金属の調達責任者となり、2003年に新車種プロジェクトのプロジェクトマネージャーに。2005年にはセアトの調達責任者としてスペインに異動した後、2008年にセアトの調達担当取締役に任命された。
2010年からはVWグループの調達部門にてエクステリア分野の、さらに2012年からは新製品立ち上げの責任者を務め、2015年10月にフォルクスワーゲンAG総代表となった。2015年12月にはVW乗用車ブランドの調達担当取締役に。2018年8月1日からはVW乗用車ブランドの最高執行責任者(COO)を務めていた。