三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)は7月20日、ニュージーランド市場で、電気小型トラック「eCanter(※1)」の販売を開始したと発表した。
「eCanter」は、FUSO製品の輸入と現地販売を統括するオークランドの「FUSOニュージーランド(FUSO New Zealand/※2)」を通じて販売。7月12日には、ニュージーランドの大手エネルギー供給会社「ジェネシス・エナジー社 (Genesis Energy)」に1台が納車された。
なお、ジェネシス・エナジー社では、排気ガス削減のため、2025年迄に業務で運用する約110台のトラックの半分を電気自動車に切り替える目標を掲げていると云う。
ニュージーランド向けの「eCanter」は、ポルトガルのトラマガル工場から完成車として輸出され、日本や欧州で販売されているモデルと同じ標準仕様を備えた最新型。安全な走行をサポートするための車両安定性制御装置である「Electronic Stability Program(ESP)」に加え、衝突被害軽減ブレーキ「Advanced Emergency Braking System(AEBS)」や車線逸脱警報装置「Lane Departure Warning System(LDWS)」等の先進安全機能が搭載されている。
FUSOニュージーランドでは、今春、同国のエネルギー資源大臣およびエネルギー効率・保全局(Energy Efficiency and Conservation Authority)から、「eCanter」の運用試験のための助成金を受給。以来、5台の「eCanter」がオークランド市内に配備され、現地物流事業者による一年間の実証試験が行われている。
低排出ガス交通プロジェクトを支援する目的で設置されたこの助成金は、同国政府の低排出ガス車両競合基金(Low Emission Vehicle Contestable Fund)から拠出。ニュージーランドは、当初、年間総額600万~700万NZドルだったその規模を年間2,500万NZドルに拡大するなど、脱炭素に向けた動きを加速させていると云う。
MFTBCは、各国政府が自動車の電動化への投資を強化する中、「eCanter」の存在が今後も増していくことに期待を寄せているとしている。
※1:MFTBCが開発した「eCanter」は、車両総重量7.5トンクラス、急速充電では最大約1.5時間、普通充電では最大約11時間の充電で、約100kmの航続が可能な量産型電気小型トラック。電気駆動システムに、モーター(最大出力135kW、最大トルク390Nm)と、370V・13.5kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーパック6個を搭載し、昨年8月には安全装備を拡充した新型モデルを発売した他、ラインアップ拡充を含む次世代モデルの開発にも力を入れている。
※2:2017年にニュージーランド市場におけるふそうブランドの輸入代理店および販売代理店としてオークランドに設立。現在、MFTBCの大型、中型、小型のトラック・バスの全モデルは、川崎工場およびインドのダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ社のチェンナイ工場で完成車として製造され、同国に輸入されている。なお、ニュージーランドで45年以上に亘って稼働するふそう車は、同国内に所在する21のカスタマーサービス・パーツ拠点によって支えられている。
■(三菱ふそう)eCanter:https://www.mitsubishi-fuso.com/ja/product/ecanter/