自工会(日本自動車工業会)は4月22日の11時15分より、オンライン記者会見を開催。登壇した豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、来たる2021年の東京モーターショーの開催中止を宣言した。(坂上 賢治)
加えて豊田会長は3月の同会見で、東日本大震災から10年を経た東北地方のさらなる成長への意志を示すと共に、2050年のカーボンニュートラルに向け「エネルギーグリーン化」を推進しなければならない事を訴えたが、これに引き続き、今回もエネルギー政策の重要さと、その道筋を敷いていく方策について独自の考え方を説明した。
日本自動車工業会 会長 豊田章男氏
それは今後、クリーンエネルギー施策に乗じた生産シフトが世界規模で進んだ場合、その過程で日本の輸出力や雇用が失われる可能性がある事。またそれを前提に日本には、日本らしい独自のカーボンニュートラル実現の道筋があると言う持論だ。
より具体的には、〝環境技術〟や〝省エネ技術〟などを組み合わせるという他国では真似の出来ない複合スキルこそが〝日本の強み〟であると説き、それゆえに国内エネルギー業界に於ける水素から作る〝eフェール(カーボンフリー燃料)〟や〝バイオ燃料〟などの技術革新にも改めて着目すべき。
つまり、我が国の燃料技術、高効率エンジン技術、モーター技術を組み合わせる事が出来れば、きっと二酸化炭素をより大規模に削減していけるという全く新しい世界が見えてくる。
そうなれば単に「輸送」や「供給」という既存のインフラが使えるという副産物のみならず、中古車や既存車両の活用枠を拡大させる事。さらに船舶輸送なども含めた全てのモビリティ環境で、日本独自のカーボンニュートラル施策を進めて行けるとした。
豊田会長は「日本が目指すべき正しいゴール設定はあくまでも〝カーボンニュートラル〟であり、そこに至る道筋は決してひとつではありません。
エンジンの燃焼技術、モーターや電池などの電動化技術、それらを組み合わせた複合技術、さらに先の燃料技術を加えた総合力を前提に、我々は未来へ進む道を選ぶべき、自工会はこれからもサステイナブル&プラクティカルをキーワードに日本ならではの道を切り開いて参りたいと思っております」と語った。
また東京モーターショーについては、「オンラインも使ったより魅力ある企画を幾重にも検討して参りました。しかし多くのお客様に、安全安心な環境でモビリティの魅力を体験頂けるプログラムの提供・実施が難しいと判断し今回、開催中止を決定致しました」と述べ、さらに「次回はより進化したモビリティショーとして東京モーターショーをお届けしたいと思っておりますので、今後ともご支援宜しくお願い致します」と結んだ。