仙台放送と東北大学の川島隆太教授は1月24日、共同開発した〝運転技能向上トレーニング・アプリ〟を、高齢運転者の交通事故防止に役立てるべく、MS&ADインシュアランスグループ傘下の「あいおいニッセイ同和損保(以下、あいおいニッセイ)」の自動車保険契約者向けに提供すると発表した。
同コンテンツの原型は、実際の運転行為やシミュレーター的な疑似運転行為を伴わずに、わずか1日20分×6週間の認知トレーニングの実行でシニア運転者の「認知機能」に働き掛け、〝自動車運転技能〟と〝認知力〟並びに高齢者の〝活力〟を向上させるというテレビ接続型ゲーム。
ゲームは、仙台放送の脳トレーニング番組『川島隆太教授のテレビいきいき脳体操』での実証ノウハウが活かされて誕生した(特許6284171号)。
今回は、このゲームをスマホ版アプリとして仕立て直して提供する。収録ゲーム種は、6種類(運転技能ゲーム3種類、脳トレゲーム3種類)。利用対象は、あいおいニッセイの「タフ・つながるクルマの保険」「タフ・見守るクルマの保険プラス」の契約者だ。
我が国に於いて、かつて平成初期に10%程度だった65歳以上の人口割合は、2020年には約30%に達する見込みで、著しいスピードで高齢化が進んでいる。
また近年の悲惨な事故を受けて、高齢ドライバーの免許返納が社会的に迫られる一方、特に公共交通機関も限られる仙台以北の東北地方では、生活維持のためにも免許証を手放すことができない高齢者ドライバーは数多く存在する。
そこで仙台放送と東北大学は、このような社会課題を踏まえて、こうしたトレーニングコンテンツを対象とするドライバー層へ提供していくことで運転能力や認知機能の低下を抑制。運転寿命の延伸に貢献していきたい構えだ。
また1月28日には、第一生命ホールディングス傘下のQOLead提供のスマートフォン向け健康応援アプリ「健康第一」のなかでも、来る4月を目途にアプリ提供を開始するとしている。
一方、総務省によると年代別スマートフォンの利用率は、60代で50%以下、70代で20%以下、80代で10%以下と低いため、高齢者層で普及率が低いスマートフォンからのアプローチはリーチできる高齢者が限られるのではという懸念もある。
加えて高齢ドライバーは、高齢であるほど自分の運転に自信を持つ傾向も見て取れるという。そのような高齢ドライバーにいかにスマホアプリの利用を働き掛けるのか。また客観的に自己能力をどのように振り返って貰うのかなど、今後の行方に注視していきたいところだ。