日産自動車は7月25日、2019年度の第1四半期決算と、今後の事業基盤の再構築について発表した。
2019年度の第1四半期決算では、連結売上高は2兆3,724億円、連結営業利益は16億円、売上高営業利益率は0.1%となり、また当期純利益(注1)は、前年同期比94.5%減の64億円となった。
結果について日産の最高財務責任者(CFO)の軽部氏は、グローバル全体需要の低迷及び販売正常化に向けた取り組みの継続などにより、販売台数が減少。これにともなう売上高の減少や、規制対応に向けた投資、原材料費、為替などの外部要因が、収益を圧迫したためと説明している。
また社長(CEO)の西川氏は、日産の今後の事業基盤の再構築について説明。グローバル生産能力を1割削減し、これに合わせて12,500名規模の人員を削減。商品ラインアップを、2022年度までに1割以上整理することを明らかにした。
[2019年度第1四半期財務実績]
中国合弁会社に持分法を適用した2019年度第1四半期の財務実績は次の通り。
2019年度第1四半期の平均レートは、1USドル109.9円、及び1ユーロ123.5円を使用。
中国合弁会社を比例連結した会計基準では、2019年度第1四半期の連結営業利益は401億円、売上高営業利益率は1.5%となり、当期純利益(注1)は64億円となった。
[グローバル販売状況]
2019年度第1四半期のグローバル全体需要は、前年同期比6.8%減の2,250万台となる中、同社販売台数は前年同期比6.0%減の123万1,000台となった。
日本での販売台数は、前年同期比2.6%減の12万6,000台。3月にフルモデルチェンジした軽自動車の新型「デイズ」は、好調な販売を続けている。
また、会計年度が暦年ベースの中国では、販売台数は前年同期比2.3%増の34万4,000台となり、市場占有率は前年同期比0.7ポイント増の5.7%となった。
「シルフィ」や「キャシュカイ」、「エクストレイル」が販売を伸ばしたことに加え、ヴェヌーシア「T60」が販売を牽引した。
米国では、35万1,000台となり、市場占有率は7.9%となった。
ロシアを含む欧州では、前年同期比16.3%減の13万5,000台となり、市場占有率は2.5%となった。ロシアにおける販売台数は、前年同期比21.7%減の1万8,000台となり、同市場における市場占有率は4.1%となった。
その他、アジア・オセアニア、中南米、中東、アフリカをはじめとする市場の販売台数は、前年同期比13.1%減の17万4,000台となっている。
[事業構造改革の推進]
日産では、安定的な収益性を確保できる事業基盤の再構築のため、策定した事業構造改革を中期的に実施し、コスト構造や生産体制などの見直しに早急に取り組む。また、販売の拡大および米国販売の回復に向け、商品ポートフォリオの刷新など、ブランドの魅力度を向上させていく。
具体的には、2022年度までに工場の稼働率向上のために、グローバル生産能力を10%削減し、これに合わせて12,500名規模の人員削減を実施。また、商品ラインアップを、2022年度までに10%以上効率化し、コアモデル及びそれぞれの市場における重要なモデルへの投資に重点を置き、商品競争力を高める。
これらの取り組みについては、既に一部着手しているが、顕著な成果が得られるまでには、一定の時間を要する見込みだとしている。
また、成長・進化を進める原動力として、運転支援技術「プロパイロット」の搭載車種拡大や同技術の更なる進化、EVや「e-POWER」といった電動駆動車の市場投入拡大など、「ニッサン インテリジェント モビリティ」を軸に商品力を強化し、ブランド力の向上に取り組んでいく。
更には、日本やフランスにおけるドライバーレスモビリティサービス事業の可能性の検討に向けたウェイモとの独占契約締結や、DeNAとの新交通サービスの公道実証実験など、将来の事業機会拡大に向けた取り組みを行っていくとしている。
注1:親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:2013年度から中国の合弁会社 東風汽車有限公司の連結方法が変わり、持分法が適用されている。同会計基準では、連結当期純利益に変化はないものの、連結売上高と連結営業利益には東風汽車の数値は含まれなくなる。
■(日産自動車)決算の詳細:http://www.nissan-global.com/JP/IR/FINANCIAL/
■(YouTube)2019年度第1四半期決算発表記者会見:https://www.youtube.com/watch?v=pK0zCsTzaAc