三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)は4月8日、量産型電気小型トラック「eCanter」をオーストラリア市場に投入開始したと発表した。
「eCanter」は、今年3月31日に開催されたメルボルンでのイベントで、現地顧客に公開され、今回、オーストラリアに初投入。これにより日本、欧州、北米に続く主要市場への展開を開始した。
オーストラリア市場向けの「eCanter」は、ポルトガルのトラマガル工場から完成車として輸出され、現在日本及び欧州で販売されているモデルと同じ標準仕様を備えた最新型。
都市環境における安全運転をサポートするために、車両安定性制御装置である「Electronic Stability Program(ESP)」に加え、衝突被害軽減ブレーキの「Advanced Emergency Braking System(AEBS)」や、車線逸脱警報装置の「Lane Departure Warning System(LDWS)」といった先進安全機能を装備。また現地で最大積載量での試験走行を6か月に亘って実施するなど、同国内の環境への適合性の検査も厳格に行ってきたと云う。
「eCanter」は、オーストラリアの顧客に今後数か月以内に納車される予定となっており、それまでの間MFTBCは、納車予定の顧客に対し、最適な充電施設や充電パターン及び稼働時間の効率化についての専門的なアドバイスを、現地販売店を通じて提供する。
なお、オーストラリア政府は、2021年2月に未来燃料基金(Future Fuels Fund)を開設し、その第一期では1,650万豪ドルの予算をバッテリー式電気自動車向け急速充電設備のインフラ整備にあてる計画を公言。電気トラックの普及を促進する急速充電設備の増設も、国や自治体によるインフラプロジェクトや助成金制度などの取り組みによって、今後数年で加速することが見込まれていると云う。
欧州でもスイスとスペインで初納車
MFTBCはまた、欧州においてスペインとスイスの新たに2つの市場に進出し、「eCanter」を初めて納入した。
スペインでは、ミネラル水とディスペンサーの販売会社であるアクアサービス社(Aquaservice)が、今年3月、「eCanter」を同国内で初めて導入し、バレンシア市内における商品配達ルートでの稼働を始めた。同社は社用車のカーボンニュートラル化を今後10年以内に達成するという目標に向け、ゼロ・エミッションの電気トラック導入を今後さらに進める計画だと云う。
またスイスでは、今年2月、輸出大手の一つであるカミオン・トランスポート社(Camion Transport)が、「eCanter」3台を同国で初めて導入。現在バーゼル、ルツェルン、ジュネーヴの3都市で稼働し、都市内配送で活用されている。
商用車における電動化促進とカーボンニュートラル化のビジョンを掲げ、2017年の世界初公開以来、これまで200台以上の「eCanter」を納車をしてきたMFTBCは、電気小型トラックのパイオニアとして、今後も、脱炭素化社会の実現において大きな役割を担う「eCanter」を、ゼロ・エミッションの輸送ニーズに対するソリューションとして、世界各地で展開していくとしている。
■(三菱ふそう)eCanter:https://www.mitsubishi-fuso.com/ja/product/ecanter/