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2024年8月29日【新型車】

RR、表参道ヒルズでカリナン・シリーズ Ⅱを国内初披露

坂上 賢治

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スーパー・ラグジュアリー SUV「カリナン・シリーズ II」を日本で正式発表

 

ロールス・ロイス・モーター・カーズは、同社自らロールス・ロイス ブランド史上、世界屈指のスーパー・ラグジュアリーSUVと謳う「カリナン・シリーズ II(Cullinan Series II)」を東京都渋谷区(表参道ヒルズ)で正式披露した。デリバリーは2024年の第4四半期の予定だ。

 

 

そんなカナリンは、ロールス・ロイス ブランドが初めて手掛けたスーパー・ラグジュアリーSUVとして2018年2月に明らかにされた。

 

実は、そこから3年程遡った2015年当時の巷の噂では、あくまでもカリナン(Cullinan)は、新型車開発プロジェクト進捗のためのコードネームだと認識されていたのだが、結局、イギリス王室が保有している世界最大級のダイヤモンドの原石名(1905年1月26日に、南アフリカのプレミア第2鉱山で発見され、その後、エドワード7世に献上された)であったカリナンが、そのま新型車の名前として命名された経緯がある。

 

2018年に初披露されたカリナンは、ロールス・ロイスが当時人気のSUV市場に着目したクルマとして、家族やペットと一緒に乗れる車を求めていたエスタブリュッシュメント達の声に応えて開発されたと言われている。

 

 

けれども、その走りと乗り心地は、あくまでもショーファー・ドリブンな「マジック・カーペット・ライド」であり、例えSUVスタイルであっても、歴代のロールス・ロイスならではのスーパー・ラグジュアリーなクルマであり続けた。

 

しかし今日のカリナンは、多くのオーナーが自分でハンドルを握っているクルマとされ、実際に運転手にステアリングを握らせているオーナーは、カリナンに限っては10%を下回るのだという。

 

初代カリナンを忠実に受け継ぎつつ、進化する顧客の利用パターンを反映

 

つまりカリナンは、世界屈指のスーパー・ラグジュアリーSUVとして登場したのに、これまでとは全く異なる新規オーナーを取り込むことに成功した。お陰で、今日のロールス・ロイスを保有する平均年齢層は、2010年当時の56歳から43歳へと大幅に引き下げることに貢献したクルマでもあったのだ。

 

それが今日、日本で初披露されたカリナン・シリーズ IIでは、色濃く反映されている。それは押し出し感の強いロールス・ロイスならではのデザインテイストを受け継ぎながらも、若返ったオーナー達に寄り添う姿として表現されている。

 

 

これまでのロールスロイスのオーナーとは異なる若々しいオーナーが、家族を乗せて自身でステアリングを握る生活。それを大胆なエクステリアで表し、新しいインテリア素材を介して表現し、最新テクノロジーを取り入れ、極めて現代的な工芸技法を取り入れることで表現しているのだ。

 

例えばエクステリアでは、伝説の建築物を想わせるパンテオン・グリルをフロントマスクとして持たせつつ、モダンかつグラフィカルな新しいデイタイム・ランニング・ライトを配置。それらの造形はロールス・ロイスの最高峰モデル、ファントム・シリーズ II(Phantom Series II)との繋がりを示している。そのデザインは、昼夜を問わず、カリナンが駆け抜ける都市のライトアップされた街中摩を走る若々しいオーナーが好むディテールであるという。

 

 

そのデイタイム・ランニング・ライトの下には、シンプルで特徴あるラインと鮮明なエッジが施され、それでもこのクルマが、あくまでもロールス・ロイスであることの存在感を主張する。

 

その下に続くバンパー・ラインは、デイタイム・ランニング・ライトの下からクルマの中心に向かって浅い「V字」を描き、スポーツ・ヨットの船首にみられる鋭いラインを訴求するものとしている。更にその下に設けられた新しいエアインテークの造形は、外向きに角度をつけながらはっきりと自己主張し、正面から見た時にクルマをより低く見せる効果をもたらす。

 

 

新型クロック・キャビネットにスピリット・オブ・エクスタシー像を配置

 

ボディサイドは、カリナンシリーズでは初採用した23インチ・ホイールと7スポーク・デザインのホイールを包み込むフロント・フェンダーが垂直なラインを保ちつつ、テールライトからリア・ホイールのフローティング「RR」センター・キャップへ、控えめでありながらも明確なラインが加えられた。

 

これにより、微妙なテーパーと動きのある印象がもたらされ、後部に向かってリフトアップされたロア・バランスが更に強調されている。鮮やかなハイグロス・ブラックのペイントワークは、走行中の道路を反射し、不変のフォルムに躍動感を与えている。

 

そこから後方に回るとカリナン・シリーズ IIのリアは、大胆な力強さが表現されている。エグゾースト・サラウンドはポリッシュ仕上げのステンレス製で、ボディと同一平面上にすっきりと収められた。そんなリアスタイルの締め括りは、エキゾーストの間を走るブラッシュ仕上げのステンレス製保護プレートで締められている。

 

 

 

一方、カリナン・シリーズIIのインテリアは、ロールス・ロイスらしいクラフツマンシップ溢れるすガラスパネルのフェイシアが目に飛び込んでくる。この新しいフェイシアは、SPIRIT(スピリット)と名付けられたデジタル・インターフェースを映えさせるたるのステージとなっている。

 

助手席前部にも、イルミネーテッド・フェイシア・パネルが配置される。スペクターにも採用されていたこのイルミネーテッド・フェイシアは、特別に開発された技法によりレーザーで7,000ものドットがエッチングされ、Cullinanの文字と大都会の夜空に浮かぶ明かりからインスピレーションを得たグラフィック処理が施された。

 

また、その隣には、ロールス・ロイス車で初導入されたスピリット・オブ・エクスタシーのクロック・キャビネットが組み込まれた。このユニークなはめ込み式ケースには、アナログ式のタイムピースと、ライトで浮かび上がるスピリット・オブ・エクスタシーがディスプレイされている。

 

 

このスピリット・オブ・エクスタシーはステンレス製で、反射効果を生むマット・ブラックのバックパネルと光沢のあるサイドパネルの台座に収められた。

 

インテリア・パレットに新たに植物由来の素材と現代的な工芸技術を採用

 

更にカリナン・シリーズ IIには、「グレー・ステンド・アッシュ(Grey Stained Ash)」と名付けられた、繊細な輝きを放つ美しい木目の天然オープンポア材も新たに導入されている。この樹種は1本ずつ厳選され、ベニヤシートを手作業で染色し、微細な金属粒子を加えて独特の効果を生み出した。

 

一方でロールス・ロイスがインテリア造形で優れたテキスタイルを吟味する姿勢はカリナン・シリーズ IIにも受け継がれた。それは竹から作られたレーヨン生地「デュアリティ・ツイル(Duality Twill)」だ。

 

この素材は、ヘンリー・ロイス卿が冬季を過ごしたヴィラ・ミモザに隣接するコート・ダジュールの「地中海の庭園(Le Jardin des Méditerranées)」の竹林からインスピレーションを得たもの。

 

 

ツイル織りのテキスタイルには、創業者のイニシャルであるRの二重文字を抽象的に解釈したモチーフがあしらわれ、セーリング・ヨットのロープが織り成すラインを想起させる船舶のデザインとなっている。

 

熟練した織物職人と1年以上をかけて実現させた同素材は、インテリア全体に最大220万のステッチと11マイルの糸を使用し、20時間もの工程を経てようやく完成する。ベースとなるツイル・テキスタイルは、ライラック、チョコレート、ブラックの3色で展開され、スレッド(糸)は51色から選択することができるという。

 

なおカリナン・シリーズ II では、SPIRITとロールス・ロイスのオーナー専用アプリ、Whispers(ウィスパーズ)が統合され、アプリを通じて車両に目的地を直接送信したり、車両位置の遠隔確認や施錠を管理したりすることができるようになった。

 

またカリナン・シリーズ II では、車両後部のコネクティビティが大幅に改善されている。リア・スクリーンには、最大2台のストリーミング・デバイスを接続することができ、車両管理機能やマッサージ、ヒーター、クーラーなどのシート機能を送信するためのビスポーク・インターフェースが搭載されている。

 

Wi-Fiホットスポット接続も容易となり、乗員は自身の前ら用意された個別のスクリーンで自由にコンテンツを視聴できる。インフォテインメント・システムは最新の18チャンネル1400ワット・アンプを搭載した18スピーカー・オーディオシステムが愉しめる。

 

 

製品ポートフォリオでブラック・バッジ・カリナン・シリーズ IIも併せて展開

 

なお今回、ロールス・ロイス・モーター・カーズは、日本国内に於けるカリナン・シリーズIIの正式披露で、新たなビスポーク・モデルも展示した。

 

進化したエクステリアは、カリナン・シリーズ IIのために新たに開発されたペイント「エンペラドール・トリュフ(Emperador Truffle)」で仕上げられ、豊かな縞模様のブラウンの大理石からインスピレーションを得た、現代的でミニマルなグレー・ブラウンのペイントにはソリッドなカラーのステートメントを組み合わせた。

 

その表面にはガラス粒子を練り込んだラッカーを使用し、ビスポークの「クリスタル・オーバー(Crystal Over)」仕上げと組み合わせにより、朝日を浴びた新雪を思わせる繊細な輝きを放つものとなっている。なお車両価格は、カリナン・シリーズIIが4645万4040円。後述のブラック・バッジ・カリナン・シリーズ IIは5415万4040円。

 

ロールス・ロイス・モーター・カーズのアジア太平洋リージョナル・ディレクターを務めるアイリーン・ニッケイン氏 (Irene Nikkein)は、「ロールス・ロイス・モーター・カーズの最も需要が高いモデル、カリナンの新たな装いを日本で発表できることを嬉しく思います。

 

実は私達は、このカナリン・シリーズを皆様へ初披露して以降、ロールス・ロイスに関わるお客様層が変化しつつあることを実感しています。それはロールス・ロイスブランドを初めて購入対象としてお考え頂け始めたお客様や、ご自分でステアリングを握られるお客様です。

 

そうした背景から、洗練されたエクステリア・デザイン、精巧なクラフツマンシップによるラグジュアリーなインテリア、そして高い汎用性とエフォートレスなドライビング体験に至るまで、初代カリナンの本質的な要素を忠実に受け継ぎながらも、ロールス・ロイスブランドに新たな扉を開くシリーズIIの新たな表現は、そうした新たなお客様の五感を魅了でき、それらが期待を超える成果に繫がるだろうことを確信しています。

 

また既存のカリナンを刷新したシリーズ IIのリリースと同時に、ロールス・ロイスをらしさをより直感的かつ大胆な表現を加えたブラック・バッジ・カリナン・シリーズ II(Black Badge Cullinan Series II) も展開します。

 

いずれも私達が、これまでのロールス・ロイスモデルで追求してきた飽くなき姿勢の延長線上にありながら、新たなお客様を包括し、皆様の期待を超えるために決断した当社の献身的な姿勢をお示ししています。

 

つまり総じてカリナン・シリーズIIは、私達の不断の努力と挑戦する姿勢を体現する1台であり、それは文字通り新しい時代の幕開けとなります。これらカリナン・シリーズIIおよびにブラック・バッジ・カリナン・シリーズ IIに関するご案内は、全国のロールス・ロイス・モーター・カーズ正規販売店にて承っており、2024年第4四半期からお客様への納車を順次開始する予定です。

 

最後にロールス・ロイスにとってアジア太平洋地域で最も重要な市場のひとつである日本のお客様に、数々の新技術を駆使しながら進化したカリナン・シリーズIIで素晴らしい時間を過ごして頂けること心より願っております」と結んだ。

 

 

Rolls-Royce Cullinan SeriesⅡ(Black Badge Cullinan SeriesⅡ)
全長×全幅×全長:5355×2000×1835mm
ホイールベース:3295mm
車重:2725kg
パワーユニット:6750ccV型12気筒
最高出力:420kW(441kW)
最大トルク:850Nm(900Nm)
駆動方式:全輪駆動

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。